毎年腫瘍を診察する中で最も多い腫瘍の一つがリンパ腫です。
簡単に言ってしまうとリンパ腫とはリンパ球が腫瘍化したものです
では、そもそものリンパ球とはどのような細胞なのでしょうか
リンパ球は白血球のなかのひとつで、体内に入ってきた菌やウイルスなどの外敵を排除して体を守るのが仕事です
腫瘍化すると菌やウイルスに対して攻撃しなくなるだけでなく、リンパ腫の種類によっては免疫力とは関係ないムダな抗体(γグロブリン)を産生したり、自分の細胞(組織)を攻撃しだすこともあります
リンパ球が産まれる場所は骨髄で、成長(成熟)する場所はリンパ節や脾臓などです。
成熟したリンパ球はそれぞれに役割があります。
主に血管やリンパ節内にとどまっていますが、一部のリンパ球は成熟すると体中に移動して直接菌などを攻撃するようになります。
つまり、リンパ球は体中どこにでもいるので、リンパ球が腫瘍化するリンパ腫は体中どこにでも発生します
リンパ腫の分け方としては大きく
① 悪性度による分類(ハイグレード/ローグレード)
② 細胞の種類による分類(B細胞性/T細胞性/nonB・nonTなど)
③ 発生部位による分類(多中心型/消化器型/皮膚型など)
があります
これら分類は全て意味がありますが、今回は触れずにおきます。
リンパ腫の治療は様々で、1か所に発生した腫瘍に関しては外科的切除や放射線治療も適応されますが、主に血液やリンパ節中にいるリンパ球が腫瘍化することが多く、そのため多くの症例では多発的に腫瘍が発生していることが多いことから抗がん剤による全身治療が主流です。
以上リンパ腫についてざっくりと書いてみました。今後も折を見てリンパ腫に関しては書いていこうと思います。
今年の腫瘍コラムは今回で終了となります。また来年腫瘍コラムを更新しますので来年もみてください。
皆様も良いお年をお迎えください。