印象派の画家でありつつ、印象派最大のパトロンでもあった、ギュスターヴ・カイユボット。
その日本で初めての大回顧展。
ってことなんですが、ま、弟マルシャルと二人、金持ちの道楽息子の足跡をたどる、と言いますか…。
や、絵自体は面白いです。
TVで、写真的だと言われていたけれど、そこで取り上げられていた「ヨーロッパ橋」だけじゃなく、広角レンズを使った写真みたいなのが多い。
初期の作品の「昼食」も、テーブルの手前と向こうとではゆがんでいるけれど、実際にテーブルについて、手前から向こうへと実際に見える様子を順々に並べたとも言えるし、広角レンズで撮影したようにも見える。
「ピアノを弾く若い男」も、ピアノのゆがみ方が写真っぽい。
「室内--読む女性」に至っては、まるで至近距離からのスナップショットに、背景に別人が映り込んだかのような、不思議な構図。
「シルクハットの漕ぎ手」も、なんだかやたらと近いしなぁ。
なんというか、写真だったらごく普通にありがちなのに、絵画だと不思議というか、あまり見慣れない構図というか。
もちろん、その一方で、「ヨーロッパ橋」や「建物のペンキ塗り」など、全体の構図や人物の配置などを緻密に構成していることが一見してわかるものも多い。
そして、絵の前に立ってみていても、奥行き感を強調した絵が多いような気がするのだが、少し離れたところから見ると、なおさら奥行きが出て、印象が強くなるのが面白いところ。
その点、離れてみるとピントが合う、モネの絵となんだか共通するモノを感じる。
何というか、淡い色合いの中から対象が浮かび上がるモネと、強い色合いで対象をより鋭く表すカイユボット、という感じ?
45歳とかなり若くして亡くなっている上に、今回は代表作の「床削り」が来ていない割には、ずいぶんと見応えのある展覧会でした。
土曜日の午前中にしては、人も結構多かったし。
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