☆本記事は、Youtubeチャンネル『本の林 honnohayashi』に投稿された動画を紹介するものです。
ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!
●本日のコトノハ●
古代には「萱草色を身につけると、物思いを忘れる」とされ、宮廷で忌に服すとき、紅の色は着用せず、
かわりに萱草色の服を着た。このため、萱草色は凶色とされたのである。
『色の名前で読み解く日本史』中江克己(2003)青春出版より
色で気分や思いの強さを表現することは一般的なことのように思えます。
例えば、楽しい気分の時はオレンジやピンク、悲しい時は水色や青、怒っている時は赤などです。
だいたいの人は、クレヨンや色鉛筆でハートを描く時、ピンクや赤を好んで使い、涙の雫には水色を使うでしょう。
(涙は無色透明の液体ですけどね)
すると、ピンクや赤のハートは嬉しさや楽しさを表し、水色の涙は悲しみや痛みを表すことになります。
このように、色は人の感情と密接な関係にあります。
ところで、萱草色と言われてどんな色だかすぐに分かりますか?
私の家の近くのガサヤブには、百合に似たヤブカンゾウの花が咲くことがあります。
その花の色は、黄色味を帯びた明るいオレンジ色です。もう一つ、よく似たノカンゾウという植物もあるのですが、こちらはもっと黄色に近い色をしています。
古代に宮中の忌に服す際に着用された「萱草色」はどちらかというとヤブカンゾウの色に近い、赤とオレンジの中間くらいの色です。
カンゾウの別名はワスレグサで、いったい、いつからそう言われてきたのか知りませんが、別れの悲しみを忘れさせてくれる花なのだそうです。
ワスレグサの名前は、和歌に使われることもあり、もう自分のもとへ通って来なくなった恋人の家の庭や道に生い茂っているのだろうと皮肉たっぷりに詠まれることがあります。
いずれの場合も、忘れるのは出来事そのものではなく、それが起こった時に当事者たちが感じた心の動き方を忘れるアイテムなのです。
大切な人と死別したことも、大好きな人と破局したことも、その事実や結果を変えることはできません。
私などは、ショックな出来事があると、そのこと自体を「思い出したくない!」「忘れてしまいたい!」と思うものですが、古代の人は、その出来事があったということはそのままに、それによって生じた悲しみや苦しみをカンゾウ(色)を見ることで和らげようと考えたわけです。
似たようなアイテムに「恋忘れ貝」というものがあります。
これも、恋をしたことによる切ない痛みを忘れさせてくれる貝であって、その恋自体を忘れるものではないのです。
恋愛がうまくいかない時、「こんなにつらいのであれば、相手に出会わなければよかった!」とか「二人の仲をなかったことにしたい!」と思う人もいるかもしれません。
しかし、忘れようとすればするほど、不思議なことにずっと記憶の中に残り続けてしまうものです。
それならば、咲いては散る花の色に自分の気持ちを重ねて、やがてこの苦しみが色褪せ、散り枯れていくだろうことを古代の人々は期待したのかもしれません。
ちなみに、葬儀の際に身に着ける喪服ですが、昔は白や薄墨色を着用することもあったようです。
庶民の間では、戦前まで、白い喪服と黒いものが混在していましたが、戦後になると、黒に統一されるようになったそうです。
現在でも、葬儀に白い喪服を着用することは間違いではないのだとか。
いろいろと、他人の目が気になる日本社会がもっと生きやすくカラフルにならないものかと願ってやみません。
ヒトコトリのコトノハ vol.34
ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!
●本日のコトノハ●
古代には「萱草色を身につけると、物思いを忘れる」とされ、宮廷で忌に服すとき、紅の色は着用せず、
かわりに萱草色の服を着た。このため、萱草色は凶色とされたのである。
『色の名前で読み解く日本史』中江克己(2003)青春出版より
色で気分や思いの強さを表現することは一般的なことのように思えます。
例えば、楽しい気分の時はオレンジやピンク、悲しい時は水色や青、怒っている時は赤などです。
だいたいの人は、クレヨンや色鉛筆でハートを描く時、ピンクや赤を好んで使い、涙の雫には水色を使うでしょう。
(涙は無色透明の液体ですけどね)
すると、ピンクや赤のハートは嬉しさや楽しさを表し、水色の涙は悲しみや痛みを表すことになります。
このように、色は人の感情と密接な関係にあります。
ところで、萱草色と言われてどんな色だかすぐに分かりますか?
私の家の近くのガサヤブには、百合に似たヤブカンゾウの花が咲くことがあります。
その花の色は、黄色味を帯びた明るいオレンジ色です。もう一つ、よく似たノカンゾウという植物もあるのですが、こちらはもっと黄色に近い色をしています。
古代に宮中の忌に服す際に着用された「萱草色」はどちらかというとヤブカンゾウの色に近い、赤とオレンジの中間くらいの色です。
カンゾウの別名はワスレグサで、いったい、いつからそう言われてきたのか知りませんが、別れの悲しみを忘れさせてくれる花なのだそうです。
ワスレグサの名前は、和歌に使われることもあり、もう自分のもとへ通って来なくなった恋人の家の庭や道に生い茂っているのだろうと皮肉たっぷりに詠まれることがあります。
いずれの場合も、忘れるのは出来事そのものではなく、それが起こった時に当事者たちが感じた心の動き方を忘れるアイテムなのです。
大切な人と死別したことも、大好きな人と破局したことも、その事実や結果を変えることはできません。
私などは、ショックな出来事があると、そのこと自体を「思い出したくない!」「忘れてしまいたい!」と思うものですが、古代の人は、その出来事があったということはそのままに、それによって生じた悲しみや苦しみをカンゾウ(色)を見ることで和らげようと考えたわけです。
似たようなアイテムに「恋忘れ貝」というものがあります。
これも、恋をしたことによる切ない痛みを忘れさせてくれる貝であって、その恋自体を忘れるものではないのです。
恋愛がうまくいかない時、「こんなにつらいのであれば、相手に出会わなければよかった!」とか「二人の仲をなかったことにしたい!」と思う人もいるかもしれません。
しかし、忘れようとすればするほど、不思議なことにずっと記憶の中に残り続けてしまうものです。
それならば、咲いては散る花の色に自分の気持ちを重ねて、やがてこの苦しみが色褪せ、散り枯れていくだろうことを古代の人々は期待したのかもしれません。
ちなみに、葬儀の際に身に着ける喪服ですが、昔は白や薄墨色を着用することもあったようです。
庶民の間では、戦前まで、白い喪服と黒いものが混在していましたが、戦後になると、黒に統一されるようになったそうです。
現在でも、葬儀に白い喪服を着用することは間違いではないのだとか。
いろいろと、他人の目が気になる日本社会がもっと生きやすくカラフルにならないものかと願ってやみません。
ヒトコトリのコトノハ vol.34
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます