昨シーズンの全国社会人サッカー選手権大会は新潟県の下越地域で催されて、決勝戦は北信越ブロック代表のAC長野パルセイロと、東北ブロック代表のNECトーキン、この2チームで争われました。
弊ブログをご覧になっている方で、このファイナルを、東北電力ビッグスワンスタジアムで観戦された人もいらっしゃることでしょうね。
さて、全社で決勝戦に残ったチームは、11月末から12月初旬に掛けて実施される「全国地域サッカーリーグ決勝大会」なるものへの出場資格を得られます。
地域リーグ決勝大会とは、「日本フットボールリーグ」即ち「JFL」に昇格できるかどうかを問われる【関門】。
JFLとは、意味合い的には『Jリーグ3部』のような存在―
JFLへ昇格を果たすためには、地域リーグ決勝大会で上位に入賞しなくてはならない―
地域リーグ決勝大会とは、そういう全てを懸けた舞台です。
ここで時計は、昨年の11月初旬に戻ります。
全国社会人大会で2位となったNECトーキンは、平成20年11月22日から開幕する地域リーグ決勝大会への資格を得ました。
しかし、時は、米国発の金融危機で日本企業の業績が一気に悪化し、「派遣切り」「雇い止め」等々、解雇の嵐が吹き荒れ始めた頃。
中でも、外需頼みの自動車産業、家電・電機産業は、惨憺たる有り様。
スポーツ界にも、大不況の大嵐が襲撃。
アイスホッケーの西武を筆頭に、休部・廃部を発表するスポーツチームが続出します。
そして、NECトーキンもそうした中の一つとなってしまいました。
やるせないかな、NECトーキンは、全社への参加を以って、活動を停止。
地域リーグ決勝大会への参加を辞退し、かくしてJFL昇格への道が、景気のために閉ざされてしまった……と。
企業としてのNECトーキンは、債務超過に陥ってしまったため、株式の上場を廃止してNECの100%完全子会社となりました。
そして大規模な人員整理、工場の整理統合を実行することに。
企業本体が悲惨な事態なのに、〝福利厚生〟のサッカー部が活動を続けられるわけはありませんもんな。
かくして、東北のアマチュアサッカーで新興勢力として台頭した同部は、消滅したんです―
が
NECトーキンサッカー部、
復活してんだわ!!!
「NEC TOKIN FC」というチーム名に、マイナーチェンジして活動再開!!
このチームの公式ホームページを隅々まで読んだところ、1月にチーム始動。
佐藤健一代表の挨拶文に
<昨年末、突然の休部宣言でサッカー関係者並びに多くのサッカーファンに多大なご迷惑をお掛けし、大変申し訳御座いませんでした。
この度、クラブチーム「NECトーキンFC」として活動をして参ります。
選手一同一丸となりJFL昇格目指し精進していく覚悟です。>
とあります。
企業傘下のチームから、クラブチームへと衣替えしての再出発です。
アメリカンフットボールのオンワードもまた廃部となりながら、「相模原RISE」というクラブチームとして再スタートを切ったけども、こういうパターンは実は少数派。
大抵は、〝身請け先〟が見つからずに廃部となり、所属選手たちは引退するか、バラバラになってよそのチームに移籍するか。
アルビレックス新潟レディースに入団した大石と佐伯は後者ですもんね。
よくぞ「NEC TOKIN」として、復活できたもんです。
だけど、非常に非常に気になるのは、チーム名に「NEC」が入っていること。
これでは、企業チームのような印象を受けるんだけど、実態はクラブチーム。
何故に、NECという冠が??
スポンサー?とも想像したけど、ホームページには、そういう宣伝臭は感じられない。
第一、NEC本体でさえ男子バレーボール部を廃部にするってのに、地域リーグのチームの〝タニマチ〟をする余裕があるのか?
このチーム名のところだけ、よく理解りません。
でもまあ、復活できて良かった、良かった。
きっと、昼間は仕事かアルバイト、夕方から夜に練習、というルーティンなんだろうけど、サッカーが出来てなにより!!
そして、東北社会人リーグでは「1部」で戦えていますよ。
こういう場合、〝普通は〟2部リーグ、或いは県リーグからリスタートというケースなのに!。
なんという寛大な処置。
ちなみに、第4節を終えて、3勝1敗、勝ち点は12の第3位。