Art Tree ブログ

アートツリー出版社のブログです。

舟越桂 森へ行く日

2024年07月29日 | 日記
★取材レポート★

彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)は、富士箱根伊豆国立公園に位置する箱根にあります。
日本で初の野外彫刻美術館で、自然の中で人々と芸術家が交流する場として1969年に開館しました。
現在開館55周年を記念して、彫刻家 舟越桂(1951-2024)の展覧会が開催中です。



展示室は4つあります。
展示室1には、舟越さんのアトリエを再現した展示があります。
舟越さんのアトリエは木の温もりを感じる秘密基地のようだったといいます。



展示室3には、裸体像が展示されています。
舟越さんが着衣のない裸体像を制作され始めたのは2003年頃からです。
前年の2002年に、父親であり彫刻家の舟越保武さんが逝去されています。
そのことが作品に与えた影響もあるかもしれません。



舟越さんの彫刻は、静かな佇まいの人物像で知られていますが、人間のすることを丘の上から見続けているスフィンクスをイメージした《戦争を見るスフィンクスⅡ》には確かな表情があります。





「舟越桂 森へ行く日」は、彫刻の森美術館が周年を記念した展覧会にと、2023年3月に生前の舟越さんに依頼したことから企画が始まりました。
しかし、2024年3月29日、舟越さんは逝去されました。
この展覧会のためにブロンズ彫刻を制作展示する予定でした。
残念ながら完成にはいたりませんでしたが、舟越さんは最後までこの展覧会を望み、励んでいたそうです。



自然豊かな箱根の森の中で、舟越さんからのメッセージを読み解きながら作品に親しむことができる展覧会です。

(記事中の写真は「舟越桂 森へ行く日」内覧会時に撮影したものです。)

彫刻の森美術館 開館55周年記念
「舟越桂 森へ行く日」
【会期】2024年7月26日(金) -11月4日 (月・休)
【会場】彫刻の森美術館 本館ギャラリー(神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121)
【詳細は公式HP】https://hakone-oam.or.jp

■アートツリー出版社の投稿できる写真雑誌『PHOTOSAI』Vol.45は好評発売中です。



株式会社アートツリー出版社



空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン

2024年07月17日 | 日記
★取材レポート★

日本での展示は約30年ぶりとなる、ジャン=ミッシェル・フォロンの大規模展覧会が
東京ステーションギャラリー(東京・丸の内)で開催中です。



フォロンは、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとりですが、
日本では知らない人も多いかもしれません。
フォロンの作品にしばしば登場するリトル・ハット・マンは、フランスのテレビ番組でも放映され、当時のフランスの子どもたちは日頃から親しんでいたようです。



フォロンの描くリトル・ハット・マンは、フォロンの分身でもあり、何にでもなれる存在です。
今回の展覧会では、観覧者のよき道連れとして登場します。
プロローグ「旅のはじまり」、第1章「あっち・こっち・どっち?」、第2章「なにが聴こえる?」、第3章「なにを話そう?」、エピローグ「つぎはどこへ行こう?」と展示会は構成されています。



フォロンは、自らを"AGENCE DE VOYAGES IMAGINAIRES"(空想旅行案内人)と名乗っていました。
展示会場では、フォロンが実際に使用していた名刺も観ることができます。
展示会場で、観覧者は想像力をはたらかせ、能動的に自由に考えることができます。
決まった解釈を必要としないのがフォロン流だからです。



フォロンの作品の魅力は、グラデーションや滲みなどを駆使した美しい色彩にあります。
"空想旅行案内人"の名の通り、地球上から宇宙まで、空想の世界が描かれています。
しかしその作品をよく見ると、人類が抱えている出来事や私たちのシビアな問題に、真っ直ぐ視線が向けられているのがわかります。



フォロンは、私たちの悲劇をポジティブなエネルギーに変えてゆきます。
観覧者は、フォロンの作品を通して希望を見出す旅を体験することができます。
フォロンの作品の多彩な魅力、奥深さを、幅広い人が楽しむことができる展覧会です。

(記事中の写真は全て「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」内覧会時に撮影したものです。)

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン
【会期】2024年7月13日(土) - 9月23日(月・振休)
【会場】東京ステーションギャラリー(東京都千代田区丸の内1-9-1)
【詳細は公式HP】https://www.ejrcf.or.jp/gallery/

----------
■アートツリー出版社の写真雑誌『PHOTOSAI』Vol.45に展覧会情報を掲載しています。



株式会社アートツリー出版社