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長編 クナイ徹底解説

クナイは非常に汎用性の高いソフトシェルゲイターである。

クナイは地下足袋のパターンを参考にしているので優れたフィット性があり、それ故に足さばきの邪魔にならず悪い場所でも足元の確認がしやすい。いわゆるレインゲイターではなく、晴れの日にも雨の日にも雪の日にも、シノギング全般に使うことができる。シューズ内への異物の侵入を防ぎ、藪や濡れた草から足元を守ってくれる、シノギングにおいては欠かせないアイテムである。

この画像ではアヲネロと組み合わせている。ある意味「凌」の正装で、このまま藪の中に消えて行きそうだ。

クナイには、クナイクナイkevlarクナイ・ショートの3種類があり、それぞれ生地が違う。

まずは簡単に主なスペックの説明。

クナイ

本体価格:¥10,000

生地:schoeller dynamic

通気性:9.2㎤/㎠・S

UPF50+(実測値100以上)

重量:186g

長さ:M=37cm, L=42cm

ふくらはぎまわり:M,L共に44cm

 

クナイkevlar

本体価格:¥14,000

生地:schoeller keprotec

通気性:13.8㎤/㎠・S

UPF50+(実測値100以上)

重量:159g

長さ:M=37cm, L=42cm

ふくらはぎまわり:M,L共に44cm

 

クナイショート

本体価格:¥4,200

生地:ダブルフェイスストレッチファブリック

通気性:2.3㎤/㎠・S

UPF50+(実測値100以上)

重量:159g

長さ:S=16.5cm, M,L共に18cm

口巾:S=13cm, M=14cm, L=15cm

 

どれも優れたUPF特性を持っているので有害な紫外線を通さない。そして不快な蒸れを軽減する通気性を備えている。そう、レインゲイターのあの蒸れと結露がないのだ。数値だけを並べるとクナイショートの通気性は低いが、それでもいわゆる防風素材に比べ2倍以上の通気性がある。クナイはクナイショートの4倍の通気性があり、クナイkevlarはそれ以上の通気性があるので風の抜けを感じることができる。このように、クナイシリーズには優れた通気性があるわけだが吸汗性はないので、肌に直接着用した場合には汗を感じてしまうから、ショートソックスではなくミドル~ロングソックスですね周りの汗を吸収することが快適に使用するポイントだ。

クナイkevlarは、kevlar(アラミド)を24%織り込んでいるので引き裂き強度に優れている。これはシノギングで何かに引っ掛けてしまったときに穴は空いても引き裂けにくいということである。ただし、クナイkevlarには紫外線によって徐々に黄変してしまうことや雪が付着しやすいなどのデメリットもあるので注意が必要だ。

クナイkevlarを雪のシノギングに使うとこのように雪がまとわりついてしまう。

クナイは雪が付着しない。

 ・・・話はそれるが、クナイとツユハラヒがあればどんなシノギングでもこなせるのだ。だからシノラッセルも楽々♪♪♪ いや、決して楽ではないが・・・。

ここから各部の詳しい説明。

ジッパーについて

クナイのサイドジッパーは上から下に向かって閉じるのでとても操作しやすい。この時、この画像の様にジッパーのスライダーをはね上げることでジッパーがロックされて開かなくなる。ジッパーのスライダーをはね上げないで使用するとシノギング中にジリジリ開いてきてしまうので注意しよう。

ジッパーの内側にはインナーフラップがあり、これによってジッパーの隙間からの砂や雨の侵入を防ぐことができる。目立たないが実はとても重要なパーツなのだ。

穿き口の調節について

穿き口後部に臙脂色のショックコードが見える。その上部にコードロックが内蔵されているのでそれを使って穿き口のフィット感を調節できる。

指を穿き口の表と裏に宛ててつまむとロックが解除されてショックコードを締めたり緩めたりできる。ショックコードを締めるとこのように余りがはみ出るが、この状態で凌ぐと何かに引っかかって危険なのでこれを内側に押し込んですっきりさせておこう。

余ったショックコードを押し込むと締める前と同じ状態になる。

余ったショックコードは内側に垂れるのでシノギングの邪魔にならない。

シューズへの固定について

シューズへの固定はトグルを使って行う。一般的なゲイターはこの部分にフックが使用されているが、金属製のフックはガバガバで外れやすかったり、プラスチック製のフックは返しがきつくて外しにくかったりと誠に使い勝手がよろしくない!それに比べてトグルはシューレースに差し込みやすく抜きやすいのに外れにくいのだ。シノラーにはこんな人はいないと思うが、シューレースのテンションがあまいとトグルを固定しにくいので、くれぐれもシューレースはしっかり結んでいただきたい。

シューズにビシッとフィットしたクナイはとても美しい。

シューズの種類によってはトグルを差し込みたいところにループがあって差し込みにくいこともある。

そんな時、私だったらそのループにはシューレースを通さない(笑)

そうすればこのようにトグルを差し込むことができる。

いやいや、そこにシューレースを通さなければ美しくないし、だいいちテンションバランスがくずれちゃうでしょ。・・・という場合にはトグルを止めているテープに細引きを通す。

それをシューレースにこんなふうに差し込む。

そんでもって、蝶々結び!こんなふうに凌いでもいいのでは?

裾回りの左右にはループがあるので必要に応じて丸ゴムなどを取り付けてシューズの底に掛けることで最大のフィット感を得ることができる。これは特に激しいシノギング時に有効である。私はいつでも身なりをきちんとしたいのでゆるめのシノギングでもこの最大フィットモードにしている。

画像のループはブルーだが製品は臙脂色なのでご了承いただきたい。

クナイ、クナイkevlar、クナイショートのすべてにおいて、踵の内側に面ファスナー(いわゆるマジックテープ)のループ(いわゆるメス)が縫い付けられている。

これはALTRAのゲイタートラップに対応(対抗?)すべくつけられたアルトラトラップである。これを利用すると爪先側のトグルとアルトラトラップの2点止めで簡単に良好なフィットが得られる。ALTRAユーザーではない私にはどうでもいい話だが(笑)ALTRAユーザーにはうれしい仕様であろう・・・。

撥水について 

撥水性の維持はクナイをいつでも快適に使うためにとても重要だ。クナイには初期段階で撥水加工が施してあるが、何度も使用しているうちに撥水効果が落ちてくる。撥水効果が落ちると汚れが付きやすく、雨が染み込んでたちまち濡れてしまい乾きも遅くなる。クナイのパフォーマンスをいつでも良好な状態するためにも市販の撥水剤で常にメンテナンスをしてほしい。撥水剤はスプレー式でも洗濯式でもどちらでOK。撥水性をしっかり保った状態であれば雨や雪にも対応できる。

注)ジッパーのテープ部分は初期段階でも撥水加工されていませんので、市販の撥水剤で撥水処理をすることをおすすめします。

どんなシューズに使えるのか?

クナイはトレランシューズでの使用を前提に設計されているが、ローカットのアプローチシューズやミドルカット~ハイカットのハイキングシューズにも対応する。更に、そのストレッチ性のおかげでライトアルパインブーツにも使用することができる。例えば、SPORTIVA TRANGO サイズ42にもこのようにフィットする。

すべてのライトアルパインブーツのすべてのサイズにフィットするわけではないので、あくまでも参考として頂き、実際に確認したい場合には販売店にシューズを持ち込んでフィッティングをしていただきたい。

お試しについて

アクシーズクインが行っているシノギングイベントでクナイを着けて実際にシノギングできるので興味のある方はぜひシノギングイベントに参加していただきたい。

 

長編の投稿を最後までお読みいただきありがとうございました。

注)この記事はシノギング(森林限界以下での使用)を前提として書いています。

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