![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/77/f13cb38a9526c4bf1bbb9102d58973a9.jpg)
毎年のことながらですが。
お正月明けの、あのぬるーい雰囲気は何なんだろう。
眠い、けだるい、やる気ない。
…皆一応オトナなので上記3つがないフリをして、
平たい顔でさっさと通勤、仕事にいそしむ、またそのふりを
してたりしますが。
ここスペインにいたっては、クリスマスイブ前から大晦日元旦
を過ぎ、1月6日あたりまでがいわゆるクリスマス時期となり、
正直、長ったらしいこと、この上ない。
休暇後、残ったのは、暴飲暴食で数キロ浮腫んだ体と寂しい財布。
そして寒い。朝起きても夜。ちょっと活動したらすぐ日が暮れる。
季節要因のウツがうごめき出し、イライラが募る…
日本においては、このウツウツの気を払おうというのか、
2月3日節分の日、立春の邪気払いとして豆を撒いたり、
イワシの頭で魔よけなど作ったりなど、忙しくする習慣あり。
そしてこちらスペインでは、正月終了後、聖人聖女の日がずらずらと
続き、各地において伝統行事が行われ、(意外と盛大に)祭が行われる。
春の入り口に行われる聖週間(セマナサンタ)の大祭までの
ツナギか?とも思われる。
それらのいくつかを以下↓ご紹介
●動物たちの守護聖人、サン・アントン
1月17日、サン・アントン(聖アントニウス)の日。
動物らの守護聖人とされる。祝福を求めて教会につめかけるワンニャンのオーナーら。
この日だけは動物らの堂内入室が許され、なんともほのぼのな
ミサが行われる。海外ニュースとして流されることが多いので、
ネットなどでみかけた方も多いかも。
まあ昔は動物といえばウマ、ウシ、ブタなどの家畜。
交通手段であり、食料でもあり、命の絆。
これらの繁栄健康を祈り、感謝をした日でもあったのか。
例えば“馬と共に焚火の上を飛ぶ”儀式。
カスティージャ・イ・レオン地方、アビラあたりのもので、
動物保護団体に叩かれつつ、まだ残っている古い伝統。
サラマンカ南部、アルベルカにおいては、聖人の名をつけた
“サン・アントン豚”が村内に夏から放たれ、村民らの施しを
受けて育つ。観光客ガン無視でくつろぐサン・アントン君w
この豚はサン・アントンの日に“昇天され”、恵まれない
家族の下にその肉が届けられるという風習があった。(今はくじ引きとのこと)聖人足元にはしもべのぶーちゃんが常に。
そして張本人のサン・アントンこと聖アントニウス。
アレクサンドリア(エジプト)出身。
身分を捨てて砂漠に独り向かい、厳しい勤行にて精進し、
その生涯をひたすら悪魔とのガチ対決に捧げた聖人。
この「聖アントニウスの誘惑」のお題は西洋絵画で随分好まれ、
数々の作品あり。
ヤン・マンダインとサルバドール・ダリ
…などと文化的なことを喋ってますがw
各地村々においては「祭」といえば焚火、音楽、そしてタベモノ。
動物の守護聖人話は、「サンアントンを襲った盲目の豚が逆に癒され、
後に僕として仕えた」話、その他からきてるらしいものの…
例えば南部グラナダあたりの、この時期の名物は「Olla de San Anton(サン・アントン鍋)」感謝しつつも…やっぱ食べるんやw
この豚の期らしい、豚モツ煮込み鍋であります。
お菓子やなどでは真ん中に十字の、車輪に見立てた素朴なクッキー、
ウマにはかせる馬蹄に似せたケーキなど、期間限定で並ぶ。
そしてこの“期間限定”に弱いのは日本人だけじゃないと思うw
●喉の病気の救護聖人、サン・ブラス
2月3日はサン・ブラス(聖ブラシウス)の日。
喉の痛みや呼吸器の病を癒す救護聖人とされる。
この日の前あたりになると、街中ではカラーリボンを
売る人を見かけるようになる。聖人の伝統色、赤が一番売れるとのこと。
また他の地方では編んだ紐だったりする。
これを聖週間の始まるまで、首に結んでおくと
喉の病よけになるとの言い伝え。
サン・ブラスはアルメリアの司教。もともと医師で
あった聖人は、洞窟に住みながら、人間のみならず
動物をもいやしたとのこと。(この人も動物の守護聖人)
2本ロウソクの儀式で喉をいやすの図。
特に魚の骨を喉に詰まらせた幼子を治療したとの逸話から
喉の神様、みたいな位置に。
この日も各地にて結構盛んに祭が行われ、
一般にやはり“焚火、音楽、タベモノ”なんですが、
あれこれ目を引く伝統を残す祭もあって、なかなか面白い。
上記2つそれぞれエストレマドゥーラ地方の村祭り。
●節分、そして助け合い、励まし合い…
サン・ブラスは奇しくも日本の節分と同じ日…
と思うが、陰暦を用いていた時代には、やはりここら
辺を“節分”=季節の変わり目と考えていたらしい。
Por San Blas, una hora más
(サン・ブラスあたりから日が1時間増える)
などといった、いわゆる立春を感じさせる言い伝えが多い。
大きな焚き火(Hoguera)が必須アイテム的に
行われるのは、そりゃ寒いからというのもあるだろうが、
“清め(Purificación)”の意味も古い時代からある。
また各地で多いのはゲームやくじ引きで食料を分けたり、
金を出し合って大鍋料理を作ったりというのが多く、
これは昔は“持たぬ者”への救済もあったのか。
1年で最も寒さが厳しいこの時期。
まだまだ遠く感じる春の訪れを夢見ながら
お互い励ましあい、暖めあい、助け合いの祭りだったんだろうな。
このサン・ブラスの後、
「スペインの女正月」ことサンタ・アゲダ(聖アガタ)の祭、
そしてご存知サン・バレンティン(聖バレンタイン)と続き、
なかなか聖人聖女が引っ張りだこなわけで。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます