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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

モハメッド・アリ 死す

2016年06月05日 | ボクシング

ボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、
モハメッド・アリ氏が3日、死去した。


96年のアトランタ・オリンピック開会式で、
聖火の点灯という大役を担ったアリ。

アトランタの英雄として、
アメリカの象徴として、
その姿を世界の人たちが見守りました。

あの時久しぶりに見たアリの姿、
衝撃的でしたし、ショックでした。

パーキンソン病を患っているということは知ってはいたものの、
その姿を見た時の衝撃は、
「あのアリが・・・・・」
という絶句に近いものでした。

それだけ我々の印象の中では、
モハメッド・アリというボクサーは、
強く、たくましく、そしてかっこよく……
そんなイメージのボクサーでした。


あれからちょうど20年。



このアリの訃報に対し、
日本のスポーツ紙、一般紙などは、
「アントニオ猪木と世紀の異種格闘技戦を戦った……」
なんて枕詞をつけていました。


が・・・・・、
ボクシングファンという立場から言わせてもらうと、
「そりゃ、違うだろう」
と思わざるを得ません。


アリという稀代の名ボクサーを語る際、
あのエキジビションマッチみたいな異種格闘技戦を思い出す人なんて、
まさに≪日本人しかいない≫でしょうよ。

ワタシは、
なんといってもアリで思い出すのは
≪キンシャサの奇跡≫
ジョージ・フォアマンを電撃の大逆転KOで破った、
あの世紀のヘビー級タイトルマッチですよ。

世界中のほとんどのボクシングファンも、
そうじゃないのかな?

猪木との試合は、
『ああ、そういえばそんな試合も、あったなあ・・・・』程度かな。
だって、
後付けでどんなに解説が付け加えられようとも、
見ていて決して面白い試合じゃなかったもんね。

その試合を見た次の日の学校では、
『やっぱアリ、本気出さなかったじゃん。ボクシングの世界チャンピオンが、こんなとこでケガしてもいいなんて戦い、するわけないよ。』
がほとんどの友達の意見。

『そりゃそ~だ』
で終わりましたね。

猪木の異種格闘技戦で思い出す戦いといえば、
やっぱり熊殺しのウィリー・ウィリアムスとの一戦でしょう。

あの頃は≪空手バカ一代≫が大人気でしたから、
プロレス好きの【猪木派】と極真会推しの【ウィリー派】が真っ二つ。
両陣営の殺伐とした雰囲気がまさに≪果し合い≫の風情で、
ドキドキしたもんです。


話をアリに戻しましょう。

カシアス・クレイという名ボクサーが改名してモハメッド・アリという名前になったというところぐらいから、
ワタシにはうっすらと記憶が出てきます。

当時日本で”ボクシング”というと日本人の世界戦が大人気の中心で、
『世界のボクシング』はあまり注目されていなかったように感じています。
しかし、
当時”象殺し”なんていう恐ろしいニックネームの若きチャンピオン、ジョージ・フォアマンと、
ボクシング界を一時追放されていて復帰したモハメッド・アリの対戦は、
世界中で注目されていましたので、
日本での注目度も高かったように思います。

アフリカのキンシャサという地で行われたということはワタシの記憶には残っておらず、
とにかく野外のリングで、
恐ろしく重そうなパアンチをブンブンとぶん回すフォアマンに、
試合開始のゴングから一方的に痛めつけられていたと思っていたアリが、
突如として中盤反撃に出て、
まさにパンチをフォアマンに雨あられと浴びせ、
フォアマンから逆転勝ちしました。
≪キンシャサの奇跡≫として今でも語り継がれる一戦です。

無敗のフォアマンが『象が倒れるように』舞いながらキャンバスに崩れ落ちた様は、
数十年たった今でも、はっきりと思い出せるほど強烈にワタシの頭に残っています。

衝撃としか言いようのない結末でした。

『すっげ~~~。世界のヘビー級って、こんなにスゲーのか!!!』

その時のワタシの興奮、
それが今日までボクシングが大好きなまま来た、
源泉になっているのかもしれないですね。

その放送、
テレビでやっていたんですよねえ。。。。
70年代~80年代、
確かテレビ東京(当時;東京12チャンネル)が、
硬派なボクシング中継やっていたんですよね。
ありがたいことでした。

余談ですが、
海外のスポーツに触れたのって、
12チャンネルが多かったように記憶しています。


まあしかし、
フォアマンを倒した後のアリのいわゆる”トラッシュトーク”すごいもんでした。
ま~しゃべる、しゃべる。
そして、
相手を徹底的に罵倒!

それはアリの『チョウのように舞い、ハチのように刺す』
というアリのファイトスタイルと、
セットになって『This is Ali』という感じでしたかね。

ワタシはサムライのような風情で
『男は黙って、スパッと切る』
タイプのファイターが好きでしたので、
結局アリのファンには決してなることはありませんでした。

しかしそのファイトスタイルは、
美しく見事でした。

『チョウのように舞い、ハチのように刺す』
ファイトスタイルは、
いわゆる”ボクサーファイター”ということですが、
彼のようなボクシングが『ボクシングの究極の進化系』という風に見えていました。

のちに80年代の、
ワタシの一番好きなミドル級戦線、
レナード・ハグラー・ハーンズ・デュランの”黄金の80年代”につながっていきます。

その先駆として、
そして今なお”アメリカンヒーロー”として語り継がれる数少ないボクサー、
それがモハメッド・アリですね。

彼の戦績を紐解くと、
ジョージ・フォアマン以外にも、
ジョーフレージャーやケン・ノートン、
レオン・スピンクスやチャック・ウェップナー
などの、
あの頃の懐かしい名前を目にすることができますね。

最近は海外のヘビー級戦線にさほど興味もないワタシは、
やっぱりヘビー級というと、
このアリとタイソンを思い浮かべちゃいます。

ちなみに猪木と戦ったのが76年ですから34歳の時。
当時の34歳といえば、
ボクサーとしては最晩年、
一方猪木はまさに日が昇る途中で、
その両者がかみ合って同じリングに上がったというのは、
ある意味奇跡的ですね。

その後K-1や総合格闘技など、
『どいつが一番強いんだ!』
という格闘技ファンの究極の興味をそそる戦いはその後一般化していきましたが、
このアリvs猪木の戦いは、
そういう意味からはとても興味深く、意義深い一線でした。


アリの訃報に際し、
ワタシはものすごくショックを受けているということはありませんが、
一時代の完全な終わりを感じる、
そういった出来事でした。

合掌。


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