悲しみ

長男が高校進学の際は、保証人を頼まれ、家族ぐるみの付き合いだった。


昨年、大学進学したばかりの次男坊も居て、

「次男坊がさぁ～容易でない病気になっちまってさぁ･･･」

と、毎週末、遠くの県立病院まで見舞いに行ってた。

この事で仕事を休むも多くなっていて、「すまん　すまん」
と、仕事仲間に詫びてたっけ。





ガソリン価格高騰を機に、Kawasakiｴﾘﾐﾈ-ﾀ-125をみっけてきて、

「これ　リッター30は走るぜ！」って言ってたけ。




「素取替してくれんだと」と嬉しそうに　Kawasakiｴﾘﾐﾈ-ﾀ-250に乗ってきてた。



次男の病気も治り、子育ても終わったら、
大型免許取ってkawasakiのGTR1400を買いたいって言ってた。



俺がGSXRでコケた事を聞いてびっくりしてたけど、
怪我が無かったのを知ると、笑い話に変えていたっけ。



ヘルメットはスネル規格もんが良いよと言ってやったけど、
これで十分っすって言って、ＪＩＳ規格もんをかぶってた。


こいつの嫁さんとも、一緒に働いた事が有る。
嫁さんは、横たわる夫を見つめたまま、死人の様に動かない。


俺の嫁も良く知っている奴だったから、
俺の身に起きた事のように激しく動揺している。




雨の確率が高い時は、嫁さんの４輪を借りて来ていたのに、
今日、雨の確率が高かったのに、バイクで来てしまった。
車だったら物損で済んでいたかも知れないのに。





まだ、４５歳だった。

金曜日にバイク話をしたばかりだった。


奴と最後になんて話をしたか、思い出せない。



「行ってきます」



と、元気に仕事に出掛けて行った一家の大黒柱が、





帰らぬ人となった。




http://www.nhk.or.jp/fukushima/lnews/6054367391.html