2020年2月末をもって山岳ガイド活動を無期休止させて頂きます。
2007年からツアーガイド的な活動をはじめ、主に国内のハイキング、登山、岩稜縦走、クライミング、マルチピッチクライミング、雪山登山、バリエーション、アイスクライミング等、様々なイベント企画・運営させて頂きました。多くのお客様に支えられて、ガイド・インストラクター・ディストリビューター・アウトドアブランド・山小屋の方の関係者にご協力・ご支援頂き、大きな事故なく休止させて頂きますことを、感謝申し上げます。
大変ありがとうございました。
また、突然の休止のご連絡となりまして、今後のイベントにご期待・ご参加希望されていた方にはご期待に沿えずお詫び申し上げます。
大変申し訳ございません。
休止にあたり、これまでの軌跡を簡単にまとめてみました。2007年から登山ツアーの手伝いを開始し、2011年に山岳ガイド資格を取得、2014年にLOC、2017年にClimbingTokyoを立ち上げ等々、実際いろいろありました。13年間で、担当したイベントは通算約600回、約3,400名の方にツアー/ガイド/講習を実施させて頂きました。本当に多くのお客様に恵まれ、ここまで継続できたものお客様からの支援があってこそと思っております。
YFクラブ
2004年6月に講習生として湯河原幕岩クライミングイベントに参加させて頂き、これが初めての外岩でのクライミングでした。以後、2005年9月ヨセミテ遠征や2006年5月デナリ遠征に参加させて頂きました。その後、2007年ごろからYFクラブのお手伝いを始めさせて頂きました。2017年5月にサポーターを辞めるまでの約10年間で通算250回、延べ1,100名のイベント企画・実施させて頂きました。
YFクラブは、クライミング、登山、トレッキングのイベントを開催している有料制のクラブです。この中で、主に中級~上級登山、アイスクライミング、冬季バリエーションを担当しました。中でもAMC (Alpine Mountaineering Course)は、無雪期・積雪期カリキュラムの構築~企画・実施まで担当した思い出深いコースです。計12期実施し、約45名のAMC卒業生を輩出しました。卒業生の皆様は今でも登山・クライミングで活躍されている方も多く、うれしい限りです。コースの目的は、アルパインクライミングを目指す方の基礎知識・技術習得です。ここでいうアルパインとは、岩、氷、雪等のロープを使いサミット/リッジを目指すクライミングスタイルです。基礎知識・技術なので、歩き方、ウェアリング、トレーニング、パッキング、テント生活、雪のリスクなど、夏冬それぞれ5-6回のコースで毎回朝から晩までみっちり講習するので、やるほうもへとへとに疲れたことをよく覚えています。
よく、「登山は大学の時から?」と聞かれることがありますが、社会人になってからです。2004年にYFクラブで初外岩クライミングの時は、ジーパンで5.9をトップロープで登り、汗が張り付き動きにくいなぁ、と思ったものです。その翌月には北岳バットレスにガイド山行で参加し、クライミングって楽しいなぁ~と今でも鮮明に覚えています。この時期に知り合った方と今でも交流があり、正直「クライミングってすごいな」と思います。
ここでの様々な経験・コネクション・他サポーターからのアドバイスが、自分でクラブを立ち上げたときのベースになっています。
2014年からラブジアースアウトドアクラブを立ち上げ、私のみならず多くのガイド・インストラクターの方にお手伝いいただき、通算150回、延べ750名の方に参加して頂きました。
私がアウトドアという場でビジネスを展開するにあたって、教育、技術、装備の3つの分野でのそれぞれの目的があります。その教育・技術に関する目的達成の場として、LOCを立ち上げました。教育と書くと固いですが、主な内容として(1)正しい技術や適切な装備の知識・経験習得の推進、(2)中核メンバーがさらに成長できるための後世の育成の場を提供、(3)背景や経験が異なるリーダークラスの相互交流の場を提供です。背景として、日本の登山・山岳全体を俯瞰すると、山岳会の活動や役割は縮小し、様々な情報を簡単に入手でき・装備の高度化がもたらした個人山行が増え、既存のモラルや登山の常識が世界レベルで変わってきています。前述の(2)や(3)の推進は、登山界におけるコネクションの網の目を増やし、結果的に登山界全体の知識・技術・つながりの底上げを目指すものです。結果、安全に登山やクライミングというアクティビティを楽しむという環境を醸成することが狙いです。現時点でその目的は道半ばと言わざるを得ませんが、少なくとも私が見ている範囲ではその結果は出ていると思います。
技術に関する目的として、(1)各アクティビティにおける技術・知識の定義、(2)技術習得するための効率的なカリキュラム構築です。この目的もある程度達成できたと感じていますが、個人の考えレベルを超越しておらず今後も継続的にブラッシュアップしていきたいと考えています。
3つ目の目的の装備については、lovzearthというインターネットショップで実現しようとした目的なので、詳細は割愛します。このlovzearthというブランド名は、もちろんlove the earthという言葉からの造語ですが、様々な想いを込めて設定しました。「地球を愛する」ということは、「環境を大切にする」のみならず、環境を大切にする「人の心を豊か・幸せにする」ということを起点にしています。環境を大切に思える人は、自分以外の人の痛みに共感でき、人のことを思いやり、想像力が豊かな人だと思うからです。主語を記載していないのも、そのような想いがすべてに広がっていけばいいな、という意味もあります。LOCでのイベント企画・運営は、これらの想いが達成されるよう、ブレないように、いつも気を付けているつもりです。
アクティビティXエリアというコンセプトで2017年4月に、主にアウトバンド/在住外国人向けのブランドを立ち上げました。共同オーガナイザーの協力を得て、2年半年間に通算100回、延べ730名の方に参加いただきました。現在では、1,000名を超えるメンバーが所属し、クライミングとしては非常に大きいグループになりました。
どの業界でも海外観光客への新たな価値提供として「アウトバウンド」が非常に注目されていますが、クライミングという分野において外国人が正しい知識を学び成長する場があるか?というと、恵まれた人以外はその機会は無いと思います。2020年オリンピックの正式種目に選定されたクライミングは、ますますアウトバウンド/在住外国人にもメジャーになっていきます。そのような背景があり、ビジネスの場・教育の場としてClimbingTokyoを立ち上げました。
このブランドの展開の場として活用したのがMeetupです。Meetupは世界では非常にメジャーなSNSの一つですが、国内ではイマイチの知名度は高くありません。関東近辺でクライミングや登山のMeetupは複数存在しましたが、経験者の憩いの場になっており、初心者にはハードルが高かったのを低くすることもできました。おかげで、外岩初めての方を関東近辺の岩場に案内し、今ではその方たちだけで岩場に遊びに行っているということは素晴らしいと思います。
参加者の国籍は多様で、欧米やアジアが多かったですが、地球の反対側の国々の文化に触れるいい機会でした。イベント時の往復の車内は盛り上がることが多く、英語であーだこーだという会話は特に楽しかった。また、海外の方とのやり取りはなかなか難しく匙を投げることもあり、申し訳なく思います。
江戸川橋でのボルダリングセッション
2015年1月から数え始めてこの2月で62回目ですが、実は数え始めていない2011年6月頃から開催し、通算80回、延べ800名の方に参加して頂きました。
「クライミング・ボルダリングというスポーツ振興のため」が公の目的ですが、真の目的として、先の教育の目的(2)中核メンバーがさらに成長できるための後世の育成の場を提供するということに加え、初心者から経験者まで様々なつながりの場を提供するということがあります。結果、ここで知り合った方々がコソ錬(と言いたいだけ)、クライミングやスキーに切磋琢磨していることは喜ばしい限りです。ごくたま~に、LOCの営業的な話もしますが、私がガイドであることを知らない人(=クライミングがうまいただのおじさんと認識、最悪の場合あんた誰?)もいたようです。
このセッションに限りませんが、私が人に何かを教える場合、私より対象のアクティビティに目を向けるようにしています。その結果、私に依存することなく、そのスポーツ独自の技術や知識に集中し、自立して個人で安全に楽しめるようにしてあげたい、という考えからです。基本的な技術やルールを半年~1年くらい学んでどんどん巣立っていってほしいと本気で思っています。このセッションには危なっかしい方も多く参加していますが、ちょっとの失敗は寛容に見ています(当然、正しい技術を認識していない、生死・骨折等のケガが予見されるものは注意します)。
このセッションには、類が他類を呼び実に多種・多様な方が参加していました。毎回といっていいほど、クライミング初めての方が数人おり、私がさっと講習した後に経験者と登る姿が定番です。また、クライミング後に60分1本勝負の夕食(中華レストラン)がついてきます。このアクティビティ+食事というサイクルは、コミュニケーションにとても良い効果がありました。クライミング中は会話できなかった参加者同士でも打ち解けていました。中華レストランの女将と仲良くなった方は、紹興酒をボトルで頂いた方もいたようです(ありえね~)。
日本山岳ガイド協会 山岳ガイド
申し込み当初は現在の知識・技術レベルの確認という意図で受験し、山岳ガイドという資格を深く知りませんでした。この検定や準備、検定後のガイド協会においては、様々な方からのご指導・ご支援・ご協力を得られることができ、資格取得以上に山というエリアでビジネスを進めるうえでの多くの関係性を構築することができました。
実際受けてみると、当時1年に1人程度しか受からない・・・?という、「え、どういうこと?」という資格で、私が受けていた前後でもそうだったみたいです。まぁ、私の合格に際しては、登山・クライミングの実力やガイドのスキルというより、別の顔であるコンサルティングのコミュニケーションスキルが功を奏したと思っています。
今では、現場において、ちょいちょいご挨拶・お話しさせて頂き、未だにアドバイス等頂きありがとうございます。ガイド資格は継続したいと思うので、引き続きよろしくお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
なんだか、最後に向かって多少文面が徐々に荒れたことをお詫びします。
まだ2月末まではガイドの予定がありますので、短い期間ではございますが引き続きよろしくお願いします。また、どこかでガイド活動再開の折には、ご協力・ご支援をお願いさせていただくかもしれませんが、引き続きよろしくお願いいたします。
2020年1月 岡村
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