伊坂特集第三弾・映画「陽気なギャング~」の感想はまた後日やるとして、今日は忘れないうちに書いときます。奥田さん特集です。
奥田さんの代表作と言えば、もう伊良部シリーズですよね。
という事で、今回は「空中ブランコ」と「町長選挙」の二作の総合感想を。
『空中ブランコ』
『町長選挙』
<感想>
奥田さんは「空中ブランコ」で直木賞をとったんですが、まさにそっち系です。特に読者ではなく作家さんの共感を鷲掴みしたであろう短編は「空中ブランコ」収録の「女流作家」でしょう。
「女流作家」は、作者本人の私小説と捉えてもいいんじゃないかと思うくらいメッセージが込められている。自分が「これは売れる!」と思って書いた小説はあまりヒットせず、自分があまり乗り気ではない作品がヒットしたりするという、作者と読者とのギャップを上手く描いてます。きっとこの作品で直木賞をとったんじゃないかと思うほどです。
たしかにこの業界って、多いと思うんですよ。伊坂さんも、いけると思った「グラスホッパー」があまり売れなかったり、音楽業界では、ミスチルが「自分たち的に名曲ができた」と言ってリリースした「NOT FOUND」が「Tomorrow never knows」を超える事はなかった。
ベストアルバムもそうです。アーティスト自ら選曲したベストとファン投票によるベストとではやはり好きな曲に食い違いが出てくる。それと同じで、作家みんなもこのギャップって感じてると思う。自分では面白いと思って書いた作品でも担当編集者にはウケが悪かったみたいな事は業界では頻繁にあると聞いた事があるし、そういうところを書いたので、「女流作家」は読者より審査員の心に届いたんじゃないかなって思いますね。
総合的には、どの作品も可もなく不可もなくという面白さです。飛び切り面白いというわけでもなく、全然面白くないという作品もない。どれも平均的な面白さがあって、しかも読みやすい。伊良部とマユミも、読めば読むほどキャラが立っていく。
ただ、展開と構成がワンパターンなんですよね。水戸黄門系と同じで、依頼者(患者)が来る⇒伊良部の自由奔放な治療⇒依頼者の考え方が変わる⇒治る。このパターンで統一されているので、さすがに「町長選挙」の時には飽きがきました。新鮮さとか飛び切り面白いって所もないので、読後はいたって普通なんですよね。そこだけがネックでした。だからなのか、マンネリ化を避けるために、「町長選挙」では、離島を舞台にしたのかもしれない。
今の一般小説業界、もっとこういう小説が増えればいいのになぁとは思いますね。現実離れしたキャラが一般小説で出る話はやっぱ面白いですし、映像化もしやすいと思う。伊坂さんとか戸梶さんは同じタイプだと思います。
奥田さんの代表作と言えば、もう伊良部シリーズですよね。
という事で、今回は「空中ブランコ」と「町長選挙」の二作の総合感想を。
『空中ブランコ』
『町長選挙』
<感想>
奥田さんは「空中ブランコ」で直木賞をとったんですが、まさにそっち系です。特に読者ではなく作家さんの共感を鷲掴みしたであろう短編は「空中ブランコ」収録の「女流作家」でしょう。
「女流作家」は、作者本人の私小説と捉えてもいいんじゃないかと思うくらいメッセージが込められている。自分が「これは売れる!」と思って書いた小説はあまりヒットせず、自分があまり乗り気ではない作品がヒットしたりするという、作者と読者とのギャップを上手く描いてます。きっとこの作品で直木賞をとったんじゃないかと思うほどです。
たしかにこの業界って、多いと思うんですよ。伊坂さんも、いけると思った「グラスホッパー」があまり売れなかったり、音楽業界では、ミスチルが「自分たち的に名曲ができた」と言ってリリースした「NOT FOUND」が「Tomorrow never knows」を超える事はなかった。
ベストアルバムもそうです。アーティスト自ら選曲したベストとファン投票によるベストとではやはり好きな曲に食い違いが出てくる。それと同じで、作家みんなもこのギャップって感じてると思う。自分では面白いと思って書いた作品でも担当編集者にはウケが悪かったみたいな事は業界では頻繁にあると聞いた事があるし、そういうところを書いたので、「女流作家」は読者より審査員の心に届いたんじゃないかなって思いますね。
総合的には、どの作品も可もなく不可もなくという面白さです。飛び切り面白いというわけでもなく、全然面白くないという作品もない。どれも平均的な面白さがあって、しかも読みやすい。伊良部とマユミも、読めば読むほどキャラが立っていく。
ただ、展開と構成がワンパターンなんですよね。水戸黄門系と同じで、依頼者(患者)が来る⇒伊良部の自由奔放な治療⇒依頼者の考え方が変わる⇒治る。このパターンで統一されているので、さすがに「町長選挙」の時には飽きがきました。新鮮さとか飛び切り面白いって所もないので、読後はいたって普通なんですよね。そこだけがネックでした。だからなのか、マンネリ化を避けるために、「町長選挙」では、離島を舞台にしたのかもしれない。
今の一般小説業界、もっとこういう小説が増えればいいのになぁとは思いますね。現実離れしたキャラが一般小説で出る話はやっぱ面白いですし、映像化もしやすいと思う。伊坂さんとか戸梶さんは同じタイプだと思います。