「日本の代表的な歌を唄ってくれ!」
とリクエストされたことはないですか?(それもアカペラで)
いろんな国、地方の方々が集まっている場にて。
国際交流パーティーの盛り上がり最中とか、
留学先の語学学校のグループ会話レッスンの時とか。
(←こんな感じのプレッシャーの中ww)
“お酒の席で必ず皆で唄う歌”だの、
その国産まれの世界的ヒット曲など、
それぞれの国の方がノリノリで唄って盛り上がる中、
きっとあなたは
「…何歌えばいいのぉぉぉ~!(涙)」と途方にくれる。
なぜか。
日本の代表曲→短調、スローテンポ、しみじみ曲が多いから。
「花」、「上を向いて歩こう」、「さくらさくら」…日本情緒タップリの歌ほどしみじみ感が多く
“このノリノリの雰囲気をクールダウンさせてしまう予感充分”なのだ。
↓
カラオケ発祥の国から出てきてこの有様。
“何でもいいから~国歌でもいいし!”と言われ、ならばと君が代を斉唱して
場を黙祷状態に凍らしてしまった経験もあり。
だから意外と難しいのだ…ご当地ソング歌唱は!
では…スペインを代表する歌といえば?
●世界的ヒットだったフラメンコ・ポップの「マカレナ」と「アセレヘ」
まず最初にでてくるのは90年代に大ヒット、カンナムスタイル並に
そのダンスが世界中で踊りまくられたロス・デルリオの「マカレナ」。
そしてやっぱりダンス付で02年大ヒット、ザ・ケチャップの「アセレヘ」
世界ヒットなどなかなか生産しないこの国では、かなりの衝撃的だった。
日本でも流行ったので、聞いたことあるはず。
年々古くなりつつありつつも、未だにスペイン代表曲と思われているふしあり。
ただし、「こんなの代表曲とか思わんでくれ」的なことをよく言われる。
確かに前者はアンダルシア色の濃い歌、後者はほぼ意味なし歌詞の、夏のアホ歌。
国外ヒットしちゃったから、スペイン代表になっちゃいました~感が高し。
●スペイン代表歌=パソドブレとコプラ(フラメンコじゃないんだ)
一方でスペインと言えば、イメージ曲としてこの曲が必ずでてくる。
「エスパーニャ・カニ」
この“オイチ、ニ!オイチ、ニ!”の元気なツーステップリズムがパソドブレ。
もともとは軍隊での歩兵行進の時に使われていたマーチ、これが闘牛の際の士気高揚の
音楽ともなり、簡単なステップで村祭などで皆が踊れるダンスとしてポピュラーになった。
(ビデオは社交ダンスの華麗なステップ。ラテンダンスの一種として昇華したもの)
この元気なマーチ風音楽は人気が高く、1920年代付近に量産されたらしい。
「パキート・エル・チョコラテロ」
パーティーでは必ずやかかるパソドブレ。これに合わせてグループで、ジェンカみたいに踊り狂うのが定番。
いっぽうコプラという、スペイン心の歌ジャンル。言ってみれば“スペイン演歌”が
40年代位から爆発的に広まる。情緒的な歌詞を独自のこぶし、歌唱法で歌い上げるコプラ
の人気は根強く、今日に至る。
このコプラ界の重鎮、マノロ・エスコバル氏がパソドブレのリズム歌った73年のヒット曲、
「イ・ビバ・エスパーニャ」をほぼスペイン第二の国歌という人は多い。
我が祖国、エスパーニャ賛歌そのもの。ヒット当時はヨーロッパ他国に
出稼ぎに出たスペイン人が多く、この曲を聴いて自らを励まし、時には
望郷の念にかられてむせび泣いた…という話をご老人から聞いた。
今でもサビの“ビーバーエスパーニャー!”の部分は、若い世代でさえ
サッカー応援などの際にがなりたてる。
やっぱりこの曲がスペイン代表歌かな~
●多彩なご当地ソング、多すぎ
各地のご当地ソングを調べてみると、やはり先程のパソドブレの
古臭い曲が圧倒的に多い。これは60年代後半以降、政府の奨励もあって
次々に生まれたものとおぼしいが、全部同じに聞こえるw
ちなみにここサラマンカのご当地ソングは地元出身ラファエル・ファリーナ氏の歌う
名曲「我がサラマンカ」。ご本人銅像も市内にそびえる。
それでも次世代、別ジャンルのご当地ソングも多い。
バルセロナの場合、ペレ氏の「バルセロナ・エチセラ」がご当地ソング。
“カタルーニャ風ルンバ”というスパニッシュルンバの軽さがいい。
マドリッドは地元の生んだスペイン版ボブ・ディラン、ホアキン・サビーナ氏のフォークソング。
北のアストゥリアス地方は伝統の、のどかな“国歌”がある。
南に行ってマラガのはなんとラップ!ゴルド・マスターの「マラガシティ」
…もっとあるけどページが重くなりすぎたからやめますw
地元愛、自分の村一番!意識が強く、まとまりのつかない国、スペイン。
それだけに、実は“スペインを代表する歌”を限定するのが難しい。
ていうか、すごく揉めるお題。(さっきのビバエスパーニャだって嫌う人も多い)
でもいいんじゃないかね。自然で。
全国統一!国民皆同じ!みたいなキナくさい考えより。