2020年1月撮影
常識を覆したダヴィデ像 ミケランジェロ アカデミア美術館
この作品は『ミケランジェロ』(1475~1564)の《ダヴィデ》(1501~04)です。
《ダヴィデ》は世紀の名作とされています。
素晴らしく均整の取れた肉体美、誰しもがうっとりする出来栄えです。
しかしこの作品は二つの点でこの時代の常識を大きく覆しました。
一つ目は、それまでのダヴィデは聖書に基づいた表現で、
少年でえがかれました。
少年が大男ゴリアテに石を投げて勝利するというくだりです。
然し『ミケランジェロ』はあえて筋骨たくましい青年の姿に表現しました。
二つ目は、それまではゴリアテに勝利したダヴィデ少年が描かれていました。
しか彼は、ゴリアテと戦う前のダヴィデを描きました。
それは、闘いの前の緊張感がこの作品のドラマ性をより大きく表現できる
と考えたからだと思います。
敵に対して大きく目を見開いています、
握りしめた手に浮かぶ血管もその時の緊張感を高めています。
天才というのは、常にその時の常識や前例に囚われづに、
常に新しい表現を生み出していく存在なのです。