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超シノギングでサンプルテスト

500円札で有名なその山は、峠まで車で行けば簡単に登れてしまうのだが、我々は律儀に尾根の端から歩いて登る。そしてシノギングは山頂を目的とはしないので当然その山頂には行かずそこから派生する長い尾根を凌がせてもらう。本来であれば一泊して帰りたいところだが、前日の大雨で日程短縮となったので日帰りの超シノギングとなった。

地形図を見ると山頂まで続く長い尾根がある。その末端から取り付くと450mの急斜面の始まり。シノギングでは準備運動はしないのだが、たいていこの序盤の登りで脚と腕を慣らして体調を整える。

鬱蒼と緑の茂る山に蝉がにぎやかに鳴いている。1,200m圏までひたすら続く急斜面では試作品のピッケルが大活躍。トレッキングポールよりも断然丈夫だし石突を支点にバランスを取ったり、立木にピックを引っ掛けて自分を引き上げたり、悪場ではピックやブレードを突き刺して身体を確保することができる。その昔、クラシックな登山では無雪期でもピッケルを使っていたように、それが実用的であるのならシノギングでもどんどん利用しようということである。

急な傾斜で汗が噴き出すが尾根上は風がどんどん吹き抜けていくので、頭から足まで高通気のサンプルをまとった我々にはいささか寒いくらいであった。

1,200m圏を過ぎると傾斜は一服して快適な尾根歩きとなる。少しずつ標高を上げながらやがて尾根は痩せはじめ、本日一番の凌ぎ所である250mの露岩混じりの壁が近付いてくる。

前日に長く雨が降ったということもあって枯葉の下の土は滑りやすい。足を滑らせて確保が外れればしばらく下まで滑って行ってしまうだろう。手掛かりが欲しいところだが立木が少なく頼れるところがないのでピッケルで確保しながらじりじりと進む。こんなところであわてる必要はないし、ここから先の様子を確認しながら安全なラインを選ぶ。

ようやく傾斜が緩み始め、尾根も広くなってきた。夢中になっていたので気付かなかったが、こういう場所では時間の経過が早い。難所を越えてホッとして歩き出すと間もなく林道に飛び出た。ずっと鬱蒼とした樹林帯を歩いてきたので気付かなかったが、青空がまぶしくて暑いではないか(笑)

ここから林道を越えて尾根を辿りたいのだが、山側はコンクリートの壁に行く手を阻まれていいる。こんな林道をずっと歩かされるのは嫌だよね、なんて話ながら歩いているとすぐにコンクリートの壁が低くなっているとことがあったのでそこから取り付くことにする。足元の土は例によってツルツルだが何とか凌いで尾根に乗る。

ここから先は傾斜が緩く尾根も広くなるのでどんなところかと期待をしていたが、その期待をはるかに上回る景色が待っていた。ニヤニヤしながら歩く三人。矢鱈とシャッターを切りたがる三人。ここはリトル脊梁ではないか(九州山地の)などと浮かれた言葉をつい漏らしてしまった。煤竹も出てきていい雰囲気になってきた。ニヤニヤしながら歩く三人。ほころんだダケカンバの樹皮を集めすぎる欲深いおっさんひとり。そう、それは私です。そんなにいつ使うんだよ!いつか使うんだよ!

しかし、こういうだら~っとした場所では現在地がわからなくなることが多いので、ニヤニヤしながらも地図読みは真剣だ。

さあさあ、1,500m圏に入りいよいよパラダイスとなったこの場所で休憩することにする。シノギングでは歩きながら休むので立ち止まって休憩することはないが、気持ちのいい場所では最低でも二時間は休憩する。そのためにハンモックは無くてはならないサボり道具だ。

ちょうどいい木立があったのでハンモックを三角に張る。結構強い西からの風が吹き抜けるので冷えないようにタープで風を逃がす。こういう時に防ごうと思うと風をまともに受けてしまうので逃がすつもりで張ることが大事である。一見ハンモックの位置高くねぇ?と思うかもしれないが、ハンモックに座ったり寝たりした時に身体に風が当たらないように張ってある。

汗をかいた身体を冷やさないために、薄手の吸汗インシュレーションを肌側にまとい、その上に通気シェルまたは防風シェルを重ねる。この時、当然ながら通気シェルを重ねたほうが汗は早く乾くが、その場合には風に当たらないようにしないと冷えてしまうので注意が必要だ。

パラダイスで思い思いにお昼を食べる。シノギングではこういう時に仲良く集まって座って食べたりしない。適当な距離間のある独立した大人の空間を楽しむのだ。

お昼を食べたら昼寝の時間、しかし、家でのパッキングの際に魔が差してハンモックキルトを置いてきてしまったのでなかなか寒い。眠れない。どうしよう。カメラ小川は早々とエマージェンシーシートとハンモックにくるまってミイラの様に棒状になって凍えている。谷島は一番荷物がコンパクトなくせにちゃっかりウンカイライトを持ってきている。さすがULの申し子。それぞれちょっとずつ寒さを我慢しながら出発の時間を待つ(笑)

予定の時間にパッキングして歩きはじめると、尾根の西面は重機が入り綺麗に伐採されている。それではと、何の根拠もなく重機の後を辿ると目の前は恥ずかしいくらいの見晴らしとその向こうに富士山が!さすが500円札で有名な富士山とだいたい同じ方角からの富士山。

下山は見つかったら撃たれてしまいそうなハゲハゲの斜面を下って林道経由でお隣の尾根へとつないだ。この下り尾根がなかなかテクニカルで慎重な地図読みを要求される。ポイントポイントで立ち止まり確認しながら進路を決める。普段から地形図を見ながら歩くということはとても大事なことなのだ。

シノギングにありがちな、最後の最後がちょっとした難所。崩落した巻き道は昨日の雨で弛んでいる可能性があるのでNG ぐずぐずの斜面を降りて沢の狭いところを渡渉することにする。思えば一月の超シノギングでも同じところを凌いだのにすっかり忘れていた。何やっているんだろう俺。

・・・というわけで長い尾根を登って下りるシノギングは無事に終了した。

なんだかんだでバスの時間が迫っていた。

今回使用したアイテム

AXESQUIN

・高通気ハット(試作品)

・高通気ベレー(試作品)

・高通気ソフトシェルシャツ(試作品)

・高通気ソフトシェルパンツ(試作品)

・お腹の冷えないTシャツ(試作品)

・クビマキ(絶賛販売中)

・クナイ(絶賛販売中)

・ヤマバッグ(絶賛販売中)

・凌ぎピッケル1型(試作品)

・凌ぎピッケル2型(試作品)

・吸汗インシュレーションシャツ(試作品)

・フリシキル(絶賛販売中)

・ウンカイライト(販売準備中)

EXPED

・Travel Hammock Lite(絶賛販売中)

・Travel Hammock(サンプル)

・Solo Tarp(欠品中)

・Hammock Trekking Tarp(絶賛販売中)

・New Backpack(サンプル)

MOUNTAIN EQUIPMENT

・New Backpack 1(サンプル)

・New Backpack 2(サンプル)

 

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