天上天下唯我独尊

夢に生き、夢のように生きる人の世を
憐れと思へば、罪幸もなし・・・

四行詩集 ~無花果の実り~ 27

2008-02-19 08:25:45 | 「無花果の実り」
1.大人よりも子供の方が、子供よりも猿の方が、高い所に登るのは上手だ。
  君子よりも小人の方が、小人よりも奸人の方が、高い地位に昇るのが巧みだ。
  人は賢くなればなるほど、恐れと恥を知り、危険な場所に近づかないものだ。
  高くて滑り易い所にいるのに、恐れもせずに得意がるのは、子供か猿かだ。

2.自分の親が呉れない御菓子を、他人の家で貰った子供は、自分の親に逆らうようになる。
  自国の権力がくれない名誉を、他国から貰った学者や民は、自国を蔑むようになる。
  手元にお菓子があるからといって、勝手に他人の子供に与えてはならない。
  賞罰の権を犯すのは、侵略しているのと同様に見做される。

3.高い塔を築いても、賢い者は、決してその上で暮らそうとはしない。
  高い功を築いても、賢い者は、決してその上に位を得ようとはしない。
  地震のときには、高ければ高いほど揺れは激しくなるし、何といっても雷が怖い。
  目立つところで高ぶっていると、民からも神からも、命を狙われることになる。

4.手元で火力を調整できないような火気は危険すぎて扱えない。
  自分の才知や情熱を抑制できないような才子は、主人の家を焼くことになる。
  慎めよ、火花を散らすな、上の者を焦がすな。
  自分の効能と危険を正しく把握していてこそ、道具はいつまでも重宝される。

5.勝たねば意味がないなんて言うな、勝てばそれでよいということになる。
  勝てばそれでよいと言うなら、勝つためには何でもやるようになる。
  当選しなければ意味がないと言うなら、当選するためには何でもするようになる。
  当選するためには何でもするというなら、当選した後は何もしなくなる。
「彼らはこう言うのです。
『我らはこの舌で勝つことができる。
 我らの唇は我らのものだ。
 誰が、我らの支配者なのか』(詩篇12:4)」

6.天秤が無ければ、重りは何の役にも立たない。
  真理が無ければ、刑罰は寧ろ悪に悪を重ねることになる。
  毒には毒をの発想で、怪我人に怪我をさせる医者がいるか?
  悪を為したからといって、悪で報いるなら、さらに事態は悪くなる。

7.秤が正しく調整されているなら、誰が量っても同じはずだ。
  刑法が真理に基づいているなら、誰が裁いても同じはずだ。
  確かな秤があるなら、どうして重い軽いのと人が議論する必要があろうか。
  皆の前で同じのを用いるからといって、未調整の秤では公正な計量とはいえない。
「一体彼らは、無明時代の裁きを願っているのか。確かな信仰を持つ人々には、神より優れた裁判者はいない(コーラン5:50)」

8.好きになると、その人の全てが美しく見え、嫌いになると、すべてが醜く見える。
  崇拝すると、その人の全てが正しく見え、軽蔑すると、すべて間違っているように見える。
  人間は過誤を避け得ないから、崇拝してはならないし、崇拝されてもいけない。
  いくら崇拝しても、いくら崇拝されても、過誤は正しくならないし、人間は神にはなれない。
「なぜ私を『尊い』というのですか? 尊いお方は、神お一人のほか誰もありません(ルカ伝18:19)」

9.神を恐れる者は神以外のものは恐れない。
  権力であれ、暴力であれ、死であれ、悲しみであれ。
  神を恐れる者は、人間などいくら集まっても何もできないことを知っている。
  人間に何かができると思っているなら、いつまでたっても神を知ることはできない。

10.厳しい試験に合格して入学を許されたら、もう勉強しなくてよいわけではない。
  苦しい試練を抜けて神の国に入ったら、もう信仰しなくてよいわけではない。
  入学したら、もう後戻りはできない、遊んでいる暇などない。
  神に帰依を許されたら、命がけで信仰しないと蹴り飛ばされる。

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