市場城は標高380mの山頂から中腹に位置する山城で、かつて小原谷大草城と呼ばれていました。小原地区には大平城・大洞城・仁木城・田代城などの中世山城がありますが、その中でも市場城は拠点としての役割を担っていたと考えられています。
室町時代が始まる応永年間（1394～1482）には、足助重春の一族が小原谷市場古城に居城し、長禄3年（1459）には、鱸藤五郎親信が足助の鈴木小次郎忠親から小原谷を与えられ領有しました。その後、文亀2年（1502）に鱸藤五郎親信が市場城を築き、第２代肥後守永重、第３代伊賀守直重、第４代越中守重愛までの８８年間、市場城は鱸氏４代の居城でした。重愛は徳川家康の元で大功をたてて、天正１１年（1583）に領地を加増され、城の石垣を積み、曲輪を整えるなどの城郭の大改修を行って堅城としました。しかし、重愛は、天正１８年（1590）関東移封の命に従わなかったため市場城を退去させられ、文禄元年（1592）廃城となったと伝えられています。
山頂がいわゆる本丸跡で、その南側には石垣が積まれ、西側には二の丸があります。また、帯曲輪が二重、三重に巡らされており、「竪堀群」や「枡形門」、「さんざ畑」と呼ばれている家老屋敷跡があります。竪堀群は、戦国期には全国的に多用されましたが、石垣が積まれる戦国末期には築かなくなり、愛知県下では旭地区の小渡城とこの城においてのみ見られます。
江戸時代の浅野文庫「諸国古城之図」にも、この市場城が掲載されており、中世の城郭史上、貴重なものです。、、、豊田市教育委員会（現地案内板より）
場所は愛知県豊田市市場町
東海循環道「豊田藤岡」IC下車。県道１３号線へ右折、さらに国道４１９号線へ左折。その後しばらく国道４１９号線を道なりに進みます。
14.4ｋｍ先、小原の集落に入り、「小原前田」の信号のある交差点の次の信号の無い交差点を右折
16Km先、菩提寺の「西運寺」を過ぎたあたり、左手に広場が見えます。ここが市場城駐車場でトイレも備わっています。
駐車場の10ｍほど先、左側に登城口があります。
自分は、足助から大坪城を経て、山越えで市場に入りました。
登城口
城址は遊歩道が整備され、大きな案内板が起点となります。順路は右手、反時計回りに一周するとこの場所に戻ってくると言う流れです。
現地案内板より
縄張図
※「愛知の山城ベスト50を歩く」より、加筆
順路に従って、裾野を南から東に回ります。山側には巨石が点在し、谷側には竪堀が何本も掘られています。
山側、二の丸の下辺りの斜面に「城主供養塔」の赤い鳥居と祠が見えます。
順路では、その先「空堀」の堀底を通って石垣のある本丸に向かうルートですが、自分はさらに裾野を東に回り込みました。
目的は旧大手道を探して、大手虎口から侵入を試みるつもりです。
旧大手道
大手道竪堀
大手虎口・虎口石垣
大手道よりⅡ郭
大手虎口
大手道より主郭方向
櫓台下曲輪
主郭下曲輪、高石垣
櫓台石垣
ここで本来の順路
空堀の堀底を歩くルートに合流
二の丸と東側曲輪の間に彫り込まれた幅の広い空堀
順路に従って本丸まで階段を登ります。
本丸高石垣。
本丸に入る前に、向かいにある二の丸へ
二の丸先端、土塁から下へ降りると小さな曲輪がありました。
二の丸より本丸方向
本丸石垣上段の崩れでしょうか？それとも排水溝？
本丸石垣
本丸下曲輪俯瞰
さらにその下の、櫓台曲輪
本丸石垣
見えないところは、途中までしか石を積んでいない
見えるところはしっかりと
虎口石垣
虎口と本丸
本丸土塁
途中までしか石を積んでいない境部俯瞰
本丸西側
本丸西側の城址碑
帯曲輪
北曲輪
北堀切
北西部に掘られた畝状竪堀
枡形門西面石垣
枡形門正面
枡形虎口
「さんざ畑」
堀切
虎口石垣
曲輪
さんざ畑の南側にある大きな曲輪
石積み
この曲輪を南側から出ると、一周して元の場所に戻りました。
【まとめ】
市場城は、空堀・堀切や畝状竪堀群という山城の特徴と、高石垣・枡形虎口という織豊系から徳川時代への進化をそのまま残した記念碑的な城郭でした。
家康の関東移封の命を断ったのは、この城に愛着と未練があったんでしょうね。解ります
ヤマップ行動記録
移動距離；1700ｍ
活動時間；1時間16分
ヤマップ3D
※参考、、、現地案内板、市場城址パンフレト、愛知の山城ベスト50を歩く他
【市場城】
《》
名称（別名）；いちばじょう（大草城、小原谷大草城）
所在地；愛知県豊田市市場町675
城地種類；山城
標高/比高；390m/60m
築城年代；不明
廃城年代；不明
築城者；鱸（鈴木）氏
主な改修者；天正11年(1583)鱸越中守重愛
主な城主；鱸（鈴木）氏
文化財区分；市指定史跡
主な遺構；石垣,土塁,郭,堀
近年の主な復元等；
地図；
【御城印】
販売先は
小原観光協会
住所；〒470-0531 愛知県豊田市小原町上平441-1
地図；
【移築門】
西運寺は市場城主鱸越中守の奥方の菩提所であり、市場城の移築門と伝わる鐘楼があります。
今は鐘楼として改修されています。
