あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

仄かな思いと祈りと(SQ)

2007年11月30日 | 世界樹の迷宮関連





キタザキ先生はwikiによると、 「ケフト施薬院/キタザキ先生…「超執刀カドゥケウス(アトラス)」 の登場人物・北崎威一郎が、スターシステムで出演したもの。
一番最初にキタザキ先生と表記されたのは公式ブログの「日向世界樹通信」からである。
その昔は冒険者だったらしく、ミニコミ誌によるとメディックとして相当のレベルを有しているようだ」とあります。


因みに「超執刀カドゥケウス」の時の顔はアトラスのHPへ。
はっきし言ってセカキューの時の顔の方が1万倍位可愛いしかっこいいです。
キタザキ先生は台詞的にも萌え萌えで、
「私が言うのも何だが、若い冒険者にはここへ何度も足を運んで欲しくは無いものだね」とか、
「迷宮は奥へ行けば行くほど、危険が増える。 私も昔は仲間とともに挑んだから、迷宮の奥がどれほど恐ろしいかは、知っているつもりだ。 私は実力をさとり、迷宮の中に入る事はやめたが、こうやって若い君達の力になれるのは、うれしいことだ」とか、
「第5階層は、今まで以上に凶暴なモンスターが多いそうだね。私の薬がどこまで役に立つか分からないが、君たちの冒険を少しでも手助け出来れば幸いだ」とか、
凄く可愛いんです。私(アリステア)的に、「薬よりせんせ~の顔見る方が癒される…」てな感じなんですけどね。


キタザキ先生の俺設定{笑}は、「奥さんとは20代で死に別れ。一人娘は16歳の際に隣町に嫁にいかれ、それ以来独身生活。綺麗好きで花屋の隣の一軒屋で一人住まいをしている」です。SSは女性向けオヤジ受けで、ネタバレありです。それでも宜しければ↓↓↓お読みください。




























<仄かな思いと祈りと>



重そうな靴音がケフト施薬院の大理石の廊下に響いて来る。それが段々この治療室に近寄って来るのだ。
乱雑そうなその大きな物音に、小心者の助手リリアは小さく悲鳴を上げる。ちゃんと説明はしてあっても慣れないのだろう。
キタザキは痛む頭に手を遣り、やがては聞こえるだろう、靴音の犯人の大声に深呼吸をした。

「せんせ~!キタザキせんせ~~~!」

呼んだ本人の返事も聴かずに治療室のドアは蹴破らんばかりの勢いで開かれた。
治療をされていた冒険者も座った椅子から飛び上がった。脱脂綿をピンセットで摘みながらキタザキはその犯人をじろりと睨んだ。

「私は患者の治療中なんだが?」

エトリアでは有名になった冒険者ギルド「アシュトレイ」のソードマンの1人であるアリステアは薄紫の短髪を揺らし、悪戯っ子のように白い歯をみせて笑った。
年齢は優に20歳を超えているのに、その笑顔はもう1人のソードマン、アディールと変わらない気がする。
悪びれもせずにアリステアは呪われ、膿んだ傷を治療されている患者の青年を見下ろすと、凄味のある笑顔で言い放った。

「向かいの酒場にシャスとエドヴァルドって言う有名なメディックがいるから、そいつに治療して貰いな?オレの名前を言えば、タダでやってくれるから。な?」

背後に暗雲を背負って凄むソードマンにレンジャーの青年は悲鳴を上げ、転がるように治療室を出て行ってしまった。
キタザキは呆れたようにその後姿を見送ると、視線をアリステアに移し溜息を吐いた。

「君はケフト施薬院を潰す気か?うちもボランティアじゃないんだぞ?」
「いいじゃん。せんせ~はオレ専用って事で。メディックは他にも一杯居るんだからさ」

キタザキはもう一度小さく嘆息すると、隣で不安そうに2人の遣り取りを見ているリリアに昼食を採ってくるように指示し、自分も休憩する事にした。
丸い小さな椅子に大きな身体を収め、ちょこんと座っているアリステアにキタザキは失笑する。
世界樹の迷宮の謎を解いたギルド「アシュトレイ」にふらりとエトリアに現れたアリステアが入ったという噂はすぐに街中に広がった。
あの厳選した人物しかギルドに許容しないギルドマスター、メディックのエドヴァルドが認めたというのだ。
どんな人物か街中の人間が興味を持った。
しかし、実際蓋を開けてみると、人懐っこい大型犬のような豪快な青年という何とも期待ハズレな内容だったのだ。
しかし、その青年は余所者には厳しい街の人間にたった数週間で馴染んでしまったのだ。
そしていつも人と距離を取って接していた筈の自分さえ、次第に彼を受け入れつつある。
アリステアは頑なに閉ざされた心さえ開いてしまう不思議な魅力を持っていた。
キタザキは再度腕捲くりをするとアリステアに向き直った。

「…で、その自分のパーティの有名なメディックに頼まず、私の処に来た理由は何かね」

アリステアは真剣な顔をして、キタザキの顔を見返して来る。
そのオレンジ色の瞳に見られると、何故かキタザキは落ち着かなくなる。忘れていた何かを思い出しそうになって、キタザキは焦った。
急いで視線を外し、大きな治療机に凭れ掛かるように手を置いた。その手にそっと温かい何かが触れる。
視線を遣ると、大きな厚い手の甲だった。傷だらけで無骨な手。若いのに苦労してきたのだろう、剣ダコに塗れ熱く火照っている。
キタザキは繊細な自分の手が恥かしく思うのと同時に、重ねられたこの大きな手を好きだと思った。

「せんせ?」

そっと触れるかのような小さな呼び掛けに、キタザキは自分が呆けていたのに気付き、頬を染め、アリステアを見た。
そしてその顔を見るとつられて真っ赤になってしまう。そう、アリステアは顔を真っ赤に染めていたのだ。
お互い、火が出るように真っ赤になったまま暫く見詰め合っていたが、意を決してアリステアが口を開く。
いつに無く真剣な眼差しにキタザキは何も言えずに、ただ見守るしか出来ない。

「明日、オレさ、エド達と一緒に見つかった第6階層に初めて潜るんだ」

世界樹の主を倒した後、その玉座の裏に更に下に階層がある事実が判明した。
第6階層と名付けられた階層は危険極まりなく、第5階層まで行き着いた冒険者達でさえ、容易に下りる事が出来なかった。
勿論、「アシュトレイ」の面々も何度か降りて26階までは何とかクリア出来たが、27階に降りた途端、何度も落とし穴に落ち28階にいる強敵のF・O・Eに悩まされ、今ではレベルの低いパーティメンバー強化やクエストをこなして、パーティの層を厚くしているらしいのだ。
エトリアに来た際には一介の冒険者に過ぎなかったアリステアも今ではLV30を超え、第2階層の敵なら瞬殺出来るまでには成長している。
しかしアディールに比べればまだまだなのだ。
アディールと交代で第6階層に降りれる位に早く成長させようというエドヴァルドの判断なのだろう。
しかしキタザキは顔を曇らせた。そう、まだ早い。LV30では恐らく26階の雑魚キャラに即死させられてしまうだろう。
幾らレベルの高いメディックであるシャスやエドヴァルドが同行するにしても、雑魚キャラとの戦闘でさえ、毎回死と隣合わせなのには間違いなかった。

「あぁ、もう…そんな顔しないでくれよ。オレ、我慢出来なくなるだろ?」

何を言っているのかと顔を上げると微苦笑したアリステアの顔が見えた。
キタザキはそれで自分がどれだけ不安そうな顔をしていたか、気付いた。
ケフト施薬院でメディックとして働いて数十年になる。
それまで何人もの患者の死に立ち会って来たし、街の人間を何人も看取ってきた。
それなのに、今迄感じたことのない胸の痛みにキタザキは懐かしさを感じてしまう。感じたことのない訳ではない。忘れていたのだ。ずっと昔に封印した筈の気持ち。亡くしてしまった愛しいという感情。

(愛しい…?)

キタザキは呆然として視線を彷徨わせる。青年が小さく微笑んだ気がした。

「せんせ?だから、死なないようにオレにおまじない、かけてくれよ」

聴き慣れない言葉にキタザキは数回瞬きをする。
その意味を漸く悟ると、まじないなら街のカースメーカーに頼めと言い掛かったが、結局何も言い返せずにキタザキは言葉を呑み込む。
暫く考えた後に、呟くように、言い返す。視線はアリステアから逸らしたままだった。

「まじないなど私は知らないぞ。何をすればいいんだ」
「それはせんせ~が考えてよ。オレも知らないんだしさ」

キタザキは先程思い出した感情を再度辿ってみる。
キタザキがまだ20代の頃に亡くしてしまった愛らしい妻の事、隣の街に嫁に行ってしまった妻の忘れ形見である娘の事。
その2人がいつもおまじないと言って自分にしてくれていたもの。
キタザキは何も考えずにそれを反芻し、一度咳払いをすると、椅子から腰を浮かせた。

「………せ…ん…せ……?」

額にキスされた当の本人は熱く痺れるようなその熱が逃げないように、そっと自分の額に手を遣った。
キスした本人は自分がした行為に我ながら恥かしくなり、急いで視線を逸らすと言い訳する。

「…私が知っているまじないはそれだけだ。……そろそろ昼休みが終わってしまうから、私は食事をしに行くぞ!しっ…死ぬんじゃないぞ!ステア!じゃあ!」

逃げるかのように、キタザキは急いで立ち上がると、アリステアの横を足早に去ろうとする。
しかし、闘いに慣れた冒険者の方が何枚も上手だった。
一瞬で立ち回りキタザキの腕を鷲掴みにすると、先程の悪戯っ子のような笑みでキタザキの真っ赤な顔を見上げて来る。
その笑顔が眩しくてキタザキは眩暈がしてしまう。この青年への思いが止まらない。自分も相当な重症のようだと自嘲する。

「もう一回呼んでよ、せんせ。オレ、少しは期待していいの?」

邪気のない太陽のような笑顔にキタザキは少し見惚れてから、ゆっくりと顔を下ろしていく。

「あぁ…。ステア…。だから必ず帰って来い…」

キタザキの分のサンドイッチを買って来たリリアがドアの外で恍惚としていたのを2人は知らない。
新参者のソードマン、アリステアが長年独身で有名だったケフト施薬院のキタザキを堕としたという噂も瞬時にエトリアの街で有名になったのは言うまでも無い。



<了>



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とうとうSQでBL、然も「おっさん受け」書いちゃいました。
「アリステア」は有名なキ○ンディ・キャ○ディから。飛行機事故のシーンでは、パットこと、パトリシアと泣いたよ。
アーチーこと、アーチーボルトも作りたいけど、貴族名過ぐる…















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