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伊勢根付職人 梶浦明日香の『手のひらの幸せ』

勇気を出して言ってしまおう SDGs②

この記事は、
ちょっと差別的に受け取られるかもしれないし
すっごく私自身が偉そうに捉えられてしまうかもしれないけれど、
でも、現実としてあることで
みんなが言えずにいることで、
伝統工芸の、職人のSDGsを語るなら、
今ここで言うべきかな、と思うので勇気を出して書きますね。
もしかしたら、いろんな人の反応によっては
心が弱くなって消しちゃうかもしれませんが・・・

・・・・

 


「これまで、障害のある人か、刑務所を出た人しか弟子入りの志願者はいなかった。
俺たちの仕事はそんなに嫌な仕事なのか?
東大を出たやつが職人になりたいって言ったっていいだろう?」

この言葉は、
昔、NHKのアナウンサーとして伝統工芸の職人さんを取材していたときに言われた言葉。
そして、私が職人になろうと決める大きなきっかけの一つとなった言葉です。

もちろん、障害のある人で突出して特別な才能をもって天才的に活躍している人もいるし、
刑務所を出てから一生懸命仕事をして職人として立派になられている人もいっぱいいる。

こういう人たちがいけないというわけではなく、
就職が難しい人、他に仕事が見つからない一般的に仕事に就くのが難しい
と言われている人々しか自分たちの仕事を望んでない
という事実に対しての憤りを語ってくれた職人さんの言葉。


今はそこまでではないと当事者としては感じているけれど
バブル期前後、職人の世界では(もちろん業種にもよる)
そういう時期があったことも事実のようです。
私はそれを否定したかったし、
人々が憧れる経歴の人、東大生なんかが
職人を目指しても不思議ではない、
とても素敵な職業だと思って取材をしていました。


だからさ、私が職人になったんです。
私が職人にならなきゃ駄目かなって思えたんですよ。



あ〜、
すごく傲慢な意識の露呈でお恥ずかしいのですが、
みんなが憧れる、アナウンサーという仕事をしてきた私が職人の世界に入ったら、
この職業差別というか、意識というか、
職人の仕事ってかっこいいんじゃない?
っていう思いに変わるきっかけを作れるんじゃないかなって思ったの。

書いてて本当にお恥ずかしい限りです。
あまりにも傲慢で鼻持ちならなくて・・・
でも、こういう思いがあったこともほんと。




伝統工芸を、職人を、かっこいい職業にできたら
もっと職業差別はなくなって、
それぞれの仕事を誇りをもって胸を張って生きられるんじゃないのかなって思った。

だから、今も職人ってかっこいいでしょ?
っていう活動をしたくて、
東海地域で活動する女性職人に声をかけて
凛九っていうグループを作って活動してる。
みんな、恐ろしく能力の高い人達で、
上のイメージを覆すのに十分なすばらしく魅力的なメンバーばっかりで
私はこのメンバーで、この不平等を本気で覆したいって思ってる。








その一方で、
職人っていうのは、
いわゆる一般的に社会のなかで生きづらい人、
上に言われたように、
障害者、刑務所を出た人ばかりでなく、
コミュニケーションが人とうまく取れない人など、
そういう人たちの受け皿という表現をすると語弊があるのですが、
そういう人たちが活躍できる場所として、
ものづくり、職人というのはとても大きな意味を持っているのです。
勉強できるだけが能力じゃないし、
なにか事情があって社会の中では生きづらい人でも
ものを作って立派になる人がいっぱいいる。
むしろ、そういう人こそ、
人一倍集中力があったり、発想が素晴らしかったり
能力が高い人もいっぱいいるのです。

職人っていうのは、そういう学校の勉強ではない能力で勝負するので
学校の中で落ちこぼれたり、うまく立ち振る舞えなかった人にも
チャンスがあって、生きていく場所になっているという事実もあります。


これって、職業差別とはまた別の意味で、
すごく大事なことだと思うのです。

だからこそ、職業差別される場所ではない、
対等な職業として、
学校の勉強で優位に立つ人達と同等に素晴らしい職業であるべきだよねって思っています。





それが結果的に、SDGsで言うところの

1,社会の中の貧困をなくすこと
2,飢餓をゼロに
3,すべての人に健康と福祉を

につながり、その家族などが
4,質の高い教育をみんなに


につながると思うんですよね。


伝統工芸が持っている社会の中でのなし得る役割の大きさ、
作品の魅力だけではない部分での意義が
少しでも伝わったら幸いです。



昨日に引き続き(昨日の記事はこちら

サステナブルな伝統工芸に関する記事

2回目のこの記事だけで
SDGsの
1,2,3,4,10
の5つの項目について書いてしまった。

まだまだ書きたいこといっぱい。
続きます。













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