Flashback

『犬の名前なんて言うんですか』


ぽっかりと浮かんでる。
タイミングを逃して、何日も言えなかった言葉。

いつも、言う準備はしてて、
でもなかなか普通のお話をするときがなくて、
あの時に言っておけばよかったなぁ…ってのも、何日前だろ。

もしかしたら、もうずっと言う事はないのかもしれない。
でも、まだわたしの中に浮かんだままで。




口が渇く。
脈が早まる。
お腹を壊す。
喋れない。


そのため息とか、その咳払いとか、その嫌な顔が、
全部わたしに対してのものだったらって考えるとクラクラする。
足音が聞こえると
『お前、いい加減にしろよ』
って怒鳴られるんじゃないかって、怖くて仕方がない。

二次災害（被害妄想）が酷すぎるから、普通に過ごせない。

そうやって、びくびくするから、その仕草がまた苛立たせるかも。

もうずっと、それの繰り返し。



でも、いつもは聞き流すほどの色んな人の普通の一言が、
ものすごく暖かく有り難く聞こえたりした。
きっと、わたし以外の世界中は普通に回っているんだろう。

夕方、仕事のメールの返信に、少し長い文章がついてた。
東京の本社の課長から。
なんてことはない、お天気の話と、
うちの工場が今少しだけ上向きだという事が書いてあった。

それを読んだ瞬間、世界が変わった気がした。
特に、わたし個人に対して言ってる事もなかったけど。
一瞬で、肩が軽くなった。今朝までとは比べ物にならないくらい。
キッカケって突然やってくる。


夜ご飯も、結構食べれた。



今回の事は、きっとわたしは悪くない。

わたしは、違う意味で言った。
相手が、誤解して受け取った。

そのシーンが何度も何度もフラッシュバック。
その時の何も知らない、見えもしないであろう自分の表情と、
もしかしたら、この僅かな間が怒った瞬間だったのかと思える相手の顔と、
今だったら理由がわかる、無言で出て行った後姿。

どうして、他の人を呼んで、わたしに対しての怒りをぶつけたの？


依存してるから苦しいだけ。
なかなか割り切る事が出来ないわたしは、
いつも必要以上に苦しむ事になる。
仕事では、余計な感情は捨てた方が上手くいくんだろう。
余計な望みも捨てなければいけないんだろう。

この一言で物凄く怒ったって事は、
今まで毎日嫌と思われながら話してたのかもしれない。

とか。
考え出すと、吐き気がした。
それに自分が気付いてないのが更に痛い。

好かれたいとか、嫌われたくないとか、そういうのが余計なんだ。
そういうのをいつも考えてるから、何かあったときにパニックになる。

そういうものだ。と思って、淡々と付き合っていくのが普通なんだろう。


できるかな。
難しいな。




窈ちゃん日和が続きそうです。。。




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