四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
寒波到来、道具実験雪上お泊りシノギング
先週末に掛けて、日本列島を襲った大寒波。奇しくも毎年恒例の冬のお泊りシノギングを計画していた我々は、得てして凌道具実験も担う、シメシメなシノギング行程と相成った。
駅ホームに降り立つと、早速の豪雪ぶりと少々横殴りな粉雪に凌ぎ心をくすぐられる。
予報では夜中、余裕で-10℃は行きそう。尾根稜線上も中々の降雪と見込み、今回は深く山中には入らず、下見を兼ねて登り下り、麓寄りではあるが目星をつけた雪原地帯で道具お試しを主とたお泊りとする。そしてどこまで低気温化で我々も耐えられるのか。。
有り難い事に駅舎内は少し広々した室内空間となっており、ぬくぬくと出立前の準備をさせていただく。中々のローカルエリア、勿論先客はおらず我々のみ。
多少風は収まったか。いざ出立。
県道からすぐに脇道に入る。冬の集落、長閑な風景を堪能しながらすすむ。
すると線路を跨ぐ橋道を前に、早くも除雪ゾーンは終わりシノラッセルへ。痺れるぜ。
尾根の取り付き前にて。ラッセルありきとなるので、行ったり来たりの無駄なロスは避けたい所。少しのっぺりとした特徴のない尾根故、入念に観察し、取り付く箇所を選定す。
新たに我々の仲間となったJUNさん。一人ゴリゴリのアルパインなスタイル笑
取り付きは針葉樹帯。薄暗いが風は多少緩和してくれるので幾分歩きやすい。
抜けると早くも急峻な登り!尾根直登で地形図でも確かに詰まっている箇所。雪は例年ほどではないが、逆に凍結した地面に足がすぐ到達してしまうので、この斜面ではズルズル滑りやすい。なので早々とアイゼンを装着。急斜面の途中だが、背に腹は代えられず。。雪を慣らして平らな場所を確保にて。
再度発進!
気付けば植生界はらむ尾根らしい尾根に乗っており、一安心。ここまで淀みなく登り続ける。
気温は-6℃前後を推移。思った程のラッセル地獄はなく、この程度の運動量の場合、
ウールベースレイヤーにシルベ(新素材版)、マタギ尾州、ハンテンcombat woolでちょうど良い。
時折抜ける風をハンテンが適度に防風してくれる。生地素材が毛羽感強いので所謂の生地に対して撥水の乗りはそれなりだが、市販の撥水スプレーにて自身で撥水処理する事で、粉雪程度の付着による生地浸透は抑えられ、厭らしくまとわりつくような現象も緩和出来る。サッと掃えば雪が落ちてくれる。是非この撥水処理は実行していただきたい所。
一先ず第一難所を越え、等高線緩い平坦地に乗る。尾根上、風を受けやすくなった分、下手に停滞はせず、変わらず淀みなく進む。
そして再び始まる急登。
この辺りはこのエリアらしく一面適度な感覚の広葉樹帯となり、心地が良い。少し雪も深くなり、ツボ足にてフリクションも効きやすくなる。
ただ、結構な斜度なので調子に乗らず、一歩一歩確実に詰めていく。
重装備により、一人大きなツヅラヲリにてジグザクに登るJUN氏。時折我々の視線からも外れるほどのグレートトラバースっぷり笑
真北の小ピークを目指し、そのピークからは一気に西へ尾根方角が変わる。その西に延びる尾根が見えて来たので、小ピークは踏まずトラバースで直接尾根を目指す。雪上だから成せるちょっとしたテクニック。
再び尾根に合流すると、プチ雪庇も出来た痩せ尾根に。左右の見晴らしも良くなり、高所恐怖症の柳谷には少し酷か。。
案の定、後ろでヒーヒー言いながら尾根をタドル笑
さてさて、外からも見えた尾根上の松の木まで辿り着いた。本日の登りはこれにて終了。お互いウェア道具類の良いテストが出来た。
ここからはもと来た道を戻りつつ、麓寄りの別荘地を目指す。この先はまた次回の宿題。
後は下るだけ、となると、足取りも軽やか。
痩せ尾根ゾーンが終われば、深い雪を利用して、ツボ足にて一気に下る。
途中のグレートトラバースのトレースには騙されぬように笑
あっという間に(とは言え1.5時間程かかったが...)、狙っていた楽園に到着。
何といっても真横に生きた沢筋があり、水の調達に困らないのが最高。
イソイソと足元床を整地しながら別荘作りスタート。
サクッと完成。朝方まで天候不安定だったので、タープもしっかり張っておく。
恐らく余裕で-10℃はいきそうだ。
ではそれぞれのハンモックシステムをサラっとご紹介しよう。
【柳谷】
安定のEXPED Hammock Trekking Tarpで広々と屋根と荷物置き場を確保。
ハンモックはTravel Hammock+ハンモックアンダーキルト240(下に)+〃アンダーキルト120(上に)+ハンモックビビィTyvek
※盗撮ではない
【谷島】
定番のEXPED Solo Tarpにて手堅く屋根の確保。
ハンモックはTravel Hammock Mesh+ハンモックアンダーキルト120+ウンカイlight+〃フルカバーキルト180(外側に)+ハンモックビビィTyvek(更に外側に)
※これも盗撮ではない
【細川】
これまた定番のEXPED Solo Tarpにて手堅く屋根の確保。
ハンモックはウキグモ(リバーシブルキルトはアンダーへ)+ウンカイ+ハンモックビビィTyvek(後ほど装着)
※これは盗撮??
三者三様。それぞれの凌ぎ結果は後ほど。。
想定よりも雪は深くなかったので、掘りごたつスタイルはできずだったが、夕方前には雪と風は落ち着き穏やかな気候へ。
ハンモックでなくとも色々と弊害が出てくる-10℃の雪上世界。快適にはならないが弊害にならないためのいくつかのポイントをおさらいしておこう。
■水(液体)
当然放っておくとすぐ凍る。なので起きている間は焚火の程よい近くにおいておくと良い。そうじゃなけれはハンモック内に入れておくこと。寝る時もハンモックの中で一緒に寝れば間違いはないだろう。あと忘れがちな浄水器。(我々は主にSawyer製使用率高い)これも凍ると悲惨なので外に放置は厳禁。
地味に面倒なのはボトル口が凍って塞がれてしまう事。この対処法として、保温ボトルを携行していき、寝る前に温めたお湯を入れておけば朝まではある程度暖かに保温してくれる。凍っていたらそのお湯で溶かせば良いだろう。保温ボトルは小型で安価なものでも良いので1本持っていくことを推奨する。何かと使える。(私的にお湯割りのお湯保温しておくのに重宝)後は地味にタモツウルオスも少し保温に役立つ。寝る前にお湯にしてPPボトルに入れておけば多少本体凍る場合もあるが翌朝までは持ってくれるだろう。
■焚火台(ウッドストーブ)
やはり雪上の焚火は最高である。雪上でそのままウードストーブにて焚火をすると熱で直ぐガタツキ、陥没しだす。以前より提唱しているが、しっかり雪を踏み固めた後、その上に木の枝をイカダのように並べたり、大きめの枯れ木があればそれを削り出して陥没しない土台にする事が出来る。本当に長時間燃していれば枝も焦げ付き崩れるが、一晩適度なら全く問題ない。更にある程度安定して焚火を続けたい場合は、薪の担ぎ込みも良いが、熾火として火持ちの良い木炭(豆炭・オガ炭など)を数個持っていくと良い。火種が安定して残っている事で、現地追い薪でも対応しやくなる。
■着火道具
主にライターを持参する事になるが、基本的には肌身離さず体温で温まる所に入れておくべし。特にターボライターはガスが冷えていると全くつかなくなる。フリント式は多少良いが、それでも着きは悪くなる。オイルライターが一番耐性あるが、統一してポケットに入れておくように心がければ良い。ちなみに私はターボライター・オイルライター・メタルマッチの三種を着火用として常に携行している。原始的な木製マッチもかなり有効。
■電池関連
ヘッデンや充電用モバイルバッテリーや予備電池は、必ず体温で温められる所に保管すべし。寒さで直ぐ電圧容量が正常に機能しなくなる。凌唯一の上保温着ヨヒヤミはお腹カンガルーポケットのため、それらの保管がしやすい。また秋冬のクイックハラマキ系も前側防風生地内ファスナー付カンガルーポケットとなっており同様に保管しやすい。不測の事態を想定して、ヘッデンの電源電池は予備を持ち込むと良い。勿論その予備も温かい所で保管する事を忘れずに。あと金銭的に余裕ある方はリチウム電池(充電式の「リチウムイオン電池」ではなく使い切り一次電池の方)が電池界隈では一番耐寒性があり-10℃前後でも十分使える。ランニングコスト高いが単三や単四タイプも市販あり。
■靴(及び濡れ物)
防水系の靴でも内側汗による濡れ戻りは防げない。その濡れて湿気た状態で放置すると当然翌朝ガチガチに凍ってしまう。一番無難なのはこの靴も抱えてハンモック内で一緒に寝る事。それも面倒な場合は、せめてインソールだけでも凍らないように抜いて温めておけば、凍った本体に再度装着して歩き出し靴底のひんやりは低減できるはず。根本的な濡れ戻り対策として、アルパインの方々が良くやる手法だが薄手のネオプレンソックスを履いてから靴履く事で、かなり改善出来る。(外側からの対策もしっかりする事が前提)個人差もあると思うが、一日のシノギング程度ならばネオプレン内の蒸れ湿気も気にはならない。
そして濡れたグローブや履き替えた靴下等(場合によってはクナイも)、濡れ物に関してもほったらかしにせず焚火でしっかり乾かすか、やはりハンモック内に保管して一緒に一夜を共にする方が無難であろう。肝心な上記ネオプレンソックスも然り。
翌朝、バッキバキの靴下やグローブに身を預けるのはまっぴら御免だ。
以上、何かのお役に立てれば幸い。
そうこうしているといつも通りの静かな夜の始まり始まり。一先ず皆焚火はしっかり出来て一安心。やはりこれがあるかないかで相当違う。。
ぽつりぽつりと会話をこなし、ぼーっとする。時折焚火や行燈から漏れる灯りをただただ眺めてみたり。
しかし寒い。あ、無事-10℃は下周り-12℃くらいまで差し掛かったていた。私的な雪上ハンモック泊最低温度を更新した。アッパレ。流石にこの気温下ではビールはシャーベット化し、ろくに飲めたものではない。最初の一杯分だけで良い。お湯割りやお燗がベストだな。
そのな事もツラツラ考えつつ、身体が冷え切る前に、早めに寝床に就く。
おやすみなさい。
明くる朝。。
モゾモゾと起き出す。
二日目の行程は緩々で直ぐ駅に到達で帰路につけるので、ゆっくり起床。朝方気温確認したが-12℃から更に下回る事はなかったようだ。
そして三者三様ハンモックシステム、結果発表~
柳谷:背面に少し寒さを感じる事があった。ただフルクローズのビビィの吊り具合が強すぎて少し背面ロフトが潰れている傾向もあったため途中で緩めて対応。それにより幾分マシになり凌げた様子。
谷島:自分でもびっくりしたが、全く寒さも覚えず熟睡出来た。フルカバーキルトもほぼフルクローズし、外側ビビィもクローズさせた二重防壁構造はかなり効果的に感じた。ただビビィ開口部の結露が多くシャリシャリ凍り付いていた。凍ってくれるのでここもまぁ許容範囲。
細川:基本は問題なし。ただDown Sock履いたが足元に少し冷えを感じる事があったと。ビビィ内温まるまでに少し時間がかかった印象との事。ビビィは吊らずに少し開口部開いて使用。雪上ハンモック初めてでもこのポテンシャル発揮する、流石のウキグモ+ウンカイ+ビビィセット。
以上、着込む衣類や個人差もあると思うが、何かの参考になれば幸い。
どうやら昨晩はシトシトと雪は降っていたもよう。意外にタープにも積もっていた。
朝の澄んだ空気にて、ハンモック村の全景。
そうそう、このかなり冷え込んだ状況で、サボが担う+α防寒性の高さを改めて痛感した。これ、三層防水生地で結構生地厚もしっかりしているので、単純に防風からの保温ブースト力が高い。お気に入りの使い方は少し贅沢だがEXPED Camp Slipperをインソール気味に仕込み、メインはDown Sockの合わせ技。焚火効果もあるが、これで足元の寒さ底冷え感は全く感じなかった。
時間余裕はたっぷりある。雪上で優雅な朝食を、焚火と共に。
ただ一本逃すととんでもないことになるローカル鉄道帰路が故、早めに撤収開始。余る分は時間調整すれば良い。
と、案の定余裕で撤収完了にて、余った時間はまだハンモック装備不慣れなJUNさんの凌流パッキング講座~
あーしてこーして、これから詰めて、そこの隙間にこれ入れて~と小気味良くパッキングしていく。。
アッという間に、凸凹偏りのないパッキング完了!この辺は、シノギングイベントでもやってみても良いかも。。
さてさて、別荘地を出立し、取るに足らない尾根一下りだけこなし、、早々と登りの麓へ下りてくる。
しかしながら、何だこの快晴ぶりは。
奥のお山もくっきりはっきり雪化粧。今日稜線歩きしていたら、肌はガンガンに焼けていたであろう。。
昨日到達した松の木ピークもくっきり。このシーズン終わったビニールハウス集落感がまた何とも愛おしい。
無事駅まで舞い戻る。いや~あまり凌らしい凌ぎはしていないけど、何より狙っていた良い道具実験が出来た。
逆にノーマルなJUNさんが浮いてしまうかの如く怪しい二人笑。三人でガタンゴトン帰路に就いたとさ。
決して笑ってはいけない奴、A面B面
雪の尾根を凌いだアイテム
【柳谷】
ジャミロボウ??(試作品)
カルフワタオル(絶賛販売中)
ハンテン combat wool(絶賛販売中)
マタギ 尾州(絶賛販売中)
シルベ(試作品)
シモナギ(試作品)
ツユハラヒ(絶賛販売中)
クナイ(絶賛販売中)
ウールインナーグローブ(絶賛販売中)
W2P Light Shell Trigger Mitten(絶賛販売中)
ヤマバッグ XP(絶賛販売中)
タモツウルオス XP(絶賛販売中)
凌ピッケル(近日再入荷予定!!)
EXPED Lightning 45
【谷島】
ジャミロボウ??(試作品)
クビマキ 鉄塔(23春夏新作)
ハンテン combat wool(絶賛販売中)
マタギ 尾州(絶賛販売中)
シルベ(試作品)
シモナギ(試作品)
ツユハラヒ(絶賛販売中)
クナイ(絶賛販売中)
ウールハンドウォーマー(絶賛販売中)
ウールソフトシェルグリップ??(試作品)
ヤマバッグ SPIDERON??(試作品)
凌ピッケル(近日再入荷予定!!)
EXPED Lightning 45
EXPED Flash Pack Pocket
■一夜を凌いだアイテム
【柳谷】
EXPED Hammock Trekking Tarp
ハンモックビビィ Tyvek
ハンモックアンダーキルト 240
ハンモックアンダーキルト120
EXPED Travel Hammock Kit
ヨヒヤミ??(試作品)
アグラスカート??(試作品)
ウデアテ(絶賛販売中)
EXPED Down Sock
サボ(絶賛販売中)
行燈風シェード(絶賛販売中)
シノギチャブダイ240mm
三脚取付具
ヌノバケツ 4litters SPIDELON??(試作品)
凌風呂敷 44cm&54cm(絶賛販売中)
【谷島】
EXPED Solo Tarp
ハンモックビビィ Tyvek
ハンモックフルカバーキルト 180
ハンモックアンダーキルト120
ウンカイ light
ノヤマ(絶賛販売中)
EXPED Travel Hammock Mesh Kit
ヨヒヤミ??(試作品)
アグラスカート??(試作品)
ウデアテ(絶賛販売中)
EXPED Camp Slipper
EXPED Down Sock
サボ(絶賛販売中)
行燈風シェード
シノギチャブダイ240mm
三脚取付具
ヌノバケツ 4litters SPIDERON??(試作品)
凌風呂敷 54cm(絶賛販売中)
