AR(エーアール)どうぶつ病院ブログ

川崎市登戸にあるARどうぶつ病院

院長やスタッフの日々のブログです

病院が伝えたいことを日々綴っていきます

● ARどうぶつ病院です 腎不全について(後編)

2017-09-21 19:59:57 | 病気について
ARどうぶつ病院の盛田です。前回に続き腎不全の後編として、腎不全になったときの目安の症状と腎不全に対しておこなう治療について考えたいと思います。

先ずは症状です。



上記のような流れにより腎臓の機能低下が全身症状をおこすことになります。
症状は「飲水量の増加・尿量の増加」以外
「下痢」、「嘔吐」、「食欲不振」、「元気消失」「脱水」「疲れやすい(易疲労性)」
と腎臓とあまり関係ないと思う症状だと思います。難しい言葉では『非特異的所見』といいます。
非特異的所見は
『色々な病気の時に出てくることがある症状で、その症状をみただけでは原因が特定できない症状』
といわれるもので、飲水量の増加、尿の量増加を含め、上記の症状すべてがこの『非特異的所見』に該当します。
つまり症状をみただけでは病気は特定できないのです



また、上記の表にあるように症状が出るのは腎臓の機能が25%以下になったころですので、
もし気になる症状が見つかったら早めに病院へ行くことが重要です。



次に治療法について考えましょう
腎臓のネフロンが尿を作る器官だと前回お話ししましたが、ネフロンという構造は複雑かつ繊細な構造をした組織であるため、一度破壊されてしまうと再生は困難です。
そのため、早期発見・早期治療が重要になってきます。



早期に発見した場合(尿量が増えた、飲水量が多くなったなど症状が軽い場合)
①食事療法:動物病院が指定する処方食へ変更します。これが最初。
②活性炭治療:腸管から吸収する毒素を吸着してくれて、血中の毒素を減らしてくれます。
      (食べてくれない仔もいるので、薬の与え方も工夫が必要かも。)

病気が進行していて症状がある場合(嘔吐や食欲不振など)
上記のもの以外に
③点滴(静脈点滴、皮下点滴)にて体内の毒素を薄め、脱水を改善、尿を作れるようにする
④消化管に対する治療(吐き気止め、下痢止め)
・高血圧予防として血圧降下剤(ACE阻害剤など)
・貧血がある場合は鉄剤のサプリメントや造血ホルモン注射
等が挙げられます。
末期で尿が出なくなった場合、入院治療を行いますが、この時は結構厳しい状態であると思ってください。

話は逸れますが、猫ちゃんは数日でもご飯を食べないと肝炎を起こしてしまうことがあります。「ここ2日、全然ご飯を食べてない…」、「食欲少ないか、よくわからないけど食べてる姿をみないな…」などありましたらすぐに病院に行きましょう。



今回は難しいお話しでしたが、いかがでしたでしょうか。
ご質問などございましたらお気軽にご連絡ください。
次回は歯の健康について書きたいと思います。
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● ARどうぶつ病院です。腎不全について(前編)

2017-09-15 14:57:57 | 病気について
ARどうぶつ病院の盛田です。
今回は猫ちゃんの慢性腎不全について考えましょう。



猫ちゃんを飼っている方はこの言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。
病気の概要は
腎臓というおしっこを作る臓器が壊れてしまい、おしっこが作れなくなる病気
です。
ここで『?』と思った方がいるかもしれません。
皆様の『?』の中身は何ですか?
たぶん下に挙げることが多いかと思います。
①腎臓は何で壊れちゃうの?
②おしっこはなぜ必要なの?
③おしっこが作れなくなるって、どういうこと?大量のおしっこをする病気だと思っていたけど…
こんな感じでしょうか。
一つ一つお答えしていきます。



①腎臓が壊れる原因は様々です。
先ずは腎臓の構造から考えましょう。



腎臓は上図のように小さい球状の「ボウマン嚢」というものとそれにつながる「尿細管」から構成されています。これをネフロンと呼び、この構造物が猫ちゃんでは左右合わせて40万個程度あるといわれております。
40万個と聞くと多いと思うかもしれませんが、ワンちゃんは80万個程度、人では200万個程度あるようですから少ない方なのです。
そして追い打ちをかけるように、
食事による負担(塩分の多い食事(例として鰹節)とか食べてませんか?)
細菌性膀胱炎などの病気から尿管を通って腎臓に感染症が拡大する上行感染、
尿石症などにより尿道が詰まり、腎臓での機能まで障害する尿石症
などの生活習慣病や病的な要因だけでなく、
高齢になると猫ちゃんの少ないネフロンに対し、免疫力が異常に反応するようになります。
そしてあわれ、種々の攻撃によりあえなく壊されるネフロン…

今はこのような仕組みで猫ちゃんのネフロンが壊されているといわれております。



②ではおしっこ(尿)はなぜ必要なのでしょうか。
これは大体の人が理解していると思います。
そう、体から出た老廃物を体外に出すためです。
老廃物とは、体の細胞がエネルギーを作る際にいらなくなったものや、体内に入ってきた有害物質などのことを指します。
これらを排泄する際にボウマン嚢にある糸球体では、強い圧力をかけて血液中の液体成分を尿細管に送ります。



尿細管に送られた血液中の液体成分は、必要なもの(水分や糖など)を選んで体内に戻します(再吸収)。
この機能によりいらない成分が残ったものが尿となり排泄されるのです。

③前述で血液内の要らないものを濃縮したものが尿となるわけですが、この濃縮する尿細管と、血液の液体成分をろ過するボウマン嚢(+糸球体)に様々な要素が加わり、ネフロンが壊され、結果、尿が出なくなるのですが、慢性腎不全の場合は尿細管が先にやられるため、水の吸収が出来なくなり、薄い尿が出るようになります。
このようにして薄い尿が大量に出来るのですが、尿は元々自分の血液の液体成分です。薄い尿を大量にしていると血液の量が少なくなっていき、血液が濃くなります。それにより血管周囲の細胞から水分が集められ、血管内に移動することにより、体は脱水していくのです。
脱水すると水分を求め、水を飲むので、見た目の症状としては『おしっこの量が増えたとか水を飲む量が増えた』となります。
勿論悪化していけば尿は出なくなっていきます。

難しかったかもしれませんが、腎不全の流れはわかってもらえたでしょうか。



ご家族が『うちの仔、最近水をよく飲むな』とか『おしっこの量が最近多いな』と思ったときは上記のような病気があるかもしれません。
慢性腎不全の場合、上のような症状が出始めるのは腎機能がだいぶ低くなっってから(一説では腎機能が25%以下になってから)なので、症状が出る前でも、年齢が高齢になってきたら血液検査や尿検査はおこなった方が良いでしょう。
また、血液検査では異常が見つからないけれど尿が薄いなどあれば、外部検査機関で行う腎臓機能検査もあるので、詳しくは動物病院の先生に聞いてみてください。



今日はここまで。次回は腎不全の全身症状と治療に関して書いてみたいと思います。
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● ARどうぶつ病院です。トリミング始めました❢

2017-09-09 09:58:22 | お知らせ!
ARどうぶつ病院の盛田です。本日はお知らせです

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● ARどうぶつ病院です。本日は眼の健康について。

2017-09-02 17:30:21 | 病気について
ARどうぶつ病院の盛田です。本日は眼の健康・予防についてお話ししたいと思います。
眼の大きなワンちゃんや鼻の短い猫ちゃんと住んでいるご家族は下のようなお悩みを持っている方が多い気がします



① 年齢を重ねるごとに涙やけがひどくなった
② 眼がすぐに赤くなる
③ 最近目を痒がる
④ いつも目の周りが濡れている
など

これらの症状の一因として、眼瞼(まぶた)の問題があるかもしれません。
そしてそれは日々のスキンシップにひと手間加えるだけで劇的に改善されることもあります

先ずは眼の構造を見てみましょう。



上記は眼の断面図です。
眼の表面や眼球は周囲には栄養を細胞の老廃物を運搬する血管があっても、ものを見る部分には血管がありません。
でも角膜などは生きた細胞で構成されてます。
それなら栄養などはどのように取り入れているのでしょうか。
答えは

そう、涙です




わかさ生活研究所より http://kenkyu.wakasa.jp/sp/hitomi/sickness/dryeye.php

涙は体液成分が流れており、角膜表面に付いたごみなどを落とす、細菌感染を防ぐなどの作用以外にも細胞に栄養を与え、老廃物を流す作用があります。
涙は涙腺で産生され、鼻涙管を通って鼻水などになります。

この涙ですが、水分であるため、眼の表面から鼻の方向つまり上から下に流れ落ちることはできても、眼の表面でとどまり続けることはできません。眼球表面に涙をとどめておくには表面張力の低い油の層が必要になります。





わかさ生活研究所より http://kenkyu.wakasa.jp/sp/hitomi/sickness/dryeye.php


この油はまぶたの裏側にあるマイボーム腺という場所で産生され、眼球の表面に分泌されます。この油のおかげで眼は水分を保てるのです。
しかし、瞼の炎症や、マイボーム腺が詰まってしまう(マイボーム腺梗塞)と油が目に供給されなくなり、涙が目に留めておけなくなってしまいます。
結果、眼の表面が乾いて、角膜の細胞は弱くなり、傷つきやすくなります。涙の防御機能がなくなれば細菌は感染しやすくなり、少しのことで眼の表面が傷つきやすくなってしまうのです。
この状態が一般にいうところの『ドライアイ』です。



人の場合は涙の産生が抑制されたり、瞬きが少ない場合でも起こりますが、ワンちゃんネコちゃんは眼瞼炎やマイボーム腺梗塞が良く起こります。
眼瞼炎の原因は感染症やアレルギー、外傷などが多いと思いますので予防は難しいですが、毎日顔を見てあげると変化に気付き易いので注意してみてあげてください
マイボーム腺梗塞は油が流れずに固まっているだけのことが多いため、温めて溶かしてあげると出るようになります。



では、方法は?
マイボーム腺の油分は40-42℃程度で溶けるため、人肌くらいの蒸しタオルをまぶたにあてて、ゆっくりと上下に揉んであげます。
これを『眼瞼マッサージ』と呼んでおります。
毎日2回(朝、晩)、1回15分程度やってあげると見違えるように涙やけや流涙が改善されることがあります



しかし、飼い主様が見逃している病気や傷、感染などがあるといけないので、まずは動物病院で健診を受けてくださいね。



次は歯科か定期駆虫について書こうと思っております。
また、相談したい病気などについてご要望がございましたらコメント等いただけたらと思います。
今後ともよろしくお願いいたします
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