昨日言ってた通り、インターネット工事で、本当に今日まるまる一日拘束されてました。
最近は、純文に凝ってます。
早くも今月二回目の小説レビュー!
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『シルエット』/島本理生
≪感想≫
彼女が十五歳の時書いた掌編小説『ヨル』を収録したデビュー作です。
『ヨル』は賞を取ってますけど、何がいいのか掴めないまま終わりました。
けど、『シルエット』は、三人の男と主人公との絡み方がうまいと思った。
それと共に『群集新人賞』はこういう作品でも取れるんだ、という事がわかった。
三人の男が出てくると聞くと、ドロドロした恋愛劇が待ってると誰もが予想しがちですけど、全然違います。過去の彼と現在の彼、元彼の友達との間に存在する主人公の心を動きをリアルに描いてます。
作品の雰囲気を楽しんでください。
『リトル・バイ・リトル』/島本理生
≪感想≫
これも賞を取ってます。僕はこっちの作品の方が好きです。
彼女の描き方は本当に自然な文体で、読んでいる側もリラックスしてその世界にすんなり入る事ができる。読み手側から読んでみると一見〝普通〟の事を書いてると思いますが、書き手側から考えると、普段気にかけていない些細な事を小説に投影できているのがわかる。如何に生活する中で意識して物事を観察しているかがわかるし、着飾らない物語が逆に新鮮でもある。
僕が思うに、彼女の作品は、面白いか面白くないかという感想より、好きか嫌いか
という感想になると思います。なので、好きなシーンが多ければ多いほど、作品が好きになります。
『100回泣くこと』/中村航
≪感想≫
作品を否定するわけじゃないですが、100回も泣けません。それどころか1回も泣けませんでした。『東京タワー』を読んだ後だからなお更、リアリティに欠けたというのもあるかもしれません。
物語を大きくわけると、愛犬の病気~彼女の闘病生活~彼女の死~愛犬の死、になるわけですけど、最初のバイクを修理するシーンは長いくせに、愛犬とのシーンは短すぎる。彼女の病気も本当に唐突で、嫌な言い方ですけど、感動させるために病気にしたような印象を受ける。しかも、愛犬と彼女で感動が分散してしまうし、そんなに感情を揺さぶる描写が成されてなかった。もっと彼女に情が湧かないと泣けないです。『東京タワー』では、そのための長いオカンとの物語があった。こういう類の小説はなお更、彼女と過ごした時間を描かないと結果的に損します。泣かせられるかどうかで価値が決まりますから。
なので、全然泣けないまま終わりました。
しかも、山場である彼女の死から、エピローグが長い。二年後を描いても実感が湧かない。
久々に、面白くなかったです。
感動モノで言うと、本当に何度も出して悪いと思いますが、リリーさんの『東京タワー』と読み比べてほしいです。如何に『東京タワー』がすごいかがわかります。まぁタイトルで期待値を上げすぎたというのもありますけどね。
最近は、純文に凝ってます。
早くも今月二回目の小説レビュー!
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『シルエット』/島本理生
≪感想≫
彼女が十五歳の時書いた掌編小説『ヨル』を収録したデビュー作です。
『ヨル』は賞を取ってますけど、何がいいのか掴めないまま終わりました。
けど、『シルエット』は、三人の男と主人公との絡み方がうまいと思った。
それと共に『群集新人賞』はこういう作品でも取れるんだ、という事がわかった。
三人の男が出てくると聞くと、ドロドロした恋愛劇が待ってると誰もが予想しがちですけど、全然違います。過去の彼と現在の彼、元彼の友達との間に存在する主人公の心を動きをリアルに描いてます。
作品の雰囲気を楽しんでください。
『リトル・バイ・リトル』/島本理生
≪感想≫
これも賞を取ってます。僕はこっちの作品の方が好きです。
彼女の描き方は本当に自然な文体で、読んでいる側もリラックスしてその世界にすんなり入る事ができる。読み手側から読んでみると一見〝普通〟の事を書いてると思いますが、書き手側から考えると、普段気にかけていない些細な事を小説に投影できているのがわかる。如何に生活する中で意識して物事を観察しているかがわかるし、着飾らない物語が逆に新鮮でもある。
僕が思うに、彼女の作品は、面白いか面白くないかという感想より、好きか嫌いか
という感想になると思います。なので、好きなシーンが多ければ多いほど、作品が好きになります。
『100回泣くこと』/中村航
≪感想≫
作品を否定するわけじゃないですが、100回も泣けません。それどころか1回も泣けませんでした。『東京タワー』を読んだ後だからなお更、リアリティに欠けたというのもあるかもしれません。
物語を大きくわけると、愛犬の病気~彼女の闘病生活~彼女の死~愛犬の死、になるわけですけど、最初のバイクを修理するシーンは長いくせに、愛犬とのシーンは短すぎる。彼女の病気も本当に唐突で、嫌な言い方ですけど、感動させるために病気にしたような印象を受ける。しかも、愛犬と彼女で感動が分散してしまうし、そんなに感情を揺さぶる描写が成されてなかった。もっと彼女に情が湧かないと泣けないです。『東京タワー』では、そのための長いオカンとの物語があった。こういう類の小説はなお更、彼女と過ごした時間を描かないと結果的に損します。泣かせられるかどうかで価値が決まりますから。
なので、全然泣けないまま終わりました。
しかも、山場である彼女の死から、エピローグが長い。二年後を描いても実感が湧かない。
久々に、面白くなかったです。
感動モノで言うと、本当に何度も出して悪いと思いますが、リリーさんの『東京タワー』と読み比べてほしいです。如何に『東京タワー』がすごいかがわかります。まぁタイトルで期待値を上げすぎたというのもありますけどね。