Der König Hat Eselsohren

12日目その4(Jazzfäst in Eupen)

今日のバックステージ・パスを忘れないように気をつけつつ、4時半頃、ホテルを出る。
フロントでタクシーを呼んでくれるように頼むと、
「die ärzteを見るんですか?」と訊かれたような気がしたので、「オイペン・アリーナに行きたいんです」と答える。

よばれてからやや時間が掛かって、おばちゃんの運転する黒塗りベンツのタクシーが登場。
いきなり、
「雨が降ると思う?それとも降らない?」
確かに雲行きが少し怪しい。なので、実際、サングラスはホテルに置いてきた。
「小雨が降る、かなぁ」

今日は道が車だらけだという。
「すぐそこの通りでお祭りはやってるし、そこのスタジアムでサッカーはあるし、アリーナにはdie ärzteが来てるし。本当は車を使わずに済む方が環境には良いんだけど、こういう小さい街はそうはいかないから」
「でも、私は車持ってないんで、今日の夜も明日の朝もタクシーを呼ばないと…」
というやいなや、ダッシュボードからタクシーカードを取り出すおばちゃん。
商売上手だな。

街の中心からアリーナに向かう途中は、あちこちに駐車場のマークが出て、道の両脇をdie ärzteファンが歩いている。
中には『BELA KIDS』なんていう表示を出している集団もいる。
「die ärzteファンだらけですね。でも、今日は、私は、Sportfreunde StillerのCREWなんで」
「あら、そうなの」
どんなCREWだ(笑)

通行止めのところでタクシーを降り、歩いて会場に向かう。



一般の入口よりも手前に、バックステージの入口があったはずだ。
さすがにもう、ツアーバスには誰もいないだろうと思って、直接Garderobeの方に向かう。
さっきまでと違って、die ärzteのメンバーの楽屋は、ドアも窓もぴったりと閉められて、中に人がいるのかいないかすらわからない。

Sportfreunde StillerのGarderobeもぴったりと閉まっているが、中から話し声が聞こえる。
一応、軽くノックした上で開けてみる。
「Hallo!」
手前から、Flo、Peter、Rüdeの順にハイタッチ。さすがにMarcとはしないけれどf(^ー^;
Rüdeが、
「君はトップ・メイクアップ・アーティストだね!」
皮肉か?誉め言葉か?(笑)
「ありがとう♪」

「今、大事な話をしているから」
というので、
「うん、何か食べに行ってくる」
と言って、バッグをそこに置いて外に出る。

と。

FarinとRodがいるじゃん!!



あ。



カメラ、荷物と一緒においてきちゃった…。
しくじった~!
でも、今戻るのもなぁ。

とにかく、まずは腹ごしらえだ!

ケータリングに行くと、朝に比べて、遙かに品揃えが良くなっている。
スタッフの兄ちゃんが、ふたを開けて説明しながら、どれがいい?と聞くので、チキンと野菜をよそって貰う。
die ärzteのスタッフばかりが、数人ずつ食事している中、ひとりで座って食べていると…。



Belaだ!!Belaが来た!!



しかも、さっき楽屋につるしてあったTシャツ姿(笑)

やっべ~!
超~~~~~~~~~~~カッコイイ~~~~~~~~~~!!!
め~ちゃ、め~ちゃ、カッコイイ~~~~~~~~~~!!!


あまりのかっこよさに、ついつい目で追ってしまうと、さすがに向こうも気付いたようだ。
そりゃそうだろう。
唯一、アジア人だし。
あとはみんな、die ärzteのスタッフなんだから。

にこやかに目で、こっちへ、と言ってるので立っていくと、なんと向こうから握手してくれて、
「あなたは、え~と、どのバンドの友達なのかな?」
「Sportfreunde Stillerです」

うわ~!!本物のBelaだ!!Belaがこの目の前に!!

普段の写真では邪悪さを漂わせているけれど、実際はものすご~く優しい雰囲気で、しかも物凄く美形♪
まさに見とれてしまうほどだ。
さらにすごい筋肉質。そこにキティちゃん(笑)

「そのTシャツは、どこで買ったんですか?」←いきなりそれを訊くか?f(^ー^;
「これは貰ったんだよ。日本の、バルザックっていうバンドからね」
なるほど~。
「後で、一緒に写真撮って貰えますか?」
「いいよ。でもまずは食事するから、後でね」

わ~!わ~!わ~!
Belaと握手して、話した上に、あとで写真撮ってくれるって!!
や、実際にはもう、一緒に写真撮って貰えなくても、これで十分なんだけど…f(^ー^;
ホントに、話し方もすごく物腰柔らかで、紳士的で。
Sportfreunde Stillerの3人とはまた全然違うなぁ。

って、すっかり浮き足立ったまま(笑)、いったんケータリングの外に出る。

ただ、Garderobeに戻るにはまだ早いかも。
せめて30分くらい置いた方が良さそうだ。

なので、試しに会場の方まで行ってみる。
バックステージの出口を通って、さっきFloと一緒にいた辺りを見ると、今、演奏しているバンドのファンらしき人達が飛び跳ねている。
それ以外の人は、ほとんどがdie ärzteのファンだ。
die ärzteのTシャツを着て、歩いていたり、芝生の上に座っていたり。
芝生の上は、すでに飲み物の空カップが散乱している。
会場の脇の方にあるグッズ売り場に行ってみると、全部die ärzteグッズだ。
Tシャツを品定めしているファンが、列をなしている。
結構、この場で買って着ている人も多いようだ。

突然、なんだか申し訳ない気分になった。
この人達は、die ärzteの出番を、まだあと4時間もこうして待とうとしているんだ。
大体において、昼頃から来ている人も沢山いたし。
熱心なdie ärzteファンに比べて、自分はまだほんの7か月ほどしか聴いていない。

なのに。


ごめんなさい、ごめんなさい、さっきBelaと握手して、話して、写真撮って貰う約束までしちゃった(笑)
ただ単に、今日のバックステージ・パスを持ってる、っていうだけで。


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