65歳から初めるクラシックコンサート

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生オケ・シネマ チャップリン『モダン・タイムス』その2

2025-02-08 17:09:20 | 映画

上映の前、まずは指揮者、竹本泰蔵さんから、映画『モダン・タイムス』についての簡単な紹介がありました。


本作がチャップリン最後のサイレント映画であること。
映画の終盤、チャップリンが歌うシーンがあり、世界で初めてチャップリンの肉声がここで披露されたこと。
編曲者が、チャップリンの原曲から、オーケストラ用のスコアを編み出したこと。
オリジナルの作曲者は、チャップリン本人であること、など。

そのあと、オーケストラの皆さんが現れ、観客から大きな拍手が……。
やがて、大ホールの照明が落とされ、映画が始まりました。
***
主人公チャーリーは、大企業の工場で働く、作業員の一人。
ベルトコンベアーで流れてくるのは、金属の板。
そこには、ふたつのボルトが付いています。
チャーリーの仕事は、この2つのボルトを締めること。
両手にスパナを持ったチャーリーは、一日中、この機械的な作業を繰り返します。

『いったいこの部品は何に使われるだろうか?』
そんな悠長なこと、考えるスキもありません。
ベルトコンベアーは、次から次へと、この部品を送り出してきます。
チャーリーは、ただ、一生懸命ボルトを締める。仕事はホントにそれだけ。
激しい流れ作業は、社長の指示で、更にスピードアップ。
耐えきれなくなったチャーリーは、ついに精神に異常をきたすのです……。
と、こう書くと、いかにも悲劇なんですよね。このお話って。
しかし、チャップリンは『喜劇の王様』。
『悲劇の中にこそ、笑いがある』
そのセオリーを熟知しているのです。
**以下余談
『幸せの黄色いハンカチ』は、高倉健さんと武田鉄矢さんが共演した名作ですね。

一緒にクルマで北海道を旅する、ロードムービーの形式を取ります。
その途中、武田鉄矢さん演じる欽也が、カニを食べすぎて、お腹を壊してしまいます。
近くには民家もなければ、ガソリンスタンドもありません。
たまらず、車を止めて、木陰に駆け込む欽ちゃん。
武田さんは、おしりに手を当て、内股で、木陰に駆け込む演技をします。
このシーンで山田洋次監督は武田さんを叱りつけたのです。
『ナニを笑わせようとしているんだ! いいか! 君にとってこれは、深刻な悲劇なんだ‼️』
もう、僕の解説入りませんよね。そうです。極めて厳しい、極限の悲劇的状況だからこそ、そこに笑いの要素がある。名監督、山田洋次はそのことを熟知していたのです(余談終了)
***
さて、オーケストラに着目すると、
モダン・タイムスの、工場シーンでは、打楽器が大活躍。
特にリズミカルなシーンは、マリンバが、ほとんど出ずっぱり。
いかにも、ドタバタ喜劇の安っぽい伴奏のように思うでしょう?
ところが、
今回の『生オケシネマ』の大きな特徴。
それはチャップリンの音楽ってこんなにも豊かなんだ、という再発見でした。
フルオーケストラの贅沢な演奏は、幾重にも重なった音楽の響き。
それは立体的な奥行きのある、味わい深い、上質な音楽なのでした。
(続く)

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