- 「貪・瞋・癡」の「癡」を対象とします。現代的には、愚痴や不平不満の代表のように言われていますが、もとをただせば、愚かであるから不平不満が出てくるわけです。この愚かさを断つための観法が「因縁観」と言われるものなのです。
- 愚痴や不平不満が出る人というのは、結局のところ、因果の法則に無知だからなのです。出ている結果に我慢がならないわけです。不満だから、いろいろなことで愚痴が出るわけです。
- 今そうなっているのは、それだけの原因があったからです。その原因を探ろうとしなさい。そうすれば不平や不満が止まります。「これが原因で、自分はこうなっているのだな」ということがわかります。
- 「癡」の部分は、因果の理法をきちんと突き詰めていく、原因があって結果が今でてきているのだということを知っていくと、実は収まってくるものなのです。
- 原因行為をきちんと押さえて、その結果が出ているのだと知ることを、「因縁観」といいます。
- 愚痴や不平不満を抑える役割があり、縁起の理を対象とした観法です。
『沈黙の仏陀』 第4章 五停心観