
一世を風靡したラジオ長寿番組、ジェットストリーム。
ご存知の方も多いかもしれない。
なにより、このオープニングはあまりにも有名。
1967年(昭和42年)7月3日に放送を開始し、現在も放送中・・・なのかな。
「なのかな」というのは、実はもう長い間ラジオの深夜放送は聴いていないので、現在の状況がよく分からないからだ。
この番組は、毎晩午前〇時からの放送。
初代パーソナリティは、城達也さん。
この城達也さんのオープニングナレーションが良くてねえ・・・。
私が一番ラジオ深夜放送を聴いていた時代は中学・高校時代だが、このジェットストリームの裏では大のお気に入りのラジオ番組があり、都合ジェットストリームは私のお気に入りのラジオ番組「あおい君と佐藤君」「たむたむたいむ」と放送時間がかぶっていた。
なので、このジェットストリームは、週に1回くらいオープニングナレーションだけ聴いて、それが終わると他局のチャンネルに切り替えたりしてた。
だから・・実はこのジェットストリームは、番組の最後までフルに聴いたことはほとんどなかった。
こんな私は、ジェットストリームのファンの資格はないであろう。
自分でもそう思っている。
だが、ジェットストリームのオープニングナレーションに限って言えば、間違いなくファンであった・・と言いたい。
天から降ってくるような、番組タイトル「ジェットストリーム」のコール。
BGMで流れる「ミスターロンリー」のメロディ。オーケストラ演奏が、心に優しい。
そして、何と言っても、読み上げられるポエム。これが素晴らしいの一言。
『 遠い地平線が消えて、
ふかぶかとした夜の闇に心を休める時、
はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は、
たゆみない宇宙の営みを告げています。
満天の星をいただく、
はてしない光の海をゆたかに流れゆく風に心を開けば、
きらめく星座の物語も聞こえてくる、夜の静寂の、
なんと饒舌なことでしょうか。
光と影の境に消えていったはるかな地平線も
瞼に浮かんでまいります。
日本航空があなたにお送りする音楽の定期便ジェットストリーム
皆様の夜間飛行のお供をするパイロットは
私、城達也です 』
これを聴いてると、私のイメージは、自分という存在が空を飛び、はるか雲海を越え、さらに上昇し、やがては成層圏にまで向かってしまうような気がした。
中学の頃などは、このナレーションを聴きながら眠りに落ちたことも多かった。
大きな癒し感と共に。
そう、眠りに落ちるのに最適なナレーションだった。
もともとこの番組を知ったのは、オープニングのBGMのせいだった。
テーマソングは前述の「ミスターロンリー」だが、ジェットストリームと同じバージョンの「ミスターロンリー」が、夕方のテレビの天気予報のBGMに使われてたことがあった。そう、フランク・プゥルセル・グランド・オーケストラの演奏によるインスト・バージョン。
花咲く野、遠望の山(それは富士山だったような気もしている)が画面に映し出される中、テロップで各地の天気予報図が出されていた。
私はその天気予報をボ~ッと見ながらも、BGMのあまりの良さに聴き惚れていたのだ。
画面には曲のタイトルなど出なかった。だから、何と言うタイトルの曲なのか、分からなかった。
しまいにはこの曲のメロディを覚え、周りの色んな人たちに「この曲、なんていう曲?」と聴き回っていたはず。メロディを口ずさみながら。
小学生のころだったと思う。
やがて、誰が教えてくれたかは覚えてないが、それは「ミスターロンリー」という名の曲であることが分かった。
で、しばらくそこで放置され。
私は中学に入った。英語を学び始めた。洋楽にも少しずつ興味が出始めた。
私がロックに興味を持ったのはビートルズがきっかけだが、私が初めて自分の小遣いで買った洋楽レコードは・・・「ミスターロンリー」のシングルだ。
私が買ったバージョンは、レターメンというコーラスグループのバージョンだった。
レターメンのバージョンの他には、ボビー・ヴィントンという歌手のバージョンもあったようで、むしろボビーのバージョンがオリジナルだ・・という話も聞いた。
だが、ボビーのバージョンは・・実は私はあまり好きになれなかったのだ。
コーラスが美しいレターメンのバージョンを買って、私的には大正解だったと思ってる。
歌入りのバージョンなら、歌詞を覚えて歌うこともできるし。
で、初めて自分で買った洋楽レコードだったので、大切に大切に、毎日なんども聴いた。歌詞も覚えた。
やがて学校で、歌うようになった・・・と思う。
すると、誰かが「それって、ラジオの深夜番組で、主題歌に使われてるよ」と・・・教えてくれたのではなかったろうか。
そのへん記憶は朧げだが、おおかたそんないきさつで「ジェットストリーム」を知ったのだろうと思う。
で、ジェットストリームを聴いてみたら・・・
確かに曲は「ミスターロンリー」に間違いないのだが、そのバージョンはオーケストラのインスト。
そう、それは・・・・小学生の頃、天気予報のバックで流れてた、私にとって一番馴染みの深いバージョンではないか!
「あ!これだ!」
しばし、感動。しかも、それをバックに語られるナレーションが、素晴らしいの一言。
名曲「ミスターロンリー」のメロディにまったくひけをとらない素晴らしさの言葉の数々。ロマンチックなポエム。
聴けば聴く程、引き込まれた。
なにより不思議だったのは、何度聴いても、飽きなかったということ。
あらかた言葉を自分でも覚えてしまっていても、城さんの声であのポエムを読まれると、トリップできた。
ああなると、あれはもうナレーションそのものが1曲の「歌」だった。
伴奏が「ミスターロンリー」という演奏で、語りそのものが「歌」だった。
あれから何十年。
城さんはもう鬼籍に入られた。
でも、あのフライトの「歌」は、いつまでも私の心の中で響いている。
ジェットストリームという名の「歌」は。
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