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フミアトのない尾根を凌ぐ

積雪期のシノギングでたびたび訪れている超ローカル線沿線の名もない尾根。毎回想定以上にしごかれるのに、愛してやまない雪深き低山。

そういえば無雪期に凌いだことはなかったっけ・・・。ということで梅雨前の週末に出かけてみた。民家の脇の鳥居から庭先を抜けるように道がついている。このあたりの標高が650mほどですでに東京スカイツリーよりも高い。

道をたどるとその先に神社。そう、シノギングは神社に始まることが多い。

神社からほんの少し標高を上げるともうこんなに気持ちのいい尾根。いかにも五月らしいさわやかな天気に春ゼミの鳴き声がにぎやかだ。

尾根は次第に細くなり、等高線がぎゅぎゅっと詰まった急傾斜が続く。今回の装備は16kgとまあまああ重いのだが、雪という障害がない分先に進むことができてしまうので16kgの負荷がボディブローのように身体に効いてくる。

ほやほやの熊の糞。足の跡のようなのも見える。熊が寝ている冬は安心してこの山域に入り込めるが、この季節には絶対に熊に遭遇すると、夢に見るほどそわそわビビりまくっていたところにほやほやの糞とはビビり度MAX!

熊との遭遇に怯えすぎて、音色違いの熊鈴を三個鳴らして歩くという愚行を思いつく(笑)ほやほやを見てからというもの、鈴の鳴らし方に一層力が入るが、効果のほどについては全く不明。それでもいい、これは一種の精神安定剤なのだ。

1,200mを超えると尾根は丈の低い笹に覆われてまるで芝生のようだ。フミアトは、ない。ハチジュウハチヤに合わせた試作品のミチクサは、吸汗性があり通気度がとても高いので、汗を効果的に吸い上げ発散させてくれるからハチジュウハチヤの汗濡れを大幅に軽減してくれる。通気性のあるハオリモノを合わせることで汗を上手に処理できる。感じさせなくするのではなく、感じて対処する術を知ってもらうのが凌の考え方だ。

200mの急登を凌ぐと1500m圏の主尾根に乗る。笹の丈が伸びてややうるさい。このあたりの緑はまだ若く新緑を楽しめる。

ヌタ場

雪どけの名残りだろうか、平坦地には小さな池がいくつかある。積雪期、この辺りは見通しのいいブナの雪原なのだが、無雪期に訪れてみるとややうっそうとした森になっている。

緩やかな傾斜の尾根を快調に下り送電鉄塔に出ると視界が開ける。

鉄塔の巡視路らしきフミアトを辿ると峠のくぼみに降り立った。地形図上に峠の名が記されているだけで登山道を示す破線はないのだが、実際には明らかなフミアトがある。昔は集落と集落を結ぶ大事な道として人の往来があったのだろう。

峠を横切っると尾根は登ったり下ったりを小刻みに繰り返す。小ピークをトラバース気味に巻いていると、すぐ下にガサガサっと音がしたと思ったら、熊があわてた様子でコロコロと山肌を駆け降りて行った。熊よりも上にいてよかった・・・。しかし、ずっと三色の音色の熊鈴を鳴らしながら歩いていたのに、比較的近くに来たところでようやく逃げたということは、やっぱり熊鈴の音になんて気付いていなかったんだろうな。熊鈴なんてただのお守りなんだろうな・・・。じゃらんじゃらん・・・。

積雪期の無謀な計画では到底たどり着けなかったM山の手前まで進むことができた。主尾根から少し外れた平坦地に荷を下ろし一夜を凌ぐ道具を広げる。とても気持ちのいい場所なのだが、実はハンモックを張ったとたん、うなじ、脇の下、お腹にマダニがかじりつきやがった。その辺に置いておいた手袋にまでかじりついていやがる(笑)この先どうなるのだろうと心配していたが、暗くなるにつれてマダニ被害は落ち着いてきた。時間や暗さとマダニの行動に関係があるかどうかは知らない・・・。

木に吊るしたバックパックがちょうどいいハンガーに。

長い薄暮の時間帯を楽しみながら夕飯の準備。SUMMIT FOCUSに合わせたウッドストーブ(ステンレスのパンチングボウル)のテスト。風防と台所用の油はねガードで温度を上げれば太めの薪もよく燃える。  

ハンモックビビィTyvekに包まって眠るやっさん。夜中に「ううぅ・・・」「おぉぉ・・・」とうなされはじめたと思ったら「あうえうぇ~」と叫びだした。いま「助けてくれ~」って言いましたよね?(笑)以下省略・・・。

獣に襲われることなく朝を迎えることができた。マダニの被害もない。仕様変更版のモグ350を試してみた。最低気温は10℃ほどだったので余裕であたたかかったのは言うまでもないが、細かな変更個所を確認できてよかった。年内に売り出すことができるかな?

SUMMIT FOCUSに合わせたときに薪をくべやすくするため、前面をちょこっとカットしたpicogrill85を試してみる。こちらも調子よさそうだ!それにやっぱりSUMMIT FOCUSは使い勝手がいい。

とっても雰囲気のいいハンモックポイント。

ハンモックに寝ころべばこの新緑!

撤収時間ギリギリまでハンモックでうだうだしたいタイプ(笑)

はいはい、片づけりゃいいんでしょ・・・。やるよやるってば・・・。

一夜を凌いだ痕跡・形跡を残さず去るのが凌の礼儀であり作法だ。

出発してすぐにM山への登り。

M山の山頂からは南西の尾根を探しながら降りてみると左手に尾根が見えてきたのでトラバースしてその尾根に乗る。そこからは西に進むはずなのだが、コンパスを見ると東に進んでいる。あれれ?おかしいなと思い頭を整理してみるがどうしてこうなったのかさっぱり分らない。こういう時は現在位置がはっきりわかる場所に戻るのが鉄則、ということでM山の山頂まで戻って間違い分析。どうやら先ほどトラバースして乗った尾根は最初にM山を目指して歩いていた尾根だったようで、それを東に逆走していたようだ。地形図を見直して今一度南西の尾根を探りながら降りてみる。しかし、地形図よりも明らかに急な斜面を降りている・・・。それに尾根らしいものが見えない・・・。こういう時は現在位置がはっきりわかる場所に戻るのが鉄則、ということで本日三度目のM山山頂(笑)以下省略・・・。

地形図のちょっとした読み間違いによって30分のロス。ようやく南西~西へと続く尾根に乗ることができた。そのあとは難しい分岐もなく西へ西へと進んだ。それにしてもあんな凡ミスをするとはね。しかし、いつも言い訳をしているように、「地図読みを間違えてもそれに気付いて修正できることが大事なのだ」というセリフを噛みしめる(笑)

1,200m圏~1,000m圏まではとても気持ちのいい尾根が続く。

無雪期はこのあたりで一夜を凌ぐのが最も気持ちよさそうだ。

1,000から少し下げ、尾根が細くなったところで北西の支尾根に乗る。ここから標高差約350mの急降下。

あいまいな尾根をどちらに降りようか迷ったが、なんだか血なまぐさいマーキングがあるのでそれを追ってみる。

クナイにジュードーパンツをインして、まるで天狗のような足回りで軽やかに植林地の急傾斜を降りる。血なまぐさいマーキングは我々が目指していた林道に導いてくれた。

30分のロスはあったが、だいたい想定していた時間に凌終えることができた。

ここから温泉までは徒歩三分。汗を流して帰るとしよう!

名もない尾根を凌いだ道具

ヤマボウシ Air(売り出し中)

クビマキ short(試作品)

ハチジュウハチヤ 長袖(試作品)

ミチクサ(試作品)

ジュードーパンツ(旧品)

クナイ(売り出し中)

ヤマバッグ XP(売り出し中)

タモツウルオス XP(売り出し中)

凌ピッケル(売り出し中)

EXPED Lightning 45L

一夜を凌いだ道具

ヨヒヤミ(秋冬物・暑くて途中で脱ぐ)

アグラスカート(秋冬物・ロングベストとして)

ウデアテ(売り出し中)

カルフワタオル(売り出し中)

EXPED Solo Tarp

EXPED Travel Hammock

モグ(試作品)

シノギチャブダイ 240mm(売り出し中)

行燈風シェード(売り出し中)

ヌノバケツ × 2(売り出し中)

 

 

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