公開前に、「おはよう日本」で紹介されたときから、これは面白そう!と思ってたんですよ。
プロデューサーが是枝裕和ってだけでめちゃくちゃ期待できるし。
それになんといっても、このポスターがいいんだよね。
つーか、癌の告知を受けてからなくなるまでのドキュメンタリー、ってそれ自体凄い。
ま、かつて、原一男の『全身小説家』もそういう側面が強かったけれど、あれはたまたま対象として撮り始めた井上光晴が癌の告知を受けてしまった、というかなり偶然の賜物だったわけで、それがごく一般の元サラリーマンのドキュメンタリー・フィルムだなんて、それだけで奇跡なのに。
「告知5分後」なんて映像、普通残ってないよf(^_^;
それはもう、撮っているのが当たり前というほどまで、どれだけいつも家族を撮り続けていたのか、それはすなわち、どれほど家族愛が強いのか、ということでもある。
しかも、癌告知以前の、それこそポスターになっているごく日常の朝食の場面だとか、会社を退職する際の送別会だとか、こんなにお父さんの映像が残っているって、それだけでこの娘(=監督)はどれだけお父さん子なのかと(笑)
そのくせ、末っ子の視点なのか、映像は最後まで淡々としてるんだ。
あまりにも淡々としている上に、あくまでも日常の風景を日常として撮影できているからか、たとえ死に向かっているといっても悲観的ではない。
むしろいつも通り。
いつものおかしみの上に、死への準備が行われていく。
しかもその映像の編集が巧みな上に、ナレーションで、冒頭の「自己紹介」で「享年69歳」とか、いくつも笑えるポイントが用意されていて、散々笑わされていると思ったら、いつの間にか泣かされ。
こんなにも劇場中、ズルズルズルズル、鼻をすすっている音があっちからもこっちからも聞こえてくる映画って、ありそうで意外とないかも。
良くありがちなお涙ちょうだいの映画なんかより、よっぽど泣いて、でも気分良く笑って帰れる、という凄い映画ですよ。
でもねぇ。
当人達には色々あったんだろうけれど、それでもこんな絵に描いたように幸せな家族、ホントに世の中にはあるんだね、とも思ってしまう。
うちだったら…もし父親が死ぬとしたら、こんな準備なんて全くしないで、何とかなるだろ、と勝手に死ぬんだろうな。
で、母親か私が、力業で何とか全部を取り仕切るんだろう。
あのバカ兄貴は、バカとか非常識とか言うレベルじゃないから、きっと葬式にも来ないだろうよ…orz。
つくづく、人間、生まれてくる家は選べないのだ、と思う。
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