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最近読んだ小説レビュー Vol.25

2006年11月06日 | 小説レビュー
先週末の三連休、最悪にも風邪でダウンしてたので、寝込んでた。
だから本も比較的スムーズに読めましたけど。
毎日うがいしててもかかるもんはかかるんやなぁ、という教訓を得た。


『ぼくは悪党になりたい』/笹生陽子

タイトルに惹かれてずっと読みたいと思っていて、ようやく見つけて買いました。

文体は少しユーモアが込められていて、表現も所々面白い。
母子家庭で腹違いの兄弟の兄が主人公。父親が違うけれど、主人公はすごく弟想いで、やさしい。母親は海外で仕事をしているため、ほとんどの家事は主人公がやっている。弟は小学三年生で、小生意気だけどそれがまた可愛い。

片親だから暗いという色は全くなく、すごく暖かい日常。そこに介在するプレイボーイの友人や、母の知りあいの男性、友人の彼女、などが絶妙に混ざり合い、主人公の人生を少しだけ変えていく。タイトルどおり、少し悪党の方へ。

しかしながら、主人公は元がすごく真面目で、家族想い、責任感が強くて、根も地味な方だから、主人公が抱く〝悪党〟というのも微笑ましい。(内容はあまりぶっちゃられないが)
怠惰な日常から抜け出すために、主人公は少し自分の枠から外れたい、背伸びしたいと思っただけ。それがまた主人公の色をより濃厚にしている感じがした。

読後の感想としては、「ぼくは悪党になりたい」ではなくて、「ぼくは不良になりたい」の方が、意味合いがしっくりきました。でも、主人公が、「いや、悪党だ」というのであれば、悪党なんです。

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