自宅近くの里山を訪ねると、アザミの花が新鮮な花をつけていた。

新鮮なアザミの花
道端の湿った場所や花にはアオスジアゲハが集まり、吸水したり蜜を吸ったり忙しく行動していた。

吸水するアオスジアゲハ


花の蜜を吸うアオスジアゲハ
山道を車で走っていると、路上に黒い虫影が見えた。急いで車を止め近づいてみると、スミナガシが一心不乱に虫かミミズの死骸で吸汁している。


虫の死骸で吸汁するスミナガシ
よく見るとスミナガシの下にもう一匹チョウがいた。

スミナガシの下から現れたコチャバネセセリ
コチャバネセセリのようである。だんだん全身を現し、どこかへ飛んで行った。



満足して飛び去ったコチャバネセセリ
残ったスミナガシはしばらく吸汁していたが、杉の枯葉の所に場所を変えた。


日の当たる杉の枯葉に覆われた場所に移動したスミナガシ

移動したスミナガシ、此処にもコチャバネセセリがいた

日の光を浴びて翅の模様、色合いに加え赤い口吻がはっきりと見えた。
これを見て小学生時代を思い出した。昆虫採集を始めたその夏、網をもって走り回っていた私は、偶然、このチョウと出会った。素早く飛び回るチョウを必死で追いかけ、やっとの思いで捕まえたチョウがスミナガシであった。そのチョウは、南国の夏の強い光を浴びて鮮やかに輝いていた。捕まえた時には、もちろん名前も分からない。家に帰って図鑑を見てスミナガシであることを知った。その新鮮な黒い色はいまだに忘れられない。以来ずっと心の片隅にあったが、長い間出会うことができなかった。50年ほどもたって石川で生活するようになって、子供の時のように自然の中を探索するようになって、スミナガシが石川にもいることを知った。

石川のスミナガシ
石川での食樹はミヤマハハソであり、スミナガシは、どちらかといえばやや薄暗い谷合にいることが多い。年2回発生し、1回目は5月上旬、2回目は7月終わりころであり蛹で越冬する。数年前になるが、孵化、羽化の様子を動画で撮影したことがあり、それなりに満足しているが、自然の中で出会うと一層胸が高鳴る。能美の里山にも夏が来た。