ストーリーに深く触れる内容の為、御覧になる方はネタバレに注意して下さい。
また、腐発言もありますが、これは習性なので諦めて下さい。
大丈夫な方のみ、下へ↓↓↓↓スクロールして御覧ください。
<感想と考察>
何でしょう。鑑賞後の遣り切れなさと言ったら半端ない映画でした。
スティーブ・マックイーン監督の作品とあるのですが、「え?あのスティーブ?え?」と思ってました。
いやいやいや、彼はだいぶ前に死んでるから…と思って調べましたら、何と黒人の同姓同名の監督さんでした。
その彼の作品は「それでも夜が明ける」を観ていました。
…すみません、余りもの残酷な内容で家族で痛々しく観ていた為、何とマイケルがあの冷酷な支配人だとは思いませんでした。
若いのにやたら存在感のある俳優さんだなぁくらいにしか観てなく惜しい事をしました。
あの作品は辛くて「また観たい」と思う内容では無かったのですが、黒人奴隷差別の現実を強く印象付けられました。
おっと相変わらず話が逸れました。
この作品、「SHAME」にはあらすじらしきものは存在しません。
カメラは単調に男とその妹と、彼等に近しい者だけの小さな淋しい世界を追っているだけで、
余りにも空気のようで、まるで鑑賞者が彼等の私生活を、透明人間か何かになって盗撮しているのではという錯覚さえしてきます。
男、ブランドンは性依存症とでもいうのでしょうか。
自宅にいる時は一晩だけの彼女、若しくはお金で雇った娼婦を家に呼んでセックスという毎日。
会社に出勤し、仕事はしていても、何か仕事でストレスがあれば会社のトイレの個室で自慰をする程の異常さ。
…というか会社のPCがウィルスに感染してると没収された時点で、
(まさか…会社(公共)のPCでまでエッチ関係の検索やブクマしてないだろうな…)
と心配していたら、やはり伏線でした。
ブランドンは見た目細くて(エッチ優先であまり食べてないと推測)顔が整っているので、目線だけで女を口説けます。
同僚の上司デイヴィッドが口説けなかった知的な女性も、一人になった処を誘われるなど、本当女には困らないタイプ。
そんな彼だからこそ、同性にはあまり好かれてないのかしら。友人らしき気配がありませんでした。
そんなセックス三昧な彼の元に実妹シシーが転がり込んで来ます。
性依存のみで心の繋がりを求めていないブランドンに対して、振り回す程に相手に心を明け渡すシシー。
そんなシシーはブランドンの上司、デイヴィッドと関係をもってしまう。
自分の部屋で事を為されて行き場のないブランドンは夜の街を疾走します。
暫くしてブランドンはデイヴィッドのオフィスに呼び出され、PCのハードディスク内の倒錯的な性の趣味を非難されます。
程無くして、それがシシーがデイヴィッドに執拗なアピールを続けていた為の牽制だと気付いた彼はシシーを責める。
家から出るよう厳しく言い放つと彼は夜の街に飛び出していきます。
バーで彼氏持ちの女の子に性的な誘いをして彼氏に殴られたり、
いいなと思ったオフィスの女の子とデートするも失敗し、
彼女とはエッチ出来ずに帰られてしまったり、行き付けのバーに入れず、
向かいのゲイ専門のクラブにフラフラと入ってしまい、
奥の部屋でマッチョに引っ張り込まれ、ちゅ~したり〇〇〇を×××されたりします。
はい、ここ重要。テストに出ますよ。
マイケルが男とちゅ~します!!
ジェームズ!マイケル浮気してるよ!浮気!(仕事です)
内容として「ブランドンは性依存症を抱え、彼の住むニューヨークへ妹が同居しに来たことから生活が崩壊していく」とありますが、
別に元々崩壊してるでしょうと私は思います。
言い換えれば、彼の単調な生活が乱され、上手くいかない事を全部妹の所為にしてしまい、
彼女を追い込んだ挙句、激しい自己嫌悪に陥る哀しい男の話。
ある意味、ブランドンもシシーも、何かに依存する事によって、淋しさを紛らわせていると感じました。
現代社会を生きる皆さんは大体スマホでしょうか。
私はスマホを持っていないので、映画やゲーム、ネサフなどに依存しているのかなと自己分析。
人と繋がり、愛する必要はないと感じているブランドンは性依存症なので、セックスに愛情は不要と思ってます。
シシーは相手が重いんじゃ…?と思うくらい愛を囁き、心を捧げます。
そうするのが愛情と勘違いしています。
愛さねば愛を得る事は出来ません。
その為、二人は愛されず兄には妹、妹には兄しかいないのです。
でも、ブランドンはそれが見えずに上記のように、シシーに当たり、シシーは酷く傷付き、リスカします。
自傷行為をする人は、その時に生きてる実感が湧くと言っていたのを読んだ事があります。
シシーも唯一の繋がりであるブランドンに見捨てられ、生きていられないと悲観しての事でしょうが、
ブランドンにしてみれば、意味が分からない。
自分の思い通りにならず、自暴自棄になったとしか思えず、かと言って見捨てる事も出来ないと知り、
雨に濡れた町の路上でたった一人、泣き崩れます。
最後に地下鉄の車内、以前は靡かなかった人妻が、今度はやる気満々で誘って来たのを見詰めるブランドンで物語は終わります。
いや、其処は行っちゃ駄目よ?自分でも不倫は良くないって言ってたでしょ?
あ、でもこの子、彼氏居ようが指輪してようが(人妻)誘う子だった…。
これは破滅へのプレリュードという事なんでしょうか。
そう思うと更にやるせないな~と後味悪いです。
少し気になったのは、シシーが来てから、ブランドンが上司デイヴィットに変態扱いされたストレスで、
職場で知り合った女の子マリアンヌとデートするのですが、彼女とは恋愛の価値観が合わず、
結局エッチ出来ず地下鉄の入り口で別れるのですが、翌日職場で誘うと彼女は乗って来るんです。
(お、イケるじゃん。やっちゃお、やっちゃお♪)
と自宅へ連れ込み(え?仕事はどうしたの二人とも、早退ですか?エッチ早退ですか?と画面突っ込み)、
早々にエッチを始めるんですが、何とブランドンが「おっき」しない。
意識はせずとも、この時、ブランドンは心の繋がり、詰まり職場の女の子マリアンヌと恋愛してみようと思ったんじゃないかと思います。
でも勃たなかった。これはショックですよね。
でも、娼婦(プロのお姉さん)にはガンガンイケるんです。
(あ、やっぱ恋愛なんて俺には無理なんだ)
ブランドン此処で自棄になったのかなと勝手に推測。
そうじゃなきゃ、節度を持って誘っていた彼が、明らかに彼氏が同じ場所にいるバーで女の子を淫らに誘ったり、
ゲイハッテン場らしきクラブに入って男とやっちゃったり(最後までしたかは妄想次第)、
プロのお姉さんを二人も呼んで3Pしちゃったりしないかなと。もう性乱れ放題でした。
兎に角、色んな賞を総舐めにした問題作。
ブランドン役のマイケル・ファスペンダー氏の迫真の演技は鬼気迫る物があります。
3Pしてる時の表情が、恍惚としたものなどでは無く、まるで辛くて仕方無い、誰か止めてという顔なんです。
其処までして依存しなければ生きていけない人の性に哀しみが募ります。
マイケルはこの年、この「SHAME」以外に「ジェーン・エア」を撮り、共に「X-MEN FC」を撮っていたんですね。
恐ろしい程仕事してます。少し休んで下さい。ほそっこいから心配してしまいます。
この現代社会のブランドン、
ジェーンエアでは中世のロチェスター、
X-MENでは戦後のエリックと色々な時代の色々な役をこなしている訳ですね。
彼はこの監督さんと何作も組んでいるみたいで、他の作品も観てみたいですね。
また、私的には「アサシンクリード」がとても楽しみです。
彼、俳優(主役)兼製作ってありますが、ゲーム好きなんでしょうか。
ゲーム好きならジェームズの「ウォンテッド」とか遊んでて「この前クリアしたよ」とか話してたら可愛いですね。
此処まで読んで下さって有難うございます。
ジェームズ(チャールズ)の相手役、マイケル(エリック)の作品なので、観ておきたかったので満足です。
私的には余り得意じゃないジャンルですが、色々考えさせられました。
皆様にも何か伝われば幸いです。