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映画感想文 Vol.47 「ゲド戦記」

2006年08月23日 | 映画感想文
ゲド戦記 (2006)
★★★★★★☆☆☆☆



オフ中に「ゲド戦記」は公開初日に観てきました。

まず率直な感想を言うと、
宮崎吾朗監督は初監督にしてはなかなかやった方だと思う。

満足度が意外に低いと思われるけど、その理由をこれからたらたらと書いていきたいと思います。


宮崎父が観終わった後に言った感想「素直な作りでよかった」という意味が観終ってからわかった。

ストーリーはファンタジーの王道をシンプルにやっている。
本当に剣と魔法のオーソドックスな作りだった。それに、今の現代に当てはまるようなテーマを置いた映画だった。

均衡を崩した世界は今の現代に当てはまると思ったし、死ぬ事も生きる事も怖い、人生が一度しかない事が怖いというのも共感した。

主人公は最初言われるがままにしか行動できない、言って見れば今の若者に当てはまる。それが、ヒロインの言葉で初めて自分の言動、行動で動き出す。

城を飛び出したのは、今に当てはめれば、家出に置き換えられる。一人で飛び出したものの、一人では何もできない。結局、誰かの力に頼ってしまう。現代の子供を投影しているように感じた。


それに、カゲは、自分。自分から逃げる人って主人公だけじゃなく、結構多いと思いし、俺も経験はある。


そういうテーマの部分は、すごく感じたし、今の若者は、これを見て客観的に自分に置き換えられるだろうかとも思った。


正直、ジブリのファンタジー作品としては「ハウルの動く城」よりこっちの方が好きですね。

あと、初だけに荒削りな部分が多かった印象がある。

今回の二時間なんだけど、結構削れるシーンはあったと思う。
少なくとも100分くらいにはシェイプアップできると思った。

それに、世界観や世界情勢などをセリフで喋りすぎてる感があった。どれもセリフで説明しているような感じなので、内容把握には助かったけど、そこは父の方が上手いと思った。セリフだけに頼らず、セリフ以外の些細な演技や風景、行動で、セリフを言わなくとも伝わる演出が少なかったように思える。

まぁ、原作が全六巻で、そのうちの三巻を映画化したので、前二巻を説明する必要があるのも否めないので、仕方ないという見方もできる。だから、三部作で、撮れ間よかったんじゃないかな、と思いました。


作画は、本当に父そっくりですね。まぁジブリスタッフは同じだからだろうけど、でも綺麗だった。

歌もよかった。BGMも、今回は久石さんじゃなかったけど、全然違和感がないくらい上出来だったと思う。


CMが、「なにこれ」っていうくらいつまらないものだったので、見所ないのかって思ってけど、それが逆に期待を上げなくて結果よかったのかもしれない。予告編の方が面白いっていうケースは多々あるから、おそらく「ジブリ」「宮崎監督の息子」という二大期待を日本国民に全面に与えてしまうと、期待値が上がりすぎてしまうから、それを危惧してあのCMにしたんだろうか。


ネットのレビューで、「面白くない」が連続してたので、正直期待してなかったんだけど、「面白くない」と言った人は、きっとストーリーだけ見てたと思う。ストーリーは、最初に言った通り、オーソドックスで王道なファンタジーなので、つまらないと言われればそうかもしれない。

そこに乗っかったテーマをどれだけ感じるかで面白さが変わってくると思う。「面白い」と思った人はきっと二つとも観れてたんだと思う。

わかりやすく言えば、
寿司で、下のシャリ(ストーリー)だけ食べた人は「この寿司美味くない」と言うけど、上に乗ったネタ(テーマ)と一緒にシャリを食べた人は「美味い」と言う。


長々と語りましたが、総括すると荒削りな部分が多かったけど面白かった。最初から完璧なものは作れないし、次に繋げられるポイントがあるという事は、次を作るモチベーションにもなる。正直、吾朗監督の次回作が観たくなりましたね。


※あくまで個人的見解、感想なので、悪しからず。


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