~小学校・中学校・高校・特別支援学校の「やる気」がある先生方向け~
「文化庁の事業を利用して、お金をかけずに音楽室で“風の五重奏団”(プロの木管五重奏団)の演奏を楽しむ方法」
第4回:(2)どういう内容なの?~その2~(演奏曲目などについて)
今回は“風の五重奏団”が、この事業(文化庁:文化芸術による子供の育成事業~芸術家の派遣事業)で
使用しているプログラムの中から、
初めてこの仕組みをご利用される学校向けのプログラムの一例をご紹介します。
現在、50分の公演で約80枚の画像の投影(曲名や作曲家、楽器の写真など)を併用しています。
また楽器の紹介をするコーナーで、ピアノを使用しています。
(ピアノが会場になければ、キーボード等で代用しています)
1 ヘンデル「水上の音楽」より“アレグロ”
2 ニールセン「五重奏曲」より“第1楽章”
3 楽器のお話と演奏
(高い音の楽器。伴奏つき)オーボエ、クラリネット、フルート
4 木村弓 映画「千と千尋の神隠し」から“いつも何度でも”
5 楽器のお話と演奏
(低い音の楽器。伴奏つき)ファゴット、ホルン(ナチュラルホルンもご紹介します)
6 共演コーナー:モーツァルト「カノン」(小川正毅編曲)
※ハンドベルを人数分お持ちします
7 ベリオ「作品番号獣番」より“ねことねこ”
(アンコールあり)
以下、各曲にどんな思いを込めているか、簡単に解説させてください。
曲名にリンク先がある場合は“風の五重奏団”のCDのサンプルが少しだけ聴けるamazonのサイトに
飛ぶようにしてあります。
(環境によっては、「この曲を試聴する」が表示されないことがあるようです。
何回か同じページを読み込むと表示されることもあります。
また、amazonプライム会員の方は「今すぐ再生」というボタンが表示されるようです。
どうかご容赦ください)
“風の五重奏団”のCDは、2020年4月現在、5枚(「動物の謝肉祭」「17のヴァリエーション」
「作品番号獣番」「風の五重奏団~夏の音楽&世界の名曲メドレー」
「木管五重奏による名作アニメ・クインテット」)がリリースされていて、
アマゾン、iTunesをはじめとした多くのサイトから配信も行われています。
1 ヘンデル「水上の音楽」より“アレグロ”
まず、オープニングとして元気な短い曲を演奏しています。(曲目は毎年変えています)
学校の音楽室には、ヘンデルの肖像画があることが多く、
「ホーンパイプ」という題名で、鑑賞教材になっていることも多いです。
オープニングの曲には、ハイドンのディヴェルティメントや、
J.C.バッハ(J.S.バッハの息子)の五重奏曲なども使ってきました。
いずれも古典派の作曲家が作った元気な曲です。
「バッハ、ヘンデル、ハイドン、なんでみんなカツラをかぶっているんだろう?」
なんていうお話もしたりします。
2020年は、久しぶりにヘンデルを使う予定です。
木管五重奏のためのオリジナル曲のコーナーです。(やはり毎年変えています)
こういうものは難しいのでは?と思われがちですが、
投影も交えてテーマやリズムなどについての簡単な解説をしてから演奏すると、
ほとんどの場合、低学年の児童の皆さんも集中して楽しんでくれます。
お礼のお手紙をいただくことがあるのですが、
これまでに時々いただいてきた「ニールセンがおもしろかった」という感想には、
我々が驚いたほどです。音楽の大きな力を感じます。
ニールセン以外には、ヒンデミット「5つの管楽器のための小室内楽」(第1、第4、第5楽章)、
タファネル「五重奏曲」、ダマーズ「17のヴァリエーション」、バーバー「夏の音楽」など、
かなり本格的な曲も使ってきました。
2020年はタファネルの「五重奏曲」の第3楽章を使う予定です。
なお、いずれも5分程度の長さに抜粋して聴いていただいています。
3 楽器のお話と演奏
(高い音の楽器。伴奏つき)オーボエ、クラリネット、フルート
まず、どちらかというと高い音を担当している楽器です。
主に「どういう仕掛けで音が出ているか」というテーマで、
ふんだんに投影を使って楽器の仕組みをご説明したあとに、伴奏(小川がピアノを弾くことが多いです)つきで、
有名なメロディーなどを少しだけ聴いていただいています。
(例)
オーボエ:
チャイコフスキーの「白鳥の湖」(きっとどこかで聴いたことがあると思います)
クラリネット:
ポーランド民謡「クラリネットポルカ」(運動会などでよく流れているようです)
フルート:
ビゼーの組曲「アルルの女」から“メヌエット”(給食の時などによく流れているようです)
このあたりで「聴いたことがある曲」を、ということで、
ジブリ作品の中から1曲お楽しみいただいています。
他に「もののけ姫」「海の見える街」「君をのせて」など。
ジブリの曲はたくさんレコーディングしていますので、レパートリーも多いです。
5 楽器のお話と演奏
(低い音の楽器。伴奏つき)ファゴット、ホルン(ナチュラルホルンもご紹介します)
今度はどちらかというと低い音の楽器です。ファゴットは珍しさもあるのか、人気がありますね。
管の長さの説明にはリボンを使っています。
ホルンは、ナチュラルホルン(昔の楽器。指で押す部分が全くなく、ただ管をくるくる巻いてあるだけ)も持参しています。
楽器の仕組みのご説明のあと、やはり伴奏つきで少しだけメロディーを聴いていただいています。
(例)
ファゴット:
デュカス「魔法使いの弟子」(ディズニーの映画“ファンタジア”でお馴染み)
ホルン:
音階(ナチュラルホルンで「ドレミファソラシド」。なぜかこれで拍手がおきることがあります)
モーツァルト「ホルン協奏曲」(こちらもナチュラルホルンで吹きます。音楽よりは演芸に近いか?)
※ 離島など車でお伺いするのが難しい場合は、ほぼ同じ内容を普通の楽器で頑張って演奏しています。でもちょっと残念。
6 共演コーナー:モーツァルト「カノン」(小川正毅編曲)
※ハンドベルを人数分お持ちします
会場の全員にハンドベルをお配りし、
ほんの少しだけ練習して、いきなり木管五重奏と共演していただく恐怖(?)のコーナーです。
腕が合計16本あれば共演可能ですが、それでも足りなくて大人の方にも手伝っていただき、
8人未満でやったこともありますし(大盛り上がり)
2学級合同70人超えの多人数での演奏になったこともあります。
楽器はたくさんありますが、やはりおススメは1クラスずつ、32人程度で演奏する形です。
うまくできることよりも「楽しかった!」という思い出が残ることが大切と考え、
説明時の投影内容や、演奏時に見ていただく合図など、細かい配慮もしながら演奏しています。
7 ベリオ「作品番号獣番」より“ねことねこ”(訳詞:谷川俊太郎)
最後の曲です。この曲は演奏者全員に「セリフ」があります。
演奏の合間にしゃべります。面白い。
こんな曲は他にありません。これ以上の説明は不要かと思います。
(この曲の日本語版のCDは、2020年4月現在、風の五重奏団のものしかありません)
(アンコールあり?)
クラシックのコンサートに於けるアンコールの習慣について、最後の曲を演奏する前に、
ほんのちょっとだけ説明しておきます。そして大人の方にも少しだけお手伝いいただき、
アンコールへ進行していく様子を体験していただくようにしています。
よぉし、これでどんなコンサートに行っても大丈夫。小さな自信がつくと良いですね。
ここにアンコール曲の例を書いてしまうと面白くないので、
「誰でも知っているテレビで流れている曲」ということにしておきしょう。
内容については、書きたいことがたくさんありますが、
・なぜ豊富なレパートリーをご用意できるのか
・「カノン」以外の共演曲
・投影のシステム(先生方から質問をいただくことが多いです)
・拍手のお話(おまけ)
について、次回以降に少しだけ書かせてください。
(つづく)
(この原稿は、以下の内容で「専門家プロファイル」のコラムとして投稿し、
ありのみ株式会社のブログにも、同じ内容で投稿しました。
以下のリンク先は、専門家プロファイルのコラムに統一してあります)
第3回:(2)どういう内容なの?~その1~(日程や時間設定、公演回数、会場、対象学年、保護者の参加などについて)
第4回:(2)どういう内容なの?~その2~(演奏曲目などについて) 今日はここ
第5回:(2)どういう内容なの?~その3~(なぜ豊富なレパートリーが準備できるのか)
第6回:(2)どういう内容なの?~その4~(「カノン」以外の共演曲について)
第7回:(2)どういう内容なの?~その5~(投影のシステムについて)
第8回:(2)どういう内容なの?~その6~(おまけ:拍手のお話)
第10回:(4)どうやって申し込むの?~その1~「対象・募集時期と実施時期・書類の提出先と提出方法」
第11回:(4)どうやって申し込むの?~その2~「様式2」と「様式3」
第12回:(4)どうやって申し込むの?~その3~「様式4」と「様式5」と「様式6」
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(2020年4月6日up 4月8日・4月22日・4月29日・6月13日・6月16日・8月7日更新 2022年4月28日更新 執筆:小川正毅)