毎年12月8日には必ず『トラ・トラ・トラ』を見ます。
太平洋戦争勃発の日だからです。
この映画以上の太平洋戦争開戦時の映画はもう二度と作られないでしょう。
なにしろ福岡の海岸に実物大の連合艦隊の旗艦『長門』と空母『赤城』のほぼ原寸大のセットを作るという天下の大作だったからです。
当初はあのクロサワに監督として白羽の矢を立てたものの、本物のゼロ戦を飛ばせなどという無茶な要求に根を上げた映画会社がやむなく深作欣二に代役を頼んだと聞いていましたが、今、調べてみると、黒沢ノイローゼ説などが流れていて、真相は定かではありません。
いずれにしても深作欣二で正解だったような気がします。
気負いなく、淡々と日本側の大戦(京都では応仁の乱)に至るまでのストーリーを、思想的背景を抜きにしてまとめているので、良作に仕上がっています。
また本物のゼロ戦ではないにしても、よく似た実物の航空機(テキサン)を、実物の米空母『ヨークタウン』艦上から発艦させるシーンは圧巻で、何度見てもその圧倒的迫力に、いかなる戦記映画も足元に及ばないと思います。
オモチャの航空機ではなく、実物を飛ばすなんて・・・
残念ながら、飛行中のコックピットを撮影するときに風防ガラスが無いことに不満が残りますが。
また、日本公開版とアメリカ公開版の二通りあり、渥美清と松山栄太郎が炊事兵でコミカルに演じるシーンは世界公開版には入っていません。
なぜあのシーンが日本公開版に入ったのか謎ではあります。
因みに8月15日には昭和版『日本のいちばん長い日』を観ることにしています。
なぜあまりにも無謀な戦争を始め、どのようにしてあれだけの犠牲者を出し、いかにして戦いを収めたかを若い人たちも知っておくべきだと思います。
一番戦争中の事を聞かされた団塊世代、親父にはゲンコツとともに『戦争中のことを思え』と言われ続けましたっけ。
今年は開戦80年の節目の年、これからミッドウェイでの敗北など、80年の節目が2025年まで続くことになります。