あぽまに@らんだむ

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紅き衣の温もり(セリニアス)

2020年05月14日 | 創聖のア◇工リ〇ン関係

 

 

これは、2005年9月24日に書いた「創聖のアクエリオン」の二次創作SSの再掲です。

アトランディアからセリアンを伴い駆け落ちしたアポロニアスが、

セリアンの居る城に身を寄せている時の妄想のお話です。

俺設定三昧なので、大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

<紅き衣の温もり>


背の傷が癒え、陵辱された後の体力も戻りつつあるアポロニアスに逢う為、
忙しい公務の間を縫ってセリアンが部屋を訪れた。
蒼い剣士こと、ナイトシェードは巻いた包帯をもう一度解いて、背の傷をセリアンに見せてやった。
まるで悪魔に翅をもがれたかのように、背に走る鍵爪の痕。
逞しい筋肉に覆われた美しい背を蹂躙されているようで、セリアンは顔をしかめた。
しかし、傷は乾きこれ以上治る事は無い。
医療兵でもある剣士は残念ですと頭を下げた。

「傷は…痛まないのだから、案ずるな」

まるで自分の傷であるかのように、悲痛な顔をしているセリアンにアポロニアスは健気に微笑む。
痛まない筈は無い。
天翅が一番敏感だという翅を自ら引き千切ったのだ。
戦場で翅を毟られ死ぬ堕天翅を何回も見ている。
セリアンを護らなければという強い意志で何とか失神せず、アリシア城まで逃げ延びて来たのだ。
それは正に奇跡だった。
それ程にセリアンを愛していたのだろう。

「そうだわ。傷が完治したら、あなたに渡そうと想って用意してきたの」

すっかりしんみりさせてしまった責任を感じてか、セリアンが努めて明るい声で話題を変える。
ベッドにまだ寝たままのアポロニアスも、そんなセリアンに微笑む。
セリアンはウキウキと頬を紅潮させ興奮している。
侍女に開かせた箱の中には幾つもの装備品と柔らかいシルクの服が入っていた。
アポロニアスに合わせて紅い色が多い。
全てが最高級の品ばかりだった。
自分さえ質素な鎧やドレスしか着ないのに、愛するアポロニアスの為に色んな商人から選ばせたのだろう。
様々な国の織物が混じっている。
剣士は微笑ましく見ている。
アポロニアスはそんな2人を見て何故か動揺して、ウロウロと視線を泳がせている。
セリアンは少し傷付いた。

「…好みじゃ…無かった?ご…ゴメンなさい。余り服飾には詳しい方じゃなくて…」

幼い頃から戦ばかりしていた姫将軍セリアンは、ドレス1枚選んだことも無いので、
自分がアポロニアスに着て欲しいと想った鎧、服を集めたのだ。
天性なのか、どれもちゃんとセンス良く選択されていたが、
セリアンは自分のセンスに気付いていないので、焦る。
アポロニアスは慌てて身を乗り出した。

「ち…違う!そうじゃない…!気にいらない訳じゃない…!そ…その…」

必死に弁解しようとするが、何故か苦しそうに言葉を詰まらせる。
それ程言い難いことなのか、剣士は傍らに座り、肩を優しく撫でてやる。
するとアポロニアスは勇気を出せたのか、ゆっくりと話し始めた。

「わ…私は、天翅…、堕天翅の中で身分が低い生まれ…だったのだ…。
だから…、その証明…で、上半身に…衣を…纏えなかった…」

剣士は驚愕に目を見開く。
アポロニアスは「殺戮の天翅」と人間に畏怖の念と共に恐れられて来た天翅だった。
天翅の中で一番強く一番人を殺した。
人間は誰もが「太陽の翼」を知っていたし、彼が向かう土地には誰も寄り付かなかった。
そんな天翅がアトランディアで差別されていたと言うのだ。
信じられなかった。
高熱を発する為か、確かに常人よりは体温は高めだが、常に上半身裸である意味が分からなかった。
他の堕天翅も確かに衣装の差はあった気がする。
堕天翅も人間と同じ価値観があるのだろうか。剣士は混乱してしまう。

「アポロニアス、此処はアトランディアじゃない。服を自由に着ていいのよ」

にっこり微笑んで紅い鎧を出してくるセリアンにアポロニアスは嬉しそうに微笑む。
しかし、瞬間俯いてしまう。

「…人間界にも…身分があるの…だろう?王女であるセリアンに…迷惑が掛からないだろうか…」

あくまでもアポロニアスは自分の身分が低いことを気にしているのだろう。
そして、そんな自分とセリアンが結ばれている。
セリアンの王位継承に支障が出ないか心配しているのだ。
人の心配ばかりしているアポロニアスにセリアンは力強く微笑む。

「じゃあ、この事は三人の秘密にしましょう。
もし、それで私が王位を継げないのなら、そんな国は、こっちから願い下げだわ。
あなたを連れて出て行く!」
「その時は、俺もお供します」

剣士はセリアンの冗談に更に重ねてアポロニアスを励ます。
ベッドの上に散らばるように沢山重ねられた紅い服、赤い服にアポロニアスはぽとりと頬に涙を落とす。

「あぁ、もう!あなたってば、本当泣き虫さん。
ほら、背中に掛からないような服、着てみて」

手渡される深紅に近い色の絹の滑らかさに、アポロニアスは頬を寄せる。
赤い色は焔のようにアポロニアスの不安な心を温かく包んで癒す。
それはセリアンと剣士の心の温もりでもあった。


<了>


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身分が低いと言うのは俺設定ですが、あんな裸族みたいな格好させられてんだから、
そうなのかなと妄想した次第です。

 

 

 


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