
「トーキング・トゥ・ザ・ムーン」。
歌うはイーグルスのドン・ヘンリー。
だが、この曲は、イーグルスの曲ではない。ヘンリーが、初のソロアルバム「アイ・キャント・スタンド・スティル」を発表した時に、レコードではA面のラストに入っていた曲である。
アルバムは全体的に重たい感じの印象があった覚えがある。その中で、私が一番好きだった曲が今回取り上げる「トーキング・トゥ・ザ・ムーン」である。
この曲はかなり気に入り、当時私が好きな曲を集めてカセットに入れた「オリジナルベストヒットソングテープ」を作る時、選曲した曲の一つ。
なので、当時車で旅行をした時、よくそのカセットを持ち歩いていたので、旅先の色んな場所でこの曲を聞くことになったものだった。
特に印象に残ってるのが、清里でドライブした時。
高地を走る道路は時にくねくねして、こう配を進み、時折高原電車の踏切で止まり、再度走りだし、遠くに山が見え、それを覆う空は広がり、道路のわきに電信柱みたいなものが見え・・・・そんな風景を見ながら流れてた「トーキング・トゥ・ザ・ムーン」は、格別だった記憶がある。
この曲の歌詞の持つ、風景・情景描写の良さもあいまって。
イーグルスの1曲として発表したとしても名曲になったであろう曲。
出だしやサビのメロディも好きだが、途中の展開部でのメロディの流れが叙情的で味わい深い。
特に、その途中の展開部分でのメロディの最後の部分でヘンリーが高い音程で歌いあげて、再びサビに戻る部分は圧巻だった。
イーグルスのコンサートでは、途中でメンバーのソロワークでの曲を取り上げるコーナー(?)があり、その中でヘンリーがこの曲を取り上げることを期待した私ではあったが、結局この曲がイーグルスコンサート途中のソロコーナーで取り上げられることはなかった。
まあ、ヘンリーはソロになってからも「ボーイズオブサマー」をはじめ名曲やヒット曲がけっこうあるので、「アルバムの中の1曲」的な扱いのこの曲が取り上げられないのは、仕方なかったかもしれない。
だが、ヘンリーのソロコンサートのDVD映像では、しっかりこの曲も選曲されていた。
しかも。
そのヘンリーのソロコンサートでは、この「トーキング・トゥ・ザ・ムーン」を歌い終わったヘンリーは客席に向かって「どうだい、泣ける曲だろ?」という主旨のセリフを言っていた個所があった。
ということは、ヘンリー本人にとっても、この曲はかなりお気に入りの曲で、しかも自信作でもあっただろう。
実際、素晴らしい。
シングルヒットした曲じゃなくても、これほどの名曲が収められていたりするから、やはり「アルバム」という媒体が私は好きだ。
シングルヒットした曲しか聴かないでいると、こんな隠れた名曲を知らずに終わる可能性もある。
この曲は・・・どちらかというと、個人的にはこじんまりとしたライブスペースで、しかもシンガーからさほど離れていない席で、アットホームな感じで、生で味わってみたい。
この曲を、そんな環境で聴けたら、どんなに素晴らしいだろう。
この曲からは私は大きなインスパイアを受けた。
その結果、無意識のうちに出来上がってしまった自作曲もあるぐらいだ。
ドン・ヘンリーの隠れた珠玉の名曲、「トーキング・トゥ・ザ・ムーン」。
決して派手な曲でなくても、歌詞が日本語でなくても、こんなに心に響いてくる曲がある。
もしも、イーグルス時代を含むドン・ヘンリーのベストソングコレクションを私が作ったら、絶対に欠かせない曲であり、外せない曲だ。
なんか・・・
周りを自然風景に恵まれた静かな町の夜、人通りのとだえた道で、風が吹き抜け、その風が道沿いの民家の窓やドアを、カタカタと揺らす・・・・・私はこの曲を聴くたびに、そんな風景がまぶたに浮かんでくるのだ。
そして、その風景のはるか上には、もちろん月が浮かび、雲に隠されることなく、その町を取り囲む自然風景、そして街そのもの、さらに、その町の民家を月あかりで照らしているのだ。
それを見ている人間は・・・もしかしたらその町では、その歌を綴っている人ひとりだけなのかもしれない。
ぴゅう・・と風が鳴り・・・
カタカタ・・・
カタカタ・・・・
http://www.youtube.com/watch?v=O2gfBzlBkM8
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます