あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

子供だけじゃないの(セリニアス)

2020年05月14日 | 創聖のア◇工リ〇ン関係

 

 

これは、2007年10月21日に書いた「創聖のアクエリオン」の二次創作SSの再掲です。

ハロウィンネタで書いたので、扮装やお菓子などが出て来ます。

大きな男の人の女装が大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<子供だけじゃないの>


突如現れた大きなカボチャに、アポロニアスは悲鳴を上げないにしても目を大きく見開き硬直した。
オレンジ色のカボチャには、目と大きな口が切り込まれ、その中は真っ暗で、まるでお化けの形相だ。
訳の分からないまま、眉間に皺を寄せる人間界の救世主に、悪戯の主は満足そうにカボチャの後ろから顔を出した。

「良く出来てるでしょう?ハロウィンの為の飾りなの」

ハチミツ色の短髪をくるんと跳ねさせ、アリシア城の王女セリアンがアポロニアスに微笑んだ。
「ハロウィン?」と堕天翅は首を傾げる。
翅なしである人間界に来て数ヶ月、分からない事だらけだった。
その中でも翅なしという生き物は「イベント」や「パーティ」が殊更好きという事を知った。
夏は花火、秋は月見、そして秋も深まる今の季節には、
そのハロウィンと言う訳か、とアポロニアスは小さく嘆息する。
派手な事が苦手で本来奥手なアポロニアスは人前に出るのが好きではない。
尚且つ、現在人間界の救世主として天翅と闘っている自分は何処に行っても注目された。
殆んどはセリアンや臣下のナイトシェードが説明や紹介を行ってくれてはいるが、
今度のイベントは何をしなければいけないのかとアポロニアスは頭が痛くなった。

「それで、私は何をすればいいんだ?セリアン…」

セリアンは「話が分かる人は好きよ」と満面の笑みを浮かべた。
何故かアポロニアスはその笑みに懐かしい寒気を覚えた。
それは遠い故郷アトランディアでいつも感じていた寒気に良く似ていた気がして、
「…まさか…な…」と顔を背け口許を引き攣らせる。
セリアンはハロウィンの催しの手順を要領良く説明した。
アポロニアスは一回の説明ですぐに手順を飲み込むと、幼子のように数回瞬きをした。

「それでは、私は来た子供達にお菓子を渡せばいいだけなのだな」

簡単な事だとアポロニアスは何故か拍子抜けした。
セリアンが公務から抜け出し態々自分の元まで来たのだ。
何か企んでの事に違い無いと踏んでいたのだが、取り越し苦労だった様だ。
一安心しているアポロニアスにセリアンは「それでね」と終わって無かったらしい話の続きを始めた。

「あなたの衣装なんだけど」

アポロニアスは一瞬何を言われたか分からなかった。
ゆっくりとセリアンを振り返る。
其処には頬を染め、嬉しそうにわくわくしている愛する乙女。
もとい腐女子。
その手は認めたくないがびらびらっと黒いフリルの付いたスカートらしき衣装を握っていた。
アポロニアスは真っ白になって動けない。

「ね、すっごく似合うと思うの。アポロニアスのサイズに合わせて作らせたのよ!?
大丈夫!ミニスカートじゃないから、膝上のスカート丈よ?バンパイアのメイドさん。
可愛いと思うわ~!真っ赤な髪に真っ黒なゴスロリメイドさん!
アポロニアスの身長でメイドさんなんて、きゃぁ!私、萌えちゃあああう!」
「…セ…セリアン…落ち着け…」

幾人か護衛の兵士がいる前で興奮し始めた一国の王女は「あら、いけない」と、
頬を上気させ愛らしい唇を押さえた。
そしてもう一度愛する天翅に微笑み掛け、「今から試着してみて」と哀願する。
目がきらきら輝いている。アポロニアスは背筋に冷たい物を感じたじろぐ。

「さ…先程の説明では、ふ…扮装するのは子供だけと理解したのだが…。違うのか」

セリアンはふっふっふと勝ち誇った様な笑みを浮かべると衣装毎、
片手を腰に当て片手を口許に当てると高らかに笑い出す。
それは女王様の笑い方だ…とアポロニアスは涙目になる。

「イベントは大人も扮装して楽しむ事も出来るのですわ!
子供達が寝た後に二人だけでハロウィンパーティよ!…大丈夫。
あなたの可愛い姿は私以外、誰にも見せないから!アポロニアスの艶姿は私専用よ!!」
「…セリア…」

頬を真っ赤に染め、俯く体躯の大きな堕天翅にセリアンはにっこりと微笑んだ。

「ほら、蝙蝠の飾りに翅まであるのよ~!エプロンもフリフリだしw
ほぉら、着てみて!お願いw」

胸元に衣装を押し付けられ、困りながらも結局アポロニアスは了承せずにはいられないのだ。
今夜は寝かせて貰えるだろうかと、更に頬を染める。
いつの世でも男は愛する女には勝てないのだ。ハロウィンまで後僅か。


<了>

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私の書くセリアンは漢前な腐女子です。

 

 


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