便所サンダル大全

日本製便所サンダルについていろいろ語ります

お多福産業 No.303 オリジナル

2020-07-14 18:08:04 | お多福産業(OTAFUKU)
ベンサンと言えば奈良の3社(ニシベケミカル、丸中工業所、森川ゴム工業所)に目が行きがちです。

が、ところがどっこいその3社よりも前に一体成型サンダルの製造を始めていたのが徳島県にある

お多福産業

らしいです。


らしいというのは資料から製造開始年を読み取ったわけでは無く、他のメーカーさんがそう言っていたからです。

※なぜかどこのメーカーも自社がいつからサンダル製造を始めたのかきちんと把握していません。

※どこに聞いても「たぶんこの手のサンダルを作り始めたのはお多福さんが最初じゃなかったかなぁ・・・」と言われます。


であれば、マニアとしては真っ先にターゲットにしなければならないはずのこの「お多福産業」になぜスポットライトをあまり当てていないかと言いますと、

私の中では他のメーカー製品より格上

とみなしているためです。


格上、というのは会社の格という話ではなく、単純にお多福産業のサンダルは

「ベンサンではなく健康サンダル」

とカテゴライズしており、実際価格もワンランク上で設定されているというのがその理由です。


お多福産業のサンダルはすべての種類に「永久磁石」が埋め込まれていて、いわゆる「磁気健康サンダル」と呼ばれているものなんですよね。


と、ここまで前提知識をご説明した上で今回ご紹介するのは、お多福産業の中では最もポピュラーなスタイルの「No.303 オリジナル」です。



カタログで、定価1,800円の代物です。

非常にオーソドックスで安定感のあるデザイン。
銭湯に行くときとかに履いていくにはこれ以上ない渋さです。

街の履物屋でこれを自然に買い求められるようになったら、あなたも大人になったと言えるでしょう。


パッと見でハッキリとわかりますが、やはり何と言っても特徴はサンダルに埋め込まれた永久磁石。

左右で合計6個も埋め込まれています。



そりゃ定価も高くなるというものです。


また、踵の部分に書かれている

ジキジキジキと足のツボ

というのも、まったく意味がわからないけれどなんとなく昭和の雰囲気を醸し出しており、ノスタルジックな佇まいがたまりません。


そして、じっくりご覧いただくとよくわかりますがシャドウがグラデーションで入れられているのもお多福産業ならでは。

これらすべてが相まって、このサンダル独特の渋い雰囲気が作られているんですね。


サイトをリニューアルしてから(商品登録が面倒で)まだ掲載していないのですが、実はこのお多福産業のサンダルだけ以下の書類を同梱しています。


▽表

▽裏

小難しいことはわかりませんが、要は「治療器具」的な扱いなので使用に当たっての注意書きになっています。

この写真をアップするためにあらためてじっくり読んでみましたが、これまで自分用にお多福のサンダルを使用したことがなかったのでさっそく1足購入して自家用にしようと思います。

今回はオリジナルの紹介なので取り上げていませんが、他のサンダルは

・いきいきマークⅡ

とか

・いきいきヘルシー

とか

・ノーベル一本バンド

とか、他のメーカーではあり得ないほどのオリジナリティあふれる名前が付けられていて、もうとにかくお多福産業を一言で言い表すならば

渋い

に尽きると思います。

折を見てお多福の商品もサイトにアップしていきますので、今回は名前だけでも覚えていってくださいね。(サンドウィッチマン風に)


ニシベケミカル VIC No.607 アルペン

2020-07-06 16:05:12 | ニシベケミカル(VIC/Charming)
ニシベケミカルの「VIC No.607 アルペン」は、VIC No.510 ダンヒルより少し幅広に作られていたことから履く人を選ばず、とても履きやすかったことで名をはせていた名サンダルです。

実は私が玄関に常備しているのもこのサンダルで、庭に出たり買い物に行くときについつい履いてしまう「ザ・日常」ともいえる代物なのです。


が。

なんと、2017年にニシベケミカルのカタログからその姿を消してしまいます・・・。


裏底やカカトの作りがダンヒルとまったく同じと言っても差し支えなく、幅が広い分だけ窮屈さを一切感じさせない傑作だったのですが、なぜこのサンダルを無くしてしまったのか・・・。


このサンダルが無くなることを、このサンダルを仕入れていた問屋さんに連絡して、その問屋さんが持っていたアルペンを全部引き受けたのが最後で、もうウチでも手に入れることはできません。

※もちろん自分用に1ケース残してありますが。


ところが翌2018年、新生ブランド「bench」がすぐに「BENSAN-A」として再販をしてくれました。

まぁ、価格は3倍以上になってしまいましたが背に腹は代えられないでしょう。

価格は上がりましたが代わりに良いこともありまして、じつはオリジナルでは存在していなかったカラーが増えたんです。


ウチの最終仕入れ時のカラーは

左からレンガ、チョコブラウン、ブラック

の3色だったのですが、現在benchが販売しているカラーはこれに加えて

・オーク
・ライトブラウン(ゴールデンロッド)
・カーキ(オリーブドラブ)
・ホワイト

が販売されています。


ということで、このブログを書きながらbenchさんのサイトで上の4色を買っちゃいました。(´∀` ) →届いたら後日追記します。

ブラックが売り切れていたのでおそらくは人気はブラックなのだと思いますが、ベンサンマニアなら他の色は「アルペン」として持っているのでおそらく私が買った4色にしか興味がわかないだろうと思われます。


それと現在、ホームセンターでもこのアルペンに似たようなMADE IN CHINAと書かれたサンダルを見かけることがあるかと思いますが、似て非なるものどころか「非なるもの」です。

■アルペンに似たようなサンダル

別に貶める意味で非なるものと書いているわけではなく、どちらかというとこれはアルペンではなく「VIC No.1200 トップ」の意匠を真似たものだからです。

甲のベルト部分も、靴裏のデザインも、網目を除けばほぼ「トップ」です。

つまり、幅が広いどころか逆にタイトですのでアルペンの代わりにはなりません。
ご注意ください。


ということで、私に惜しまれながら廃番となったこのアルペン、現在でも手に入れることは可能です。

ただ、私がいま探しているアルペンが一つありまして、それがこれ。


汚い写真でごめんなさい。

これは前回の記事でちょこっと触れたラボランド黒姫というコテージのトイレで2013年の12月30日に撮影したものです。

通常は「VIC CRIGINAL」の刻印が入っている部分のロゴが全く異なります。

■廃番時の刻印

そう、上の写真のほうが「旧金型」で作られたものなのですね。

当然「Original」と書いてあるのですが、金型を新しくするときにデータ作成を担当した人が筆記体の「O」を「C」に読み間違えたのでしょうね。

新しい金型はしっかりと「CRIGINAL」になっています。


これの新品がどうしても欲しいのですが、現在はただでさえ新品を手に入れることが難しい、以前製造された「アルペン」なので、けっこうな高難度なのです。

ですが実はbenchのBENSAN-Aにこれが紛れていたことがありまして。(マニアのお客さんが実際にゲット)

生産が追い付かなくて気づかずに旧金型を引っ張り出して紛れたのか、事実関係は不明なのですがこれを手にしている人はかなりの希少物件になりますので履かずに大事に保管するか、私に譲ってください。w


森川ゴム工業所 Health 紳士No.105

2020-06-26 19:22:57 | 森川ゴム工業所(Health)
今回は意表をついて(もう夏が来るのに)森川ゴムの防寒サンダルのお話です。


このHealth No.105、見た目に反してファンが多いサンダルで、入荷するとすぐに売れていきます。

Lサイズのチョコブラウンだけが。

何箱か取ると、確実に金茶のMだけが1箱できるくらい残ってシーズンを越します


それでもめげずに取り扱うのは、私自身がこのサンダルが好きだから。


■レンガ(赤茶)
■ゴールデンロッド(金茶)
■ブラウン(茶)
■チョコ(コゲ茶)


そもそも森川ゴムのサンダルは通好みなのでベンサン.JPでもある程度思いきらないと扱えないのですが、このNo.105を導入したのは雪山での出会いが発端です。


最近はほぼ行かなくなりましたが、毎年正月の年越しは妙高の雪山でスノボをする(という名目で私だけあまり滑らず温泉に入ってゴロゴロしている)というのが通例で、10年以上は続いていたでしょうか。

いつもはラボランド黒姫というコテージを借りて大人数で過ごすのですが、2016~2017年の年越しイベントはちょっと人数が少なめになったので

「ロッジあめのうお」

というとこに泊まりまして。




私が大好きな池の平の「ランドマーク妙高高原 温泉かふぇ 」からすぐ近くにあったので、滑らなくても温泉入ったりご飯食べたりマンガ読んだりできる好立地。

その「ロッジあめのうお」で、外に出る用のツッカケとして置いてあったのが、まさにHealth No.105だったのです。


それまでNo.105を履いたことのなかった私は、

「お、森川の防寒とはなかなか渋いの使ってるな」

と思いつつ、足を突っ込んだ瞬間に衝撃を覚えました


森川のサンダルは素材全体が柔らかいのですが、

・適度に吸いついてまとわりつくようなフィット感
・雪山の宿で使われているくらいのグリップ感
・ふわっとした中にもグッと足元を支えてくれる安定感

これらが混然一体として雪深い山の上でも絶妙に快適な履き心地を私に与えてくれたのです。


「こんな素晴らしいサンダルを今までスルーしていて申し訳なかった・・・」

と、2017年の年始開けに最初にやったことはNo.105の仕入れでした。

それ以来、売れようが売れなかろうがしつこく仕入れ続けています。(ちょっとだけ)


とはいえ、売れる時はドバっと売れてしまうのでなかなか注意が必要なサンダルでもあります。

やっぱり森川の良さを分かってる人は買ってくれるんですよねー。

※逆に腰が悪い人はPEARLの硬さが良いらしいですが。


蛇足ですが、その森川のサンダルを仕入れていた浅草の問屋さんに久しぶりに発注しようと思って電話をした繋がらず、他の問屋さんに聞いてみたら廃業しちゃったとのこと・・・。

こうして履物屋も問屋も次世代に引き継がれずに失われていくんですよね・・・。

※私がベンサン.JPを始めてからサンダル問屋の廃業は4件目です。


がんばってメイドインジャパンのサンダルの価値を広めていこうと決意しなおしたこの6月なのでした。

ところで私の後も誰か継いでくれないかなぁ。



ニシベケミカル VIC No.2011 紳士シーサン

2020-06-19 20:00:08 | ニシベケミカル(VIC/Charming)
夏も近づいてきてますので今回も鼻緒型のサンダルをご紹介します。

知る人ぞ知る、「最強ビーサン」こと「VIC No.2011 紳士シーサン」です。

※レディースは「No.2012 婦人シーサン」になります


■ブラック
■チョコブラウン
■メタリック
■オーク


全体的にワラジのような感じで麻縄のような細かい網目模様が施されていて、意匠に大変凝ってます。

というかワラジのイメージで作られてるんでしょうね。


ご覧の通り、「一体成型のビーチサンダル」なので、鼻緒がすっぽ抜けることがありません。


そして、裏面には当然グリッドが入っていますので、これまたプールサイドなんかでも滑りづらくなってます。


あまり知名度が無いためかそんなにメチャクチャ売れてるわけでは無いのですが、一旦はまった人には買いまくられてしまうサンダルでもあります。


ニシベのサンダルには珍しく「VIC」のロゴは入っておらず、代わりに


「Sea Sun」のロゴが入っています。


おそらく、ギョサンに対抗できる新サンダルとしてのニシベからの提案だと思われまして、実は「SeaSun」と名がつく歴代のサンダルはそこそこ数があるのです。

ウチで扱えたことがあるのは「No.2010 シーサン(廃番品)」だけなのですが、結構バラエティに富んでいましてこんな感じです。



※2011年カタログより

これらの後に作られたのが現行の「No.2011」と「No.2012」なんですね。
残念ながら、上のカタログの製品はどれ一つ生き残っておりません。


逆に言えば、生存競争の激しいニシベケミカルのレギュラーの座をいまだに守り続けている現在のシーサンは

とてもいい製品

と言って差し支えありません。


ちなみに今年は「ネイビー」が参戦しているのですが、考えてみたらまだ今年シーサンを発注してませんでした・・・。

母ギョのボニンブルーは扱えないのですがシーサンのネイビーは扱えますので早々に発注しようと思います。



というか、例年3月くらいに発注するのにコロ助のせいで完全に失念しておりました・・・。

このブログのおかげで思い出しました。

めでたしめでたし。


ニシベケミカル VIC No.570 VIC・カリプソ(母島ギョサン)

2020-06-15 18:52:33 | ニシベケミカル(VIC/Charming)
ベンサン.JPでの取り扱い商品には違いないのですが、今回はベンサンではなくてギョサンです。

私は個人的に

・鼻緒タイプ = ギョサン
・ベルトタイプ = ベンサン

と呼んでいるのですが、丸中工業所は自社のサンダルを全て「ギョサン」と呼んでいますので注意してくださいね。

※「PEARLギョサン」は丸中工業所の登録商標です


さて、この「VIC No.570 VIC・カリプソ」は

母ギョ(母島ギョサン)

の異名を持っておりまして、なぜならば主に母島で販売・利用されているからです。

■レンガ

■ゴールデンロッド

■カーキ

■ブラック



そもそもギョサン(漁業従事者用サンダル)は、小笠原の漁協で使われたのがヒットの発端で、10数年前は小笠原土産として知る人ぞ知るサンダルでした。


なぜか主に島しょ部で使われることが多くて、たしか2006年くらいに沖縄から本土に戻ってきた友達(現・ぎょさんネットのナル店長)が

「こっちで全然見ないけど、沖縄だとみんなギョサンっての履いてるんだよね~」

と聞いて、そこから私もギョサンにドはまりしまして、一年中ギョサンを履いて過ごしてたくらいです。

※というか、2人でぎょさんネットを立ち上げました。


そんなギョサンも、小田原のマツシタ靴店やぎょさんネット、そして何よりも嵐の大野君のおかげ(テレビの某コーデチェックコーナーで毎週ギョサンを履いてきていた)で爆発的ヒットとなり、今ではヒットを通り過ぎて夏の定番にまで昇格しています。


さて、そんなギョサンですが、小笠原の父島で扱われているギョサンは主に丸中工業所(PEARL)、そして森川ゴム工業所(Health)のものばかりなのです。

ところが、このニシベケミカルのギョサン VIC No.570は、なぜか母島で主に取り扱われており、父島の人も母島で買っていることから母島ギョサンと呼ばれているんですね。

本土ではなかなか扱っている店を見つけるのも難しいかと思います。


ベンサン.JPでは1年に1~2回だけ仕入れるのですが、毎年ブラックとカーキのLサイズが速攻で売り切れて、Mサイズのレンガと金茶が翌年まで残るというのを繰り返しております。

※いや、ほんとレンガと金茶もカッコいいのでみなさんよろしくお願いします




で、この母ギョなんですが、やはりニシベ特有の粘り気のある柔らかさで滑りづらさは天下一品。

そしてニシベならではのカカトの横穴でクッション性も抜群。


過去に、私以外に母ギョを街中で履いている人を1回だけ見かけたことがあるのですが、お互いの足元をパッと見て、

「ふっ・・、わかってるな・・・。」

と、お互い心が通じ合ったような気がしました。


前身の「VIC No.550」も名品中の名品だったのですが、現行品のNo.570も負けず劣らずの名品です。

この、全体にある小さめのボツボツが、裸足で履くことを前提としたギョサンにベストマッチ。

ボツボツが当たらない場所が無いだろうという位にビッシリと張り巡らされていて心地いいことこの上ありません。

もちろん私はPEARLのギョサンもHealthのギョサンも好きなのですが、どれか一つだけ選べと言われたら、やはり母ギョを選んでしまいます。


さて実は、このNo.570、今年2020年は

「母島限定カラー ボニンブルー」

というのが出ています。

母島限定なのでウチでも扱えません。

母島に行かないと買えないのです。


母島に知り合いもいないですし、とりあえず近々の入手は諦めていたのですが、


手に入りました。( ´∀`)


コロ助の影響で母島に観光で行く人が減ってしまったので、期間限定で小笠原のお店がボニンブルーの母島ギョサンをネット販売しております。

欲しい方は急いで探してみてくださいね。


あ、ちなみにボニンブルーというのは、小笠原諸島の英語名「Bonin Islands」からきておりまして、小笠原諸島には江戸時代後期から人が定住したみたいです。(小笠原村公式HPより)

それまでは発見されてはいたけれども無人島だったので、

無人島 ⇒ ブニン島 ⇒ ボニン諸島

というような変遷を経て、

「小笠原の海の美しい色 = ボニンブルー」

といわれるようになったようです。。

そりゃ母島限定カラーになるわけです。


ということで、母島ギョサンの現行カラーは全5色。