1.どれだけの名医でも人体構造を改変することはできない。
どれだけの賢者でも国家原理を変革することはできない。
血液の流れが極端に早くなれば、心臓の負担は増え、寿命は縮まる。
流通を加速化すれば、国力は増大するが、国家の寿命を縮めていることになる。
「君、君は体育術について何一つわかっていないね。君の挙げるような人達はね、あれば、人々の召使いのようにかしずいて、その欲しがるものを用意してやるのが商売の連中なのだよ。それも、自分の扱うものについてちゃんとした立派な知識は何一つ持っているわけではないのだ。なるほど、そういう連中は、たまたま世の人々の身体に腹一杯詰め込んで太らせ、世人のお褒めに与るということもあるかもしれないけれども、結局は、人々が以前から持っていた肉付きまで失わせることになるのがおちだろう。しかも世人は、そういう人物たちが国を大ならしめたなどと言っている。他方、あの昔の政治家たちのために国は浮腫んで腫れ上がり、病が内攻して膿み腐っているという事実には世人は気がついていないのだ。あの昔の政治家たちは、節制や正義を顧慮することなしに、港湾だとか、船渠だとか、城壁だとか、貢租だとか、そういうった数々の愚にもつかぬもので国を腹いっぱいにしてしまったのだからね(プラトン/ゴルギアス518C)」
2.新鮮な血が十分に巡らなければ細胞は死んでしまう。
人や金が往来しなければ、地方はやがて滅んでしまう。
動脈を拡張すると、流れはよくなるが、毛細血管には血が巡らなくなる。
国道を広げると、流通は速やかになるが、市民は市道を通らなくなる。
「急ぎ去る現世を望む者には、我らが欲する者に、我らが欲するだけ急ぎ与える。その上で彼をゲヘナに指定してやれば、責められ追い落とされて、そこで身を焼かねばならない(コーラン17:18)」
3.心臓移植をしても、寿命が延びるわけではない。寧ろその手術が寿命を縮める。
遷都をしても、王朝の寿命が延びるわけではない。寧ろその出費が負担となる。
長生きしたければ、心臓に無理な負担をかけないことだ。
分封すれば、首都の負担は減り、しかも、地方の繁栄も図られる。
「何と多くの都市が、主と使徒の命令に背いたことであろう。そのため我らは、手厳しい清算できっぱり方をつけ、痛烈な懲罰を加えてやった。それらの都市は、その所業の報いを味わった。その結果は、一切の損失であった(コーラン65:8)」
4.健康な時、口うるさい医者は嫌われ、粋な料理人ばかりが持て囃される。
国に患いが無いとき、厳格な道徳家は煙たがられ、偽善者ばかりが持て囃される。
医者は笑顔を以て、料理人は脂肪を以て福徳とする。
道徳家は善人を以て、偽善者は富豪を以て、幸福とする。
「おお、どうか君、誤解の無いように願いたい。この僕とても彼らを国家の召使いとしてみる限り、決して非難するつもりはないのだ。現代の政治家たちに比べれば、彼らの持っていた召使いとしての腕前は一枚上であり、国家に対してその欲するところのものをよく提供する能力があったと僕は思う。しかしながら、肝心なのは、そういったいろいろの欲望の言いなりにならずに、その方向を向け変えて、国民がもっと優れた人間になるために必要な事柄の方へ、説得や強制によって導いてゆくということであった、この点に関しては、あの人達は現代の政治家と比べて、何ら卓越したところもないと言って差し支えないだろう。そのことこそ、優れた政治家たる者の果たすべきただ一つの仕事なのだからね。しかし軍船だとか城壁だとか、その他多くのこれに類するものを提供することにかけては、彼らが現代の政治家連中の及びもつかぬ手腕家であったことを、僕とても君に同意することに吝かではないつもりだ(プラトン/ゴルギアス517B)」
5.偽物ばかりが売られている市場では、本物が偽物のように扱われる。
偽善者ばかりが出回っている国家では、誠実真摯な道徳家に高慢・独善の札が貼られている。
本物は決して安売りしない。偽物はその値段が自分を語っている。
どっれだけ巧みな弁舌を振るっても、民衆を煽てて謙る者は間違いなく偽善者だ。
「その一方はたぶん一種のおべっかであり、俗耳受けを狙った醜い演説だということになるだろう。これに対して、国民が精神的にできるだけ向上するようにとはかって、自分の言葉が聴衆に快く響こうが、不快に聴こえようが、それにかかわりなく終始一貫、ただ最善の事柄を語ろうとすとめることの方は立派なものだろいうことになるだろう(プラトン/ゴルギアス503A)」
6.まともな医者なら、場合によっては薬も毒となり、毒が薬となることを知っている。
ちゃんと学んだ政治家なら、施しも害悪となり、圧制も薬となることを知っている。
福祉そのものを善としたり、圧制そのものを悪をするのは政治を知らない者だ。
必要なこと・適切なことが善であり、不要なこと・不適切なことがすべて悪だ。
「鄭の子産病有り。子太叔に謂ひて曰く、我死せば子必ず政を為さん。唯、有徳者のみ能く寛を以て民を服す。其の次は猛に如くはなし。夫れ火は烈し、民望みて之を怖る。故に此れに死すること少なし。水は惰弱、民侮りて之を弄ぶ。すなわち此れに死すること多し。故に寛は難し、と。子産卒す。太叔、政を為し、猛に忍びずして寛にす。鄭国掠盗多し。太叔之を悔いて曰く、吾早く夫子に従はば必ず此れに及ばざらん、と。孔子之を聞きて曰く、善き哉。政寛なればすなわち乱れる。乱れればすなわち猛に糺す。猛なればすなわち民傷はる。民傷はるればすなわち之に施すに寛を以てす。寛を以て猛を救ひ、猛以て寛を救ふ。寛猛相救ひ、政を以て和す。子産の卒するや、孔子之を聞きて涙出だす。曰く、古の遺愛也、と(春秋左氏伝)」
7.病人から依頼されれば、それで医者として認められる権威が生ずるわけではない。
国民から委任されれば、それで統治者として認められる権限が生ずるわけではない。
医者は、病人から依頼を受ける前に、医者としての資格を持っていなければならない。
資格のない者は、依頼を受けてはならないし、受けてもそれとは認められない。
「人は父の家で兄弟に取りすがって言う。
『お前にはまだ上着がある。
我等の指導者になり、この破滅の始末をしてくれ』と。
だが、その日には、彼も声を挙げる。
『私にも手当てはできない。
家にはパンも無ければ上着もない。
私を民の指導者にしてもだめだ』と(イザヤ書3:6)」
8.医者を試みるのは医者であって、患者ではない。
政治家を試すのは政治家であって、国民ではない。
正しい医者たちは、別々にして問い質しても迷わず同じ見解を示す。
偽物の医者たちは一緒に居ても、日替わりで違う意見を並べる。
「医某、秦の武王に見ゆ。武王之に病を示す。医某除かんと請ふ。左右曰く、君の病は耳の前、目の下に在り。之を除くとも、未だ必ずしも癒えじ。将に耳をして聡ならず、目をして明ならざらしめんとす、と。王以て医某に告ぐ。医某怒りて其の石を投じて曰く、君、之を知る者と之を謀りて、知らざる者と之を敗る。此をして秦国の政を司らしめば、すなわち君一挙にして国を亡ぼさん、と(戦国策/第3巻)」
9.医術を公開してはならない。素人が商売を始めて、巷には不具者が溢れてしまうから。
治術を公開してはならない。偽善者がのさばって国家は病み衰えてしまうから。
医者になるには、莫大な金と時間と努力を注いで、資格を得なければならない。
顔や名前が売れていれば政治家になれるなんて、恐ろしい限りだ。
「彼らに、『地上で悪いことばかりするな』といえば、『我々は世の中をよくしようとしているだけだ』などと言う。おお、彼らこそ世に害毒を流す者共だ。しかも自分ではそのことに気づいていない(コーラン2:11)」
10.医者とは、美味しい物を食べさせてくれる人だと思われたら、もう治療はできない。
薬は本来苦いもの、手術は本来痛いもの、医者は本来叱りつけるものだから。
為政者とは、福利を与えてくれる優しい人だと思われたら、もう政治はできない。
政治は本来国民から金をとって、しかも刑罰を与え、踏みつけ抑えておくものだから。
どれだけの賢者でも国家原理を変革することはできない。
血液の流れが極端に早くなれば、心臓の負担は増え、寿命は縮まる。
流通を加速化すれば、国力は増大するが、国家の寿命を縮めていることになる。
「君、君は体育術について何一つわかっていないね。君の挙げるような人達はね、あれば、人々の召使いのようにかしずいて、その欲しがるものを用意してやるのが商売の連中なのだよ。それも、自分の扱うものについてちゃんとした立派な知識は何一つ持っているわけではないのだ。なるほど、そういう連中は、たまたま世の人々の身体に腹一杯詰め込んで太らせ、世人のお褒めに与るということもあるかもしれないけれども、結局は、人々が以前から持っていた肉付きまで失わせることになるのがおちだろう。しかも世人は、そういう人物たちが国を大ならしめたなどと言っている。他方、あの昔の政治家たちのために国は浮腫んで腫れ上がり、病が内攻して膿み腐っているという事実には世人は気がついていないのだ。あの昔の政治家たちは、節制や正義を顧慮することなしに、港湾だとか、船渠だとか、城壁だとか、貢租だとか、そういうった数々の愚にもつかぬもので国を腹いっぱいにしてしまったのだからね(プラトン/ゴルギアス518C)」
2.新鮮な血が十分に巡らなければ細胞は死んでしまう。
人や金が往来しなければ、地方はやがて滅んでしまう。
動脈を拡張すると、流れはよくなるが、毛細血管には血が巡らなくなる。
国道を広げると、流通は速やかになるが、市民は市道を通らなくなる。
「急ぎ去る現世を望む者には、我らが欲する者に、我らが欲するだけ急ぎ与える。その上で彼をゲヘナに指定してやれば、責められ追い落とされて、そこで身を焼かねばならない(コーラン17:18)」
3.心臓移植をしても、寿命が延びるわけではない。寧ろその手術が寿命を縮める。
遷都をしても、王朝の寿命が延びるわけではない。寧ろその出費が負担となる。
長生きしたければ、心臓に無理な負担をかけないことだ。
分封すれば、首都の負担は減り、しかも、地方の繁栄も図られる。
「何と多くの都市が、主と使徒の命令に背いたことであろう。そのため我らは、手厳しい清算できっぱり方をつけ、痛烈な懲罰を加えてやった。それらの都市は、その所業の報いを味わった。その結果は、一切の損失であった(コーラン65:8)」
4.健康な時、口うるさい医者は嫌われ、粋な料理人ばかりが持て囃される。
国に患いが無いとき、厳格な道徳家は煙たがられ、偽善者ばかりが持て囃される。
医者は笑顔を以て、料理人は脂肪を以て福徳とする。
道徳家は善人を以て、偽善者は富豪を以て、幸福とする。
「おお、どうか君、誤解の無いように願いたい。この僕とても彼らを国家の召使いとしてみる限り、決して非難するつもりはないのだ。現代の政治家たちに比べれば、彼らの持っていた召使いとしての腕前は一枚上であり、国家に対してその欲するところのものをよく提供する能力があったと僕は思う。しかしながら、肝心なのは、そういったいろいろの欲望の言いなりにならずに、その方向を向け変えて、国民がもっと優れた人間になるために必要な事柄の方へ、説得や強制によって導いてゆくということであった、この点に関しては、あの人達は現代の政治家と比べて、何ら卓越したところもないと言って差し支えないだろう。そのことこそ、優れた政治家たる者の果たすべきただ一つの仕事なのだからね。しかし軍船だとか城壁だとか、その他多くのこれに類するものを提供することにかけては、彼らが現代の政治家連中の及びもつかぬ手腕家であったことを、僕とても君に同意することに吝かではないつもりだ(プラトン/ゴルギアス517B)」
5.偽物ばかりが売られている市場では、本物が偽物のように扱われる。
偽善者ばかりが出回っている国家では、誠実真摯な道徳家に高慢・独善の札が貼られている。
本物は決して安売りしない。偽物はその値段が自分を語っている。
どっれだけ巧みな弁舌を振るっても、民衆を煽てて謙る者は間違いなく偽善者だ。
「その一方はたぶん一種のおべっかであり、俗耳受けを狙った醜い演説だということになるだろう。これに対して、国民が精神的にできるだけ向上するようにとはかって、自分の言葉が聴衆に快く響こうが、不快に聴こえようが、それにかかわりなく終始一貫、ただ最善の事柄を語ろうとすとめることの方は立派なものだろいうことになるだろう(プラトン/ゴルギアス503A)」
6.まともな医者なら、場合によっては薬も毒となり、毒が薬となることを知っている。
ちゃんと学んだ政治家なら、施しも害悪となり、圧制も薬となることを知っている。
福祉そのものを善としたり、圧制そのものを悪をするのは政治を知らない者だ。
必要なこと・適切なことが善であり、不要なこと・不適切なことがすべて悪だ。
「鄭の子産病有り。子太叔に謂ひて曰く、我死せば子必ず政を為さん。唯、有徳者のみ能く寛を以て民を服す。其の次は猛に如くはなし。夫れ火は烈し、民望みて之を怖る。故に此れに死すること少なし。水は惰弱、民侮りて之を弄ぶ。すなわち此れに死すること多し。故に寛は難し、と。子産卒す。太叔、政を為し、猛に忍びずして寛にす。鄭国掠盗多し。太叔之を悔いて曰く、吾早く夫子に従はば必ず此れに及ばざらん、と。孔子之を聞きて曰く、善き哉。政寛なればすなわち乱れる。乱れればすなわち猛に糺す。猛なればすなわち民傷はる。民傷はるればすなわち之に施すに寛を以てす。寛を以て猛を救ひ、猛以て寛を救ふ。寛猛相救ひ、政を以て和す。子産の卒するや、孔子之を聞きて涙出だす。曰く、古の遺愛也、と(春秋左氏伝)」
7.病人から依頼されれば、それで医者として認められる権威が生ずるわけではない。
国民から委任されれば、それで統治者として認められる権限が生ずるわけではない。
医者は、病人から依頼を受ける前に、医者としての資格を持っていなければならない。
資格のない者は、依頼を受けてはならないし、受けてもそれとは認められない。
「人は父の家で兄弟に取りすがって言う。
『お前にはまだ上着がある。
我等の指導者になり、この破滅の始末をしてくれ』と。
だが、その日には、彼も声を挙げる。
『私にも手当てはできない。
家にはパンも無ければ上着もない。
私を民の指導者にしてもだめだ』と(イザヤ書3:6)」
8.医者を試みるのは医者であって、患者ではない。
政治家を試すのは政治家であって、国民ではない。
正しい医者たちは、別々にして問い質しても迷わず同じ見解を示す。
偽物の医者たちは一緒に居ても、日替わりで違う意見を並べる。
「医某、秦の武王に見ゆ。武王之に病を示す。医某除かんと請ふ。左右曰く、君の病は耳の前、目の下に在り。之を除くとも、未だ必ずしも癒えじ。将に耳をして聡ならず、目をして明ならざらしめんとす、と。王以て医某に告ぐ。医某怒りて其の石を投じて曰く、君、之を知る者と之を謀りて、知らざる者と之を敗る。此をして秦国の政を司らしめば、すなわち君一挙にして国を亡ぼさん、と(戦国策/第3巻)」
9.医術を公開してはならない。素人が商売を始めて、巷には不具者が溢れてしまうから。
治術を公開してはならない。偽善者がのさばって国家は病み衰えてしまうから。
医者になるには、莫大な金と時間と努力を注いで、資格を得なければならない。
顔や名前が売れていれば政治家になれるなんて、恐ろしい限りだ。
「彼らに、『地上で悪いことばかりするな』といえば、『我々は世の中をよくしようとしているだけだ』などと言う。おお、彼らこそ世に害毒を流す者共だ。しかも自分ではそのことに気づいていない(コーラン2:11)」
10.医者とは、美味しい物を食べさせてくれる人だと思われたら、もう治療はできない。
薬は本来苦いもの、手術は本来痛いもの、医者は本来叱りつけるものだから。
為政者とは、福利を与えてくれる優しい人だと思われたら、もう政治はできない。
政治は本来国民から金をとって、しかも刑罰を与え、踏みつけ抑えておくものだから。