汗と涙の着物生活 

突如着物に目覚め、ついに着物作成に挑戦。着付けに涙し、とどまらぬ物欲に冷や汗の毎日。

制作記録 1

2009-10-31 | 和裁レポ
当初予想とは違った展開となり、悪戦苦闘となった着物制作記。
まず一番頼りにしていた頼みの綱(実家の母)が切れてしまった。

年に数回、ボタン付けとほつれ直し程度しか針を持たない私が、自分で着物を作ってみようと思い立ったのは、実家の母が和裁経験者だったという要因も大きい。
「着物を作ってみたいんだけど」と相談したら、気軽に教えてくれると請け負ってくれた。また長くて面倒な直線縫い部分もミシンを貸してくれるという。それなら、なんとか仕上げられそうだと思ったのだ。

実際に母に教わり始めてみると、大丈夫と請け負った割に、母の記憶はあやふやだった。あてにしていたミシンも、ハイテクミシンのため高機能すぎていまだよく使いこなせていないという。

何より想定違いだったのは、私の裁縫の腕前だ。まっすぐ運針できない。目が揃わない。テキストに書いてある縫い方の名前がわからない。ないない尽くしに母も苦笑するしかなかった。

テキストとお手本になる単衣着物と首っ引きになりながら、なんとか袖まで作り上げる。一気にミシンで着物の背も縫ってしまいたいところだったが、なんと糸が足りなそう。しかたなく、初日はここまでで断念する。次回までにミシン用の木綿糸を買ってくることを約束して家に帰った。

行きなれない手芸屋で糸を調達し、次回実家を訪れるのを楽しみにしていたところ、母から電話が入る。祖父の具合が思わしくなく、母の実家に行くので次回の和裁教室は延期してほしいという。では別の日に、と予定を取り直そうとしたが、母と私の予定がどうしても合わない。結局、「まあ、自分で本見ながらなんとかできるんじゃない?」と母から見放される。本見てなんとかできたとしても、ミシンどうすんですか?あの背と両脇の長い距離を私に手で縫えっていうんですか?(そうです:母)。

しばし呆然としたが、貴重な休みの日数は限られている。ぼんやりもしていられない。ミシンは断念して手で縫い始める。

ところがこれが・・・!

布を縫い合わせていく波縫いはまだよい。経験はあるし、くにゅくにゅと針をさしていけば割合スピーディーに進む。苦戦したのは「くけ縫い」。布を折りたたんだ山の部分を地の布に縫いつけるもので、まつり縫いの応用編みたいな感じ。
これは表に目が見えないように縫わなくてはならなくて、よけいな気を使う。しかも着物はこの“くけ縫い”するところが本当に多いのだ。


左右前の見ごろのくけ縫いを終えてびっくりしたのは、針が曲がってしまっていたこと。折ったわけではなく、縫い物を進めていくうちに、私の手に入っていた力で曲がってしまったらしい。
横着して、くけ縫いも波縫いの運針をするように、針を布に通したままいっきに数センチ進めてしまったので、布と私の指の圧力が自然に針を曲げてしまうほど強くなってしまったらしい。

それでもなんとか背、身頃と縫い終えて、次はいよいよ最大の難関といわれる「衿」である。


つづく


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。