天上天下唯我独尊

夢に生き、夢のように生きる人の世を
憐れと思へば、罪幸もなし・・・

四行詩集 ~無花果の実り~ 14

2008-02-11 11:06:05 | 「無花果の実り」
1.身体を鍛えるのは、喧嘩に勝たんがためとは限らない。健康のためにするのだ。
  国防力を増強するのは、戦争の備えとは限らない。国を引き締めるためにするのだ。
  争いがないからといって体を鍛えずにおくと、ちょっとした風邪で寝込むことになる。
  戦争をしないと言って怠けていると、戦争より悲惨な破滅を迎えることになる。
「先づ国を堅くし軍を治むるには、其の国の地民を良くするに如くは無し。近くは権現様三州にして、武威を揮ひ給ひて終に天下に知らせ給ふ。尤も明将たりと雖も、三州より起こり給はずば難かるべし。三州の地民、常に理直にして心勇也。権現様其の理直を失はず、其の勇を育て給ふ。士は日本国中さのみ変はりは無き者也。唯地民の善し悪しによって、平生も治まり軍も利有るべし。然るに今我が国の地民、不理直にして心気弱くなり、是れ常に治まり難くして軍に利有り難き第一の嘆き也。然れども和する時は、柔能く剛を制するの理あるなれば、国民よく士を敬愛して其の理に先立たん事を願ふ。愛する所には必ず勇有り、我が子を捨て臆病になる者は無し。是れすなわち平生の政也。軍と常と二つ有るべからず。先づ諸士を潔くして、民の心に感化せしむべし。慈愛伸べて民の心を服すべし。然るに今国中の民ども士官を見るべきには、欲心深き事也。恥も知らず無道心なる事也。人に非ずと思ふなるべし。民の心の師に奉るべき士官が此の如くして何を以てか国俗を良くせんや。其の品挙げて数へ難し。畢竟汚れ無き欲心、慳貪・邪見なる心より起こる事也(池田光政日記)」

2.肩凝りや腰痛は按摩で癒せるが、癌は切らなきゃ治らない。
  不満や敵意は対話で解消できるが、堕落や腐敗は取り締まらねば転移する。
  何でも按摩で解決できると思っていると、容態を悪化させて手遅れになる。
  かといって、何にでもメスを入れるなら、無用な血を流すことになる。

3.良く筋肉を撫でて揉んでやれば、過酷な労働にも結構耐えられるものだ。
  官も民もよく慰撫して労わってやれば、国家は苦難にも耐えられるものだ。
  筋肉はよくほぐさないと、次の日に凄まじい痛みを訴えてくる。
  官民を酷使した後は、警戒しないと、大変な怒りに見舞われる。
「禍を閉づるは怨みを除くに在りとは、怨み有りてすなわち除くに非ず。事とする所の地、常に怨み無き也。凡そ禍乱の生ずる所は、怨咎より生ず。怨咎の生ずる所は、理非より生ず。是を以て、明君の衆を治むるや、必ず経有り、之を使ふに必ず道有り、施報は必ず当たり、言を出せば必ず得、刑罰は必ず理まる。斯くの如くんば、すなわち衆に鬱怨の心無く、遺恨の意無し。斯くの如くんば、すなわち禍乱生ぜず、上の位危うからず。故に曰く、禍を閉づるは怨みを除くに在り、と(管子/第66章)」

4.皮膚が腫れたからといって、掻き毟れば、そこから傷がひどくなる。
  民衆が騒ぐからといって、武力で弾圧すれば、騒ぎはさらに大きくなる。
  叩けば腫れるにきまってる。武力行使すれば、抵抗するに決ってる。
  赤く腫れ上がったところは、切ることなく、優しく冷やすか薬を塗るかで対処せよ。
「圧迫された者が自分を守るためにしたことを責める術はない。しかし、地上で不正を働き、不当な圧迫を加えた者には、責めるべき方法がある。彼らには厳罰が用意されている(コーラン42:41)」

5.膿んで爛れた患部は最初から膿んでいたわけではない。健康な細胞が毒されたのだ。
  過激派は最初から過激派だったわけではない。善良な市民が怒りで武器を手にするのだ。
  本当の医者は、癌は手早く切除するが、膿み爛れた所は根気よく癒していくものだ。
  表面の患部だけ刃物で穿って、内部の癌は切らないという者は、医者とは言えない。
「神の敵が、業火のところへ列を組んで集められる日、業火の所へ着くと、彼らの耳や目や皮膚は、彼らのやってきたことを証言する。彼らは自分たちの皮膚に向かって、『なぜ、我々に都合の悪いことばかり証言するのか』と言う。皮膚は言った、『万物に御言葉を授け給うた神が、我々に語らせ給うのです。神は、最初にあなたがたを創造された。神にこそあなたがたは帰されるのです。あなたがたは、耳や目や皮膚があなたがたに背く証言することから身を隠すことはできない。やったことの大部分は神にはわからないだろう、などと思っていたのでしょう。あなたがたが、主に対してそのような考えを抱いていたそのことが、結局あなた方を破滅に陥れたのです。とうとう損失者になったのです(コーラン41:19)」

6.他人の体に突如激しい暴行を加えて、腫れ上がらせたり傷口を化膿させたりした上で
  癌の治療と称してそれを切り取り、料金を請求するのは、白衣を着た悪魔の仕業だ。
  他国を侵略して市民を虐待した癖に、それを恨んで報復する者をテロリストと呼び
  治安回復の名目で残らず抹殺しようとするのは、「憎むべき荒廃を齎す者」の仕業だ。
「我らのしるしを信じない者は、今に火に投げ込んでやる。皮膚が焼け爛れる度に、我らは何度でも皮膚を取り替えて、彼らに懲罰を味わわせてやろう。まことに神は威力あり、聡明であらせられる(コーラン4:56)」

7.年を取ると背骨が曲がる。滅亡が近づくと国は倫理が曲がってくる。
  背筋が曲がると、足元の塵や石ころしか見えなくなる。
  倫理が曲がると、目先の利益や快楽しか見えなくなる。
  足元ばかり見ていると、背筋が曲がってきて、ぶつかったり迷子になる恐れがある。

8.脊椎を損傷すると、歩くことができなくなるし、脳にも障害を受ける。
  倫理観を損ねると、もうまともに考えることもできなくなる。
  背筋を真っ直ぐにしていられないのは蛇と猿だ。
  倫理の曲がった奴らは姦悪で、恥ずべきことも恥としない。
「彼らが何か恥ずべきことを行うときには、こう言う、『我々の先祖もそうしたのを知っている。神がそのように命じ給うたのである』。言ってやれ、『神が恥ずべき行為など命じ給うことはない。お前達は自分の知らないことを、神に対して言い立てるのか』。言ってやれ、『神は正義を命じ給うたのである』。お前たちは如何なる礼拝の場でも神に顔を向け、誠心誠意、神にお祈りせよ。神がお前たちを造り給うたように、いずれお前たちは御許に帰ってゆく(コーラン7:28)」

9.人が老いれば、新陳代謝が低下する。国が衰えれば出生率が低下する。
  化粧をすれば、老化は誤魔化すことはできるが、寿命を延ばすことはできない。
  手当を施せば、ある程度出生率は回復するが、迫り来る滅亡を避けることはできない。
  厚化粧が肌を痛めるのだ。厚い手当てこそが、国家の生命力を衰えさせるのだ。

10.化粧は、肌を美しく見せることはできるが、健康にすることはできない。
  手当は、民生を豊かにみせることはできるが、正常にすることはできない。
  健康で美しい皮膚は、厚化粧によってではなく、節度ある食生活と運動によって得られる。
  幸福な国民生活は、社会保障ではなく、敬虔な信仰と奉仕活動によって得られる。

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