Art Tree ブログ

アートツリー出版社のブログです。

「やまなしメディア芸術アワード2023-24」入選作品展

2024年03月27日 | 日記
★取材レポート★

高い表現力や想像力あるいは高度なデジタル技術の技能を有する人材育成を目的として開催される『やまなしメディア芸術アワード』。
3回目の開催となる今年は、378作品の応募がありました。
3月31日まで、山梨県内の3エリアの会場とオンラインで、入選作品展が開催されています。

今回は、JR甲府駅から徒歩約5分の場所にある、「小さな蔵の美術館」での展示を取材しました。



入選作品のうちの5作品が展示されています。

■ Scott Allen <<Unreal Pareidolia -shadows->>


日用品を影絵にすると、それをAIを使用して別のものに見立て、生成された画像になります。



例えば、このような日用品を並べて影絵にすると、



AIによって「ベンチに座って雲を眺める女性」の画像になりました。



その他、若手のアーティストによる、日常や現代社会を題材にして制作された作品が
展示されています。
普段意識していない身近な出来事も、熟考することで異なる形態になることに気がつきます。

3月22日には、山梨県立美術館で受賞者の表彰式が行われました。
受賞者の方はそれぞれ、地域と人との関わりを後世に残すこと、コミュニケーションによる問題を解決することなど、作品が果たす役割について考えて制作したそうです。



受賞作品の詳細は公式HPに掲載されています。
https://y-artaward.jp/

<山梨県立美術館のある芸術の森公園から富士山がきれいに見えました>


「やまなしメディア芸術アワード2023-24」入選作品展
【会期】2024年3月9日(土)-3月31日(日)
【会場】山梨県内3エリア、オンライン
・甲府:小さな蔵の美術館(甲府市丸の内1-1-25 甲州夢小路)
・北杜:GASBON METABOLISM(北杜市明野町浅尾新田12)
・富士吉田:FUJIHIMURO(富士吉田市富士見1-1-5)
FabCafe Fuji(富士吉田市下吉田3-5-16)
・ONLINE(オンライン):オンライン上での発表となります。
【入場料】無料
【詳細は公式HP】https://y-artaward.jp/exhibition.php

■アートツリー出版社の投稿できる写真雑誌『PHOTOSAI』Vol.44は2024年3月27日発行です。



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版画の青春 小野忠重と版画運動

2024年03月15日 | 日記
★取材レポート★

1930-40年代に版画に熱中した青年たちの作品を紹介する企画展が、町田市立国際版画美術館で開催中です。



「新版画集団」と「造型版画協会」による版画運動を、リーダーであった小野忠重の旧蔵品を中心に紹介しています。
彼らは、まだ芸術としての地位が確立していなかった版画を大衆化しようと、様々な試みをしました。



新版画集団が発行していた版画誌『新版画』は、価格の安い印画紙を使用して、200部ほど発行し安く頒布していました。
最初は月刊で発行していましたが、時間がなく作品制作にかける時間がなくなってしまうことから、途中から季刊とし、作品制作と展覧会に力を入れていきました。



小野は版画について莫大な資料を集めており、版画に関する研究者でもありました。
プロレタリアートに影響され、労働者を表現した作品を制作するなど社会派らしい一面も持っていました。
版画の大衆化は、自分の身近な事柄を題材にしていくことだという考えでした。



小野の作品の他、一緒に組織的に活動した版画家の作品も展示されています。
藤牧義夫は線描を活かした作品、武藤六郎は東京銀座の都市風景など、それぞれが独自の表現を追求しています。





戦後に制作された作品も展示されています。
戦前から戦後に至っても彼らは版画活動を続けていましたが、
戦後の新しい時代になっても彼らの作品に大きな変化は見られません。
海外の現代美術と共鳴する戦後の新しい作品は、戦後に版画を始めた新しい世代によって制作されてゆきました。



版画の青春 小野忠重と版画運動
―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち
【会期】2024年3月16日(土)-5月19日(日) *月曜日は休館。ただし4月29日(月祝)・5月6日(振休)は開館、4月30日(火)・5月7日(火)は休館
【会場】町田市立国際版画美術館(東京都町田市原町田4-28-1)
【詳細は公式HP】https://hanga-museum.jp/

■2024年3月27日発行の『PHOTOSAI』Vol.44に展覧会情報を掲載しています。



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生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真

2024年02月27日 | 日記
★取材レポート★

大正から昭和戦前期の日本の写真界を牽引し、日本写真史において傑出した存在として知られる写真家、安井仲治の回顧展が、東京ステーションギャラリーで開催中です。



安井が38歳で病没するまでの約20年に発表した作品や資料を、時系列で観ることができます。



大阪で生まれた安井は18歳で関西の名門・浪華写真倶楽部に入会します。当時のアマチュア写真家は芸術写真を追求し、安井も技術を駆使して絵画のような芸術写真を発表しました。



1930年代に入ると、安井は「半静物」という新たな取り組みを始めます。日頃身近にあるものを組み合わせ、異様なもの、怪しい雰囲気の作品を仕上げました。



1930年代後半に日中戦争がはじまると、写真家たちはそれまでと同じような活動はできなくなりました。安井は、傷痍軍人やヨーロッパから迫害を逃れて神戸にやってきたユダヤ人を撮りましたが、それを単なる記録写真ではなく創作的意図をもって作品にしました。一方でそれらは国策に沿った内容ともなっており、バランス感覚をもって活動していたことが伺えます。



時代の変化の中で身近な光景に目を向け、小さいものや醜いとされるものにも被写体としての価値を見出した安井の作品からは、現代においても多くの学びを得ることができます。



生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真
【会期】2024年2月23日(金・祝)-4月14日(日) *月曜日は休館(4月8日は開館)
【会場】東京ステーションギャラリー
(東京都千代田区丸の内1-9-1 *JR東京駅 丸の内北口 改札前)
【時間】10:00-18:00(金曜日-20:00) *入館は閉館30分前まで
【詳細は公式HP】https://www.ejrcf.or.jp/gallery

■投稿できる写真雑誌『PHOTOSAI』では写真作品を募集しています。



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美術家たちの沿線物語 小田急線篇

2024年02月20日 | 日記
★取材レポート★

世田谷を走る鉄道と、その沿線ゆかりの美術家たちの作品を紹介する、世田谷美術館の展覧会「美術家たちの沿線物語」。
これまで「田園都市線・世田谷線篇」(2020年度)、「大井町線・目黒線・東横線篇」(2022年度)が開催されました。
そして2024年4月7日まで開催中の「京王線・井の頭線篇」と並行して「小田急線篇」が2024年2月17日(土)から4月7日(日)まで開催されています。



鉄道の話であり、街づくりと文化芸術の話であり、世田谷美術館の話でもある内容です。



小田急小田原線は世田谷の中心部を走る鉄道で、1927年に新宿ー小田原間で開通しました。
今回の展覧会では、鉄道開通により生活が変わることを戸惑いつつも楽しむ文化人や、
街づくりとともに縁あって移り住み、そこで活動を始めた美術家たちの作品が紹介されています。



成城の東宝スタジオと「砧人会」、下北沢のサブカルチャーなど、小田急線沿線の各地域でそれぞれ文化芸術が生まれ発展してきました。
経堂、豪徳寺界隈には多くの芸術家が住み、美術家たちの集い「白と黒の会」が生まれました。
写真家の荒木経惟氏、島尾伸三・潮田登久子夫妻も豪徳寺界隈に住み、日常を写した作品を発表しました。



世田谷で活動してきた美術家たちの世界に惹き込まれるような展覧会です。



美術家たちの沿線物語 小田急線篇
【会期】2024年2月17日(土)-4月7日(日)
*毎週月曜日休館
【開館時間】10:00-18:00 *入場は17:30まで
【会場】世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
【お問い合わせ】050-5541-8600(ハローダイヤル)
【公式HP】https://www.setagayaartmuseum.or.jp

■投稿できる写真雑誌『PHOTOSAI』では
写真作品を掲載できます。
詳細はこちら


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中平卓馬 火―氾濫 

2024年02月09日 | 日記
★取材レポート★

日本の写真を変えた伝説的写真家、中平卓馬(1938 - 2015)の没後初めての本格的な回顧展が開催中です。





中平はキャリア前半の1960年代から1970年代前半にかけて『アサヒグラフ』や『朝日ジャーナル』などの雑誌に作品を発表することで、同時代の社会に対峙していました。
当時、雑誌は社会にイメージを流通させる手段として重要な役割を担っており、
中平は写真がどのように流通するかについて常に意識的でした。



1973年に上梓した評論集『なぜ、植物図鑑か』では、一転してそれまでの仕事を自ら批判。
それまでのプリントやネガの大半を焼却したとされていましたが、2000年代初頭、残されていたネガが発見されました。
今回の展覧会では、初期から晩年まで約649点の作品・資料から中平の仕事を丁寧にたどり、その展開を再検証しています。



中平卓馬 火―氾濫  
2024年2月6日( 火) - 4月7日( 日)
東京国立近代美術館(東京・北の丸公園)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
美術館WEBサイト:https://www.momat.go.jp

■ [ 発売中の『PHOTOSAI』Vol.43 にも展覧会情報を掲載しています。



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