きいろをめでる

黄瀬、静雄、正臣の黄色い子達を愛でる同人二次創作短編小説中心。本館はAmebaです。

微睡み(臨正)

2010-08-11 01:10:44 | 小説―デュラララ
「ねぇ・・・正臣くん、・・・・・・重い」
「えー・・・・・・」

なんだか間延びした会話。

そんな夏の、昼下がり。




「正臣くん、俺、本読んでるんだけどなー・・・」
「えー・・・・・・」

同じ返答。
だが、動く気はないらしい。



今の状況。
夏の暑い日差しの下に晒されるということはせず、全身真っ黒い男、折原臨也はクーラーが全開の自宅マンションに引きこもっていた。そして、ソファーに腹ばいになって、本を読んでいた。

そこへやってきた正臣が、少し涼んだあと、「疲れた」と言って、臨也の背中に抱き着くように、寝転がってきたのだ。

二人分の全体重を支えるソファーは、ふかふかの特上品で自慢のものだが、逆にそれがあだとなり、沈み込んで臨也は身動きが取れずにいた。




(普段これだけデレてくれるとありがたいんだけどなー・・・)

でもこれで、自分の背中で寝られてしまったら、起こすことも身動きを取ることもできない。
さすがにそれは、辛い。


「眠いんなら、ベッドいきな」
優しく声をかける。
「・・・ここがいいです」
「・・・・・・なんで?寝にくいでしょ」
「・・・・・・」

間が開いたが、何か言いそうなので、少し待ってみる。

「・・・いざやさんのにおいが、するから・・・・・・」
「っ!?」
「それに、こうしといたら、いざやさん、・・・どこにもいけない、かなー・・・」

寝ぼけているからか、いつもは聞けない甘えの言葉がぽろぽろでてくる。

(でも・・・本音ってことだよね?)

かなり嬉しい。かなり可愛い。
自分と離れて眠るのも、眠っている間に自分がいなくなるのも、嫌だなんて。



「・・・でも、やっぱりベッドで寝たほうがいいよ。体とか痛くなるし」

そして読みかけの本をぱたりと閉じ、優しい表情で、囁いた。



「一緒に寝よう?ずっと、ぎゅってしといてあげるから」



背中で、正臣君が笑ったような気がした。