今でもベートーヴェンはよく聞きます。しかし、その時は尋常ではなかったし、聞くポイントも今とは違うと思います。
ベートーヴェンのソナタは、小学生の時にクラスの友達がエミール・ギレリスの6曲のCDを貸してくれた時に初めて聞きました。いわゆる◯大ソナタというやつです。あれはナンセンスだし、今は見かけなくなりました。最初から32大ソナタというふうに発売すれば良いものを、と後々思ったのですが、まあその時は6大ソナタだったわけです。悲愴、月光、熱情、テンペスト、ヴァルトシュタイン、告別だったと思います。最初は悲愴ソナタにはまりました。
熱情ソナタとか、小学生にはよく分からなかったのです。そして今聞いても、ギレリスの1楽章はなんか遅〜いので、たぶん飽きます。Allegr assai なのに、あれじゃ緩徐楽章です。
当時は、YouTubeもネット配信も無かったので、というかそもそもインターネットなんて使ってなかったので、CDを買うか図書館等で借りるしか方法がありませんでした。小学生や中学生なんて、1枚買ったらそれをひたすら聞き続けるしかないわけです。我が家は、誰もクラシックなんぞ聞く者はいませんでしたので、自分の乏しい小遣いで買っていたわけです。
自分で最初に買ったベートーヴェンは、近所のゲームとVHSの専門店の片隅にあったCDコーナーの、そのまた片隅にあったクラシックコーナーにあったCDでした。
なぜか、そこにあったのはホロヴィッツの悲愴、月光、熱情でした。3大ソナタ。一枚しか売ってなかったベートーヴェンのソナタのCDがそれなの?と今なら思うところですが(むしろツッコミ)、その時はそれしかなかったので、とりあえず買ったのです。ピアニストなんて意識したことなかったし。サンソン・フランソワだけは知っていました。
ホロヴィッツとの最初の出会いは、まさかのベートーヴェン。ショパンでもスクリャービンでも、ラフマニノフでもありませんでした。
しかし、今でもホロヴィッツの古典のソナタは結構好きです。ハイドン、モーツァルト、クレメンティなど。モーツァルトはちょっと変わってるのかもしれませんが、モーツァルトが伝記の中の人物ではなく、血の通った人間であったことを感じます。
まあ、そんなわけで、今でもホロヴィッツのベートーヴェンも好きです。
ホロヴィッツのベートーヴェンを何度も聞き、聞きすぎてCDがダメになって買いかえました。
で、ホロヴィッツにも興味をもつようになり、中学1年のときに「ホロヴィッツの夕べ」という本を見つけて読みました。誤訳かなという部分も結構ありますが(ソフロニツキーが、ソフロンティスキーという謎の人物になっているなど)、ホロヴィッツだけでなく、様々なピアニストや人物についての描写や意見があるので、大変面白く読んだ記憶があります。そこに出てくる録音や本を探してみたりもしました。
気が向いたら続くかもしれない。