前回、日本独自編集のビートルズデビューアルバム「ステレオ!これがビートルズ VOL,1」のことについて書いた記事を、このブログで投稿した。
今回は、それに続く日本独自編集のビートルズセカンドアルバムについて書いてみたい。
日本独自編集のビートルズのセカンドアルバムのタイトルは「ステレオ!これがビートルズ VOL.2」である。
原題は「With the beatles」であり、それは英国オリジナル盤と同じだ。
だが、日本独自編集なので、邦題が前述の通りにつけられており、英国オリジナル版とはジャケットも違えば、曲順も違う。ビートルズ来日を記念して編集、発売された特別盤だったのだろう。
私が買ったビートルズのセカンドアルバムは、この日本独自編集盤。
今となってはもう見かけないバージョンである。
少なくともこのバージョンのアルバムは、CD化はなされてないはずだと思う。
世界統一基準のビートルズセカンドアルバムはCD化はされていても。
日本盤は、ジャケットに帯がついており、なおかつ見開きのLPジャケットには数ページの写真集みたいなものもつけられていた。
このへんは、「ステレオ!これがビートルズ VOL,1」と同じだ。
邦題といい、帯や写真集といい、また帯に「来日記念盤」と書かれている点といい、ある意味今となっては貴重盤かもしれない。
帯に「来日記念盤」と書かれてはいても、私はビートルズをリアルタイム体験できた世代ではない。
私がこのアルバムを物色した時に、この来日記念盤がまだレコード屋に残っていたということだろう。
私が買った時にはすでにビートルズはとっくに解散してたにもかかわらず・・。
さて、ファンにとっては曲順がどう違うのか、興味があるのではないか。
そこで、今や世界基準となっているビートルズのセカンドアルバム「With the beatles」と、「ステレオ!これがビートルズ VOL,2」の収録曲順を比較してみたい。
まずは世界基準の「With the beatles」。
A面
1、 イット・ウォント・ビー・ロング
2、 オール・アイブ・ゴット・トゥ・ドゥ
3、 オール・マイ・ラビング
4、 ドント・バザー・ミー
5、 リトル・チャイルド
6、 ティル・ゼア・ウォズ・ユー
7、 プリーズ・ミズター・ポストマン
B面
1、 ロール・オーバー・ベートーベン
2、 ホールド・ミー・タイト
3、 ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー
4、 アイ・ワナ・ビー・ユア・マン
5、 デビル・イン・ハー・ハート
6、 ノット・ア・セカンド・タイム
7、 マネー
一方、日本独自編集の「ステレオ!これがビートルズ Vol.2」は
A面
1、 オール・マイ・ラビング
2、 プリーズ・ミスター・ポストマン
3、 ドント・バザー・ミー
4、 イット・ウォント・ビー・ロング
5、 オール・アイブ・ゴット・トゥ・ドゥ
6、 リトル・チャイルド
7、 ティル・ゼア・ウォズ・ユー
B面
1、 ロール・オーバー・ベートーベン
2、 マネー
3、 アイ・ワナ・ビー・ユア・マン
4、 ホールド・ミー・タイト
5、 デビル・イン・ハー・ハート
6、 ノット・ア・セカンド・タイム
7、 ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー
ご覧の通り、曲順は違うが、収録されている曲は同じ。
なので、どちらの盤を買っても、損得自体はない。
以前の記事でも書いたが、アルバムというものは、オープニング曲とエンディング曲にどういう曲が配置してあるかというのは大きな要素。
オープニングは「つかみ」だし、ラスト曲は「余韻」に繋がるから。
英国盤はオープニングが「イット・ウォント・ビー・ロング」で、日本盤のオープニングが「オール・マイ・ラビング」では、日本盤のほうがキャッチーかと思いがちだ。
が、実は「イット・ウォント・ビー・ロング」はシングル候補曲だったらしいことを考えれば、それが英国盤ではオープニングに配置されてたのはわかる気がする。
「イット」は結局シングルカットはされなかったようだが、コーラスが工夫されたアレンジの曲だし、キャッチーだし、これはこれでありだったと思う。
私自身、大好きな曲。
ジョンとポールのかけあいのボーカルが爽快な曲だ。
シングルカットしてたら、この曲もちゃんとチャートアクションをしたのではないか…と私個人的には思っているが、はてさて。
ただ、「オール・マイ・ラビング」は、その後ビートルスの有名曲として知名度がグングン上がり、今に至っている。
今現在も、ポールはこの曲をライブではよく取り上げているし。
結果的には、日本盤で「オール・マイ・ラビング」をオープニングにしたのは、それはそれで良い選択だったのかもしれない。
今現在、曲の一般的な知名度では「イット」より「オールマイ」のほうが上だしね。
私はこの日本盤でセカンドアルバムを持ってるので、セカンドは「オールマイ」で始まるというイメージが私の中で強い。
オープニングとして強力な曲だと思う。
ラスト曲に関しては、英国盤はジョンの歌う「マネー」で終わり、日本盤はカバー曲「ユーリアリー」で終わる。
ジョンは、アルバムの最後曲を自分が担当することに強いこだわりを持ってたように思えるが、それは英国盤のデビューアルバムとセカンドアルバムのラストを見ても、それは分かる。
「マネー」で終わると、ジョンのシャウトでアルバムがしめくくられる。そのへんは、デビューアルバムの英国盤が「ツイストアンドシャウト」で終わったのと同じだ。
一方「ユーリアリー」で終わる日本盤は、歌いあげるような曲でしめくくりになる。
どちらがいいかは、リスナーの好み次第だが、私自身の印象では、ラストが「ユーリアリー」だと、アルバムが終わる寂しさを、なぜか少し感じさせられたのを覚えている。
ファーストの日本盤では「PSアイラブユー」でしっとり終わったが、「PS」は彼らのオリジナルだし、彼らはこういう曲も作れるのだというアピールになっていたと思うし、納得。
一方、セカンドでは、カバー曲で終えるなら、個人的には「マネー」で元気に終わってくれたほうが良かったかな・・。
そうすることで、ファーストとセカンドの余韻の差別化もできたと思うしね。
どうも日本盤のほうが、デビューアルバムもセカンドアルバムも、おとなしめ…というか、しっとり系のラストになっていたように思う。
日本盤はラストで味わい深い曲を持ってくることで、ビートルズはロックンロールだけじゃなくて、味わい深いバンドなのだという余韻を残したかったのかもしれない。
余韻の残し方の方向性が国によって違っていたのかもしれない。
日本人に売るには、そういうほうがいい・・・と日本のレコード会社スタッフは判断したのかもしれない。
まあ、そのへんは私の個人的な憶測だけど。
一方、英国盤は、ラスト曲がジョンのロックンロール曲で終わることで、ビートルズはあくまでもロックンロールバンドなのだという姿勢を貫いたのだろう。
洋楽ミュージシャンのアルバムは、大昔は各国で独自に編集され、曲順やジャケットなどがそれぞれの国によって違っていたが、やがてアーティストの意向通りにアルバムは統一され世界基準として売られるようになっていった。
ビートルズも、「ハードデイズナイト」というアルバムからは、収録曲の順番は統一基準で英国オリジナル盤通りに発売されるようになったようだ。それは正解だよね。
まあ、ジャケットは変更されたりしたこともあったけど。
もしも、各国が独自にアルバムの曲順やジャケットなどを編集して発売する方法がずっと継続され、「サージェントペパーズ」「ホワイトアルバム」「アビーロード」などのアルバムも、それぞれの国によってジャケットも曲順も違っていたら、どうなっていたのだろう。
ちょっと想像したくない・・。
例えば「サージェントペパーズ」が「ラブリーリタ」で始まって「ミスターカイト」で終わるとか、「ホワイトアルバム」が「バースディ」で始まって「ハッピネスイズアウォームガン」で終わるとか、「アビーロード」が「オーダーリン」で始まって「アイウォントユー」で終わるとか・・・そうなったらだいぶアルバムの印象は変わるだろうね。
やはり世界基準で統一されて発売されるようになっていったのは、大歓迎だ。
もし、この日本編集盤のセカンドアルバムをビートルズのロックンロール系のオリジナル曲でラストを飾るなら、「リトル・チャイルド」という手もあったかもしれない。
なにせ「リトル・チャイルド」も最高にごきげんなオリジナル曲だと思うから。
さて、前回の「これがビートルズVOL.1」の記事では、この日本独自編集のセカンドアルバムのジャケットに関して詳しく紹介したが、今回の「VOL.2」の記事でも、このジャケットを詳しく紹介しておこう。
今となっては珍品アルバムかもしれないので。
まず表ジャケットに関しては、この記事のトップ写真がそうだ。
で、裏ジャケットは、こうなっている。
↓
さて、いよいよジャケットを開いていこう。
このアルバムは「VOL.1」同様に見開きジャケットになっており、さらに中身はちょっとした写真集になっているという豪華版。その点は「VOL.1」と同様のサービスぶり。
まず表ジャケットをめくると、こうだ。
↓
さらにページをめくっていくと。前作ファーストアルバムでは4人のひとりひとりの写真が掲載されていたが、このVOL.2では、4人揃った写真でまとめられている。
↓
下の写真の右ページには、よく見ると4人のサインが記されている。もちろん印刷だけどね(笑)。
これが印刷じゃなくて本物のサインだったら、大変なことになりそう。
↓
4人の写真集の後には、歌詞が丁寧に記されている。日本盤らしい、細やかな配慮(?)。
↓
そして内ジャケット最後のページは、こうだ。
よく見ると歌詞ページの中に、4人の似顔絵が描かれているのがわかる。
何気に芸が細かい(?)。
↓
こうして見ると、やはり日本独自編集の「日本盤」は、サービス度が高いのがわかる。
来日する(した)ビートルズを日本でも強力プッシュして売り出そうとしてたのがわかる。メーカーの熱意を感じる。
そして、ビートルズはその期待に十分以上に応えてくれた・・というわけだ。
こりゃ、マニアは欲しくなる人は多いのではないかなあ。
最後に、この日本独自編集のビートルズセカンドアルバムのラスト曲を紹介しておこう。
こちら ↓
You Really Got A Hold On Me (Remastered 2009)
「VOL.1」同様に、味わい深い曲をラストに配置している。
日本ではそういうほうが受けると判断したのかな、当時のスタッフは。
彼らの現役ベストアルバムだと認識している私にとって、大変嬉しい内容です。
日本盤は、海外盤より色々とサービス度が高いのは当時も現在も同じなんですね。
海外盤は、アルバム解説はおろか、歌詞カードさえも無い…。
ただCDがあるだけ。
やはり日本人のサービス精神と情緒感は、これからも大切にしていくべきですね。
ちなみに「イット・ウォン・ビー・ロング」は、
ビートルズ全曲オリジナルの中でも3つ指に入るほど、私も大好きですp(^-^)q
でも、ビートルズアルバムにはハズレはないので、これもまた良いアルバムだと思います。
そう、この日本盤は中々デラックスでしょう?
写真集もついてるし、歌詞も乗ってるし。
来日記念盤ということで、レコード会社も力が入っていたのだと思います。
イットウォントビーロング、私も大好きな曲です。
ジョンとポールのかけあいが痛快です。