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最近読んだ小説レビュー Vol.14

2006年01月21日 | 小説レビュー
本が溜まってるので、最近は、少し暇ができれば合間合間に読んでる、という感じです。

そんなわけで、月に一度のこのコーナーですが、
今月二度目のレビューです。


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『ぎぶそん』/伊藤たかみ 

≪感想≫
一応、これはティーンズノベル扱いなんですけど、全然普通に読めます。普通に読めるというのは、まぁ具体的に言うと、ライトノベルと一般との中間あたりという意味です。

ストーリーは、青春もの。バンドに恋愛に友情と青春を語る上で必要な要素を全て描いてます。しかも、キャラが全員関西弁なので、親しみが持てる。

時代設定も、ちょうどファミコン全盛期の頃で、メガドライブが新しい時代。もう僕はそれをリアルタイムで経験しているので、より世界に入り込めました。だから、余計にティーンには理解し難いのでは? という風になるんです。ティーンズノベルにするのは勿体ない。

しかしながら、物凄く面白い! と言えば、そうでもないんです、これが。まぁ普通に読んで面白い、という感じですね。グラフにすると、どれも同じくらいの平均点を稼いでるという感じで、いまひとつパンチがないのがネックですね。

バンド小説読むなら、大槻ケンヂの『ロッキン・ホース・バレリーナ』に勝てるものはありません。僕はロッキンホースはベスト3に入るほど好きな小説です。バンド小説読みたいなら絶対にこれです。

この作家は、文藝賞受賞作家で、しかも今年、芥川賞ノミネートもしている期待の新人なので、青田買いをするなら今です! 僕は、もう少しこの作家を読んで見ようと思いました。暇な時、さり気なく読める作品です。


『あおい』/西加奈子 

≪感想≫
以前紹介した『さくら』の作者の処女作です。『さくら』が面白かったので、読んでみたのですが、『さくら』にはボリュームでもストーリーでも負けていました。

決して悪いわけじゃないんですけど、かなりくせのある小説なんですよね。『さくら』も変な家族のお話なんですけど、まだ共感しうる部分や、親近感を湧く事ができたのですが、『あおい』は、親近感も湧かず、共感しうる部分も少ない。かなり変な価値観を持つ主人公と彼氏のお話です。

ずっと不思議な空気のまま続いてくので、ちょっと小説を俯瞰的に見ることのできる人でないと辛いかもしれません。「あ~、こんな子いるんやね」という感じで。感情移入できる小説でない事はたしかです。だから、当然好き嫌いは分かれると思います。

この小説を簡単に言うと、「ちょっと変なカップルのちょっと変った日常」です。

同時収録の『サムのこと』という作品もこれまたくせのある話です(笑)。珍味好きの方はぜひ。初心者は『さくら』から入った方がいいですね。



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