FIFAワールドカップの本大会、それに大陸予選に出場してプレーしたせいで、所属クラブに戻ってからはパフォーマンスが振るわなくなった――そういう例って結構、あるんでしょうかね?
ワールドカップじゃないけど、例えば五輪予選で大ケガを負った小野伸二のように、試合中に負傷して、それで暫くの間、故障者リスト入りっていうのは珍しくないんだけども、そうじゃなくて「燃え尽き症候群」という感じで、すっかり冴えがなくなってしまったという例はあるのかなぁと。
アルビレックス新潟レディースが日テレベレーザとスコアレスドローを演じた4月26日。
それとこの前の日曜日、つまり24日に明治神宮野球場に脚を運び、東京ヤクルトのゲームを観戦したんですが、どっちも悔しいことにスワローズの敗戦試合。
両ゲームとも、敗因は1つじゃなくて複数あるんだけど、そのひとつが青木宣親の大不振。
青木選手は、プロ入り2季目の2005シーズンに大ブレイク。
首位打者を獲得し、イチローがオリックスブルーウェーブ在籍時代に打ち立てたシーズン210本安打に次ぐ、202本安打。
2007シーズンには、2度目の首位打者タイトルを獲得。
守備も上手くて、彼は外野手なんだけど、守りの得意な選手に贈られるゴールデングラブ賞を、ここ3シーズン受賞しているという、いわば守りも攻めも高レベルにあるプレイヤーです。
だから、3月に行われた第2回ワールドベースボールクラシックの日本代表メンバーの一員にも選ばれて、攻守に大活躍して大会連覇の立役者の一人となった次第。
最後の〝美味しい〟ところは、鈴木一朗に持っていかれたけども、野手の中で最大の働きをしたのが青木宣親だというのが、解説者や記者の大方の評価。
ところが!
そんな青木が、前述のように、大不振。
吾輩が観戦した2試合に限定した、〝たまたま〟の事象じゃなくて、今季ここまでずっと不調。
青木にとって、打率3割越えは当然のことなのに、ここまでの打率は2割3分台。
最低でも30%のヒット確率があった男が、23%というのは……
まあ、それにしてもヒド過ぎました、青木のバッティング。
ヒットを放つ匂い、というものがまったく感じられず。
それでも帳尻併せの如く、2つの試合とも1本ずつ、ヒットは打ったんだけどね。
5月24日の試合のヒットは、バントヒット。
それも相手の意表を突いた、まさかのバント。
バントが悪い、というわけじゃないけども、そうでもしないとチャンスメイクが果たせない、というような性質のものでしたからね。
WBCの開催前、そして閉幕後に、大会に参加した選手たちに『後遺症』の不安があるという趣旨の週刊誌記事、新聞記事を読んだけども、青木の不振はその後遺症のせいなのか?
第1回の時は、千葉ロッテのメンバーに後遺症が多発して、マリーンズの成績は悪化したんだけどね。
ただ、讀賣ジャイアンツの小笠原選手、彼もWBCメンバーながら、不振は縁遠い存在で目下、打撃成績は良いです。
まあね、尤もWBCでの小笠原はお世辞にも、目を見張るような活躍はしていないんだけども。
田中将大投手は、WBCでそんなに投げなかったおかげか、昨日まで7連勝。
全員須らくじゃないのを見ると、青木のWBC後遺症は、ひょっとしたら回避できたのだろうか?
でも、その〝処方箋〟は見当がつかないんだけど。
さてさてサッカーの場合はどうなんでしょう?
“この大会を以って、代表を引退する”ってケースはあります。
或いは、ジダンや中田英のように、サッカー選手そのものを辞める場合もあります。でも大抵は、大会前に心に決めたこと。
おそらく“この大会で完全燃焼する”という気概の下に、試合に臨むのでしょう。
けど、W杯が終わって、すっかり劣化してしまったというのはあるのかねえ?
城がフランスから、柳沢がドイツから帰国してからというもの、芳しくなかったのは、一種の後遺症だったんだろうか。
まあ、彼らの場合は「戦犯」ということが心に重くのしかかり、パフォーマンスの低下を招いたようなものなんだけど。
実は、3月からの心配は、矢野貴章が「戦犯」になりやしないか、ということ。
“岡田さんよ、うちのキショー、出せや”
と切望する反面
“もし出場して、絶好の得点機を逸して、それで戦犯になったらどうする?だったら、このままベンチに居た方が”
という弱気な考えも同時に、脳裏に浮かんでんすよね。
「QBK」と揶揄したけど、2006年6月時のアントラーズサポって、どれほど居た堪れない気持ちでいたんだろう?
そして万が一にも矢野が精神的な打撃を受けてしまったら……と心配で。
スワローズの青木もそうだけど、代表に選ばれることは、応援者にとっては誇らしいし、喜ばしいことだけど、同時に危険とも隣り合わせ、という面もあるんだよね。
取り敢えずは、青木宣親が、本来のプレー水準を取り戻せますように