【日本山岳ガイド協会所属の登山・山岳ガイド向け情報】
昨年2015年6月22日~26日まで参加した海外特別研修の紹介します。昨年、この研修の初回に参加させて頂き、今年(2016年)も6月20日~25日に開催されます。なかなか興味深い研修なのですが、Webで情報が無く、私のレベルで参加していいモノやら、何かキビしい研修なのか、どんな雰囲気かすらわからないので、昨年(2015年)の研修内容や雰囲気を紹介します。
■2015年の概要
研修名:資格更新研修会・海外特別研修会
日程:2015年6月22日(月)~6月27日(土)
講師:2名(近藤さん、長岡さん)
参加者:9名(国際山岳ガイド4名(更新研修)、山岳ガイド2名、登山ガイド1名、国際山岳ガイド受験者2名)
■2015年度の資格更新研修会・海外特別研修会の紹介
この研修の話を聞いたのは2014年。同じガイド協会のNIAJ総会で近藤さんにこの研修を紹介されて行きたいと思っていた。2015年も同様の研修があることを聞いて、申し込もうとしたが・・・その週末は既に山の仕事が入っている。だいたい、3月ころに更新研修等の日程が発表されるのだが、ちと遅い。夏のイベントは2月上旬には募集を開始するので、登山イベントの日程を変更して、こっちの海外特別研修に参加しました。
フランスのシャモニーに現地集合、現地解散。シャモニーには何度か行っているので、飛行機はエミュレーツだな。研修中の宿泊はENSAという施設に泊まれるが、前泊・後泊の宿泊をどうしよう。とりあえず最も安いテント泊のキャンプで過ごすことにする。が、ちょっと待て。装備にロープ、アイスアックス、ギア類多数に着替えや資料等。まあ、少なく見積もっても30kgにはなりそう。こんな重荷でキャンプか、キャンプサイトにはシャワールームもついているみたいだが。とりあえず、検索したchamonixcampinglesarollesにメールで聞いてみると、事前の予約は受け付けていない。キャンプ難民になっても困るので、前泊・後泊をユースホステルにした。あとで知ったのだが、なんとこのユースでは宿泊している期間はモンブランマルチパスを無料でくれる(ありえないほどお得)。
6月20日深夜。羽田空港で出国手続の行列に並ぶ。ふと前を見ると、国内ではあまり売られていないスポルティバの黄色のTシャツを着た男。ん、近藤さんだ。あれ、井ノ口さんもいる。航空会社は違うが、中東経由でシャモニー入り。とりあえず、研修が開催されるとのことで一安心。ドバイで乗り継いでお昼ごろにジュネーブ空港に到着。さてどうしよう、バスを予約しようとすると乗り合いタクシーののぼりがあります。聞くと1時間間隔でシャモニーまで行ける。30ユーロくらいだったと思う。リンク。
↓ジュネーブからシャモニーまでの乗合タクシー。Alpy Busだと事前にWebから申し込み可能。空港で申し込みも可能。
6月21日。前泊してシャモニーの街をぶらぶらしていると、Facebookのメッセが。今回の旅は超節約の旅なので、手持ちWifiが無く、街の無料Wifiを渡り歩く。今回はMacの無料Wifiにお世話になりました。研修参加者や講師で夜に神田邸でBBQやるとのこと。神田さん?あの有名な?行きます。そうこうしているうちに、スネルスポーツの前で集合し、車で移動。車で10分くらい。たらふく、肉、ソーセージ等食べ、23時頃帰宅し、明日のパッキングが終わったのが24時。これが毎日続くのか、けっこうハードだな。リンク。
↓経験豊かな国際山岳ガイドの方々から世界の冒険のお話しを聞く。地震の時のエベレストベースキャンプの動画見てます。神田さん邸BBQ。
6月22日。朝ENSA集合。わらわら日本人が集まっている。国際山岳ガイド受験者2名とは、4年前の登攀ガイド・山岳ガイド合同研修の時に会っていた。モンブランマルチパスの件で近藤さんがENSAの職員と30分くらいごにょごにょやってて、我々は待ちぼうけ。ごにょごにょ後、やっと、メールドグラスに移動です。この後、メールドグラスの氷河にて、氷河歩行、アンザイレン、安全管理等の研修を実施。まだ、講師と参加者はこなれてなく、意思の疎通がイマイチな感じ。昼過ぎには下山し、そのまま反省会という名の飲み会。今日の学んだことや反省を共有し、改善等を議論する。やっと研修らしくなりました。アルコールが入り、だいぶこなれてきました。リンク。
↓氷河歩きの講習。後ろで見張っている人もいます。
6月23日。朝から雨。天気予報で雨ということが分かっていたので、研修場所を講師の方が検討しており、神田さんに借りたバンに乗って、シャモニーから西方のPASSY La Curalla(パスィー・クララ)でVia Ferrata(ヴィアフェラータ)。シャモニーから車で1時間弱。素晴らしいアプローチです。こっちから見るシャモニー渓谷は暗黒が立ち込めているが、こっちはピーカン。素晴らしい天気の中、ヴィアフェラータの安全管理、ロープ操作、ランヤードの扱い方等を研修します。約2時間のアクティビティを終え、お昼ごろには下山。近くの大型ショッピングモールで昼食&ビア。なんとも楽しい研修です。もちろん、昼食中にウェラータの振り返りも実施。昼食後は、ヨーロッパの巨大アウトドアメーカー ケチュアへ。なんだここ、超デカイ売り場スペース、しかも激安。しかし、今回は超節約の旅。しょうがなく、妻への土産物のみ購入。夜はENSAで夕食と反省会。反省会は、だいたい毎日1時間くらい実施しました。ガイドの上下隔てなく、わらないことを聞き、思ったことを言い、問題点や改善点を皆で話し合う。素晴らしい時間でした。リンク。
↓下は100mくらいの絶壁。ワイヤー、鉄杭、ベニヤ板等で高度感あるクライミングを楽しむ。まあ、これは天気が悪かったのでオプションですかね。
6月24日。いい加減、毎日の生活を紹介するのも飽きてきたので短く紹介。24日はCrochues Traverse(クロッシュ・トラバース)でアルパインクライミング、Lac Blanc(ラックブラン)を堪能。リンク。25日はCosmiques Ridge(コスミックリッジ)で雪の岩稜。リンク。26日はGliere(グリエール) Mani Pulite 6ピッチ 5b+でアルパインクライミング。リンク。これらのクライミングはだいたいデシマルで5.5~5.9。登れなくても良いんです、国際山岳ガイドのガイド役が引上げてくれますから。
↓クロッシュ・トラバース取付きのピッチ。難しくはないが、いきなりのガイド役で緊張した。
↓グリエールでのマルチピッチ。終了点に到着した近藤さんチーム。これから何度か懸垂していました。
これ等の研修の中で、安全管理、歩行技術、ショートロープ、クライミング技術、支点構築、山での楽しみ方、街での節度のあるお酒との付き合い等々を先輩方から学び、盗ませて頂きました。我々山岳ガイドや登山ガイドは研修という位置づけで参加していたので、クライアント役になることが多かったですが、ところどころ簡単な岩場では、ガイド役もさせて頂き、ロープ操作、クライミング技術、安全管理等について、指導を頂きました。特に、岩稜帯でのショートロープは、支点構築、混雑した岩場での身のこなし、クライアントが安全に登るためのランナー、ルートファインディング等、多くのことを指導頂きました。国内の研修・検定でも同様の内容は学んで、実践してきましたが、ヨーロッパアルプスの中心であるシャモニーで学べるということは、視野を広げ心理的に余裕を持ったガイディングができるようになるでしょう。
6月27日。朝ENSAで解散。名残惜しい。みんな散り散りになっていきました。日本へ帰国する人、イタリアでクライミングする人、シャモニーに残って検定対応する人等。解散後は、シャモニーに残る人だけで、朝市(マルシェ)を楽しみました。
↓シャレーで荷物をパッキングするメンバー。それぞれの計画で散り散りになっていきます。
あっと言う間に過ぎ去った5日間でしたが、多くの方と知り合え、登山・クライミングの技術を学べ、シャモニー周辺の岩場・土地勘もついて、毎日ENSAの食堂の蛇口から出るワインを飲めて、充実した研修でした。この研修は、登山2、登山3、山岳1、山岳2、国際等が受けれるので、敷居が低いと思います。自分の経験値を上げるという意味で、参加してみてはいかがでしょう。
今年の詳細は、日本山岳ガイド協会の「会員ページ」から。IDとパスワードを知らない方は、所属するガイド協会の事務方に聞いてみて下さい。申込期限は5月9日郵便必着とのこと。ご検討はお早めに。
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