昔、ベートーヴェンの大フーガの良い演奏を探していて、教えていただきました。
レナー弦楽四重奏団。1930年前後の古い録音です。復刻版のCDがすでに廃盤になっていたので、長らく探していましたが、ディスクユニオンやヤフオクなどを駆使して、10年ほど前にようやくベートーヴェン全集を手に入れました。
後期の作品は楽譜の見た目からして大変恐ろしいものですが、その難しさ故に演奏がヒステリックになってしまっているものが多いと感じていました。
ところがレナーの演奏は秩序があり、正確でエレガントでありながら、高揚感をもたらしてくれる大変素敵な演奏でした。大フーガの16分は飽きさせることがなく、何度聞いても新しさを感じます。14番の複雑さ、15番のリディア調の美しさなど、どの曲を聞いても素晴らしいと感じます。無理やり勢いで合わせているような演奏ではなく、しっかりコントロールされており、それでいて機械的ではなく暖かさ、感情の豊かさを感じます。
最近、モーツァルトやブラームスも含んだ復刻版が再発売されました。
同じ頃の録音で、カペー弦楽四重奏団の演奏があります。大フーガは録音していないようですが、こちらの演奏はとても自由です。アゴーギグもデュナーミクも思いのままにやりますが、これはこれで好きな演奏です。
何年か前に、カール・ニールセンの弦楽四重奏曲を教えてもらい、コントラ弦楽四重奏団のCDを買いました。ベートーヴェンやブラームスなどとは違った世界観は、とても刺激になります。そして、初めて聞いても飽きない面白さがあります。