もう本当に久々です。
本は全く読んでなかったわけではないのですが、なかなか更新できませんでした。
今回は、二作!
山田詠美の『熱帯安楽椅子』と平成の山田詠美と呼ばれている金原ひとみの『アミービック』です!
『熱帯安楽椅子』
<感想>
これは、何て言っていいのかわからないですね。
ようやく女流作家の深い話を読めるようになったんですけど、これは、ストーリーがどうだこうだ、と喋る話ではなく、本当に第六観で感じ取る作品だと思います。一文一文の言葉選び、その組み合わせ方は本当に才能だし、哲学です。
そして、流れる文章のせいで、どんどん読み進められる。本当にこれぞ〝小説〟かもしれない、と思わせてくれるし、一回読んだだけじゃ理解できない。いや、これは〝理解しよう〟という考え方がエゴなのかもしれない。そんな不思議な小説です。
『AMEBIC』
平成の山田詠美と呼ばれてるだけあって、『熱帯安楽椅子』を読んだ後にこれを読むと、たしかに影響をすごい受けてるな、という印象を覚える。けど、完全なコピーでなく、それを金原ひとみカラーに染め上げているのがすごい。
まず、最初に続く錯乱文で、「えぇ!?」と思わせてくれる。今まで抱いていた小説のセオリー、ルールを完全に覆している。あぁ、そうか小説に型なんて存在しないんだ、と気付かせてくれる。もうこの錯乱文だけで「おぉ」と思ってしまう。
そして、主人公の内面描写、赤裸々で攻撃的な言葉の流れ、センスは磨きがかかってきている。何も包み隠さない、等身大の描き方だと思える。
全て読み終わった後、正直何も残らない。けどそれが悪い事ではなくて、山田詠美さんの作品同様、やはりこれも感じ取るものなんだと思います。
そして、表紙のタイトルの下に、小さく暗号が隠されているんです。
『AMEBIC= Acrobatic Me-ism Eats away the Brain, it causes Imagination Catastrophe.』
これを自分なりに翻訳してみると……
=「アクロバットな(軽業的)自分主義は脳を腐食して、それは想像力変革を引き起こす。」
これは読んだ人が見れば、「あぁ、たしかに」と納得できると思う。「アミービック」は、主人公が本編で書く小説のタイトルであり、もうひとつ、これが真の金原コードだと個人的に思いました。こういう細工も好きです。
どちらの作品も〝理解してほしい〟というメッセージではなく、〝理解されなくてもいい〟という方が強いし、〝これが自分〟というパーソナリティを全面に押し出す事で、文に魂が宿るし、その人のカラーをより濃厚に表現できる。
二作とも、今まで出会った事がなかったので、すごく新鮮だった。
本当に、手ごたえも実感もないのだけれど、「読んだ」という実感はある。
不思議な感覚が余韻としてある。
今後も、二人の作品を読んで行きたいと思いましたね。
本は全く読んでなかったわけではないのですが、なかなか更新できませんでした。
今回は、二作!
山田詠美の『熱帯安楽椅子』と平成の山田詠美と呼ばれている金原ひとみの『アミービック』です!
『熱帯安楽椅子』
<感想>
これは、何て言っていいのかわからないですね。
ようやく女流作家の深い話を読めるようになったんですけど、これは、ストーリーがどうだこうだ、と喋る話ではなく、本当に第六観で感じ取る作品だと思います。一文一文の言葉選び、その組み合わせ方は本当に才能だし、哲学です。
そして、流れる文章のせいで、どんどん読み進められる。本当にこれぞ〝小説〟かもしれない、と思わせてくれるし、一回読んだだけじゃ理解できない。いや、これは〝理解しよう〟という考え方がエゴなのかもしれない。そんな不思議な小説です。
『AMEBIC』
平成の山田詠美と呼ばれてるだけあって、『熱帯安楽椅子』を読んだ後にこれを読むと、たしかに影響をすごい受けてるな、という印象を覚える。けど、完全なコピーでなく、それを金原ひとみカラーに染め上げているのがすごい。
まず、最初に続く錯乱文で、「えぇ!?」と思わせてくれる。今まで抱いていた小説のセオリー、ルールを完全に覆している。あぁ、そうか小説に型なんて存在しないんだ、と気付かせてくれる。もうこの錯乱文だけで「おぉ」と思ってしまう。
そして、主人公の内面描写、赤裸々で攻撃的な言葉の流れ、センスは磨きがかかってきている。何も包み隠さない、等身大の描き方だと思える。
全て読み終わった後、正直何も残らない。けどそれが悪い事ではなくて、山田詠美さんの作品同様、やはりこれも感じ取るものなんだと思います。
そして、表紙のタイトルの下に、小さく暗号が隠されているんです。
『AMEBIC= Acrobatic Me-ism Eats away the Brain, it causes Imagination Catastrophe.』
これを自分なりに翻訳してみると……
=「アクロバットな(軽業的)自分主義は脳を腐食して、それは想像力変革を引き起こす。」
これは読んだ人が見れば、「あぁ、たしかに」と納得できると思う。「アミービック」は、主人公が本編で書く小説のタイトルであり、もうひとつ、これが真の金原コードだと個人的に思いました。こういう細工も好きです。
どちらの作品も〝理解してほしい〟というメッセージではなく、〝理解されなくてもいい〟という方が強いし、〝これが自分〟というパーソナリティを全面に押し出す事で、文に魂が宿るし、その人のカラーをより濃厚に表現できる。
二作とも、今まで出会った事がなかったので、すごく新鮮だった。
本当に、手ごたえも実感もないのだけれど、「読んだ」という実感はある。
不思議な感覚が余韻としてある。
今後も、二人の作品を読んで行きたいと思いましたね。